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調香師が語る香料植物の図鑑 (2013年)
フレディ・ゴスラン、グザビエ・フェルナンデス著、前田久仁子訳/原書房/3,990円

2010年の10月下旬、フランスにて発刊されて話題となった書籍が日本語版となって登場です。 書籍としての構成は、序盤が香水に関する歴史、その後は38名の調香師が38種の香料植物と香水について語り、最後は香料植物の図鑑で締めくくられている、タイトル通りに香料植物の図鑑です。序盤の歴史も大切な箇所を漏れなく網羅しつつ、丁寧に語られていますので、歴史を学んだことのない方にも分かりやすい1冊だと思いますよ。その後は、調香師ひとりひとりが植物1つをテーマに、香料植物について語るという内容で、例えば今、Robert Piguetのハウスパフューマーとして活躍しているAurelien Guichardは、Nina RicciのRicci Ricciにチュベローズを使用したそうで、その時の様子をチュベローズという花の印象を交えて語っています。代表作あり、香水の写真あり、こぼれ話あり、そしてどうして調香師になったのかという経緯も簡単に綴られています。もちろん、その前にはチュベローズという花について様々な視点からまとめられた上で、調香師が語るという内容になっていますので、花自体、香り自体を学ぶためにはとても参考になる書籍だと思います。基本的に成分が調香師の口から当然のように語られていますので、合成香料や成分について全く知識のない方はいまいちピンと来ない部分があるかもしれませんが、使い方や組み合わせ方は、うんうん・・・と頷くことの出来るものたちばかり。

植物を学ぶというのは調香師にとって当たり前すぎる内容であり、野菜を知らない料理人がいないように、植物を知らない調香師なんて存在しないでしょう。当たり前のことを当たり前にこなしている彼らですが、その内容はさすがにエキスパートで、精油1つとってもその中を存分に調べつくしています。時間と共に変化する香りの様子、組み合わせ、似た香料との差別化・・・など、もっともっと1つの香料に対して時間をかけて向き合わなくてはならないのだと教えられました。

こうした書籍は、香水を好きな方のみならず、おそらく天然香料について学びたいというアロマセラピストの皆さまも手にされることでしょう。アロマセラピーの世界ではあまり使用しないアブソリュートも沢山記載がありますが、調香師という職業と、香水というものの成り立ちや世界が、こちらの書籍を通してより広がっていくと嬉しいことです。

内容はとても濃くて深いのに、書籍自体に厚みはありません。原書の半分くらいのサイズになったものの、紙はそこまで薄くなっておらず、読みづらいほどフォントも小さくはなく、美しい植物と香水の画像とバランスよく配置されていますので、寝そべって読むにもちょうど良いサイズだと思います。何よりも、英語化されるより先に日本語化されたことは日本人としてとても誇らしく感じるところで、原書房さんに感謝です。また、今回も校正に協力という形で書籍化するに際し、ご参加させて頂きました。原書のミスも発見し修正に至っていますので、原書越えしたかのような正確な内容となっているはずです。専門書ですので、価格は少し高めですが、内容を見たら納得の1冊だと思いますので、是非手にとって、楽しく学んでみて下さい。(27/05/2013)


■香料の科学 (2013年)
長谷川香料株式会社著/講談社/2,500円

来月5月1日を以って110周年を迎える老舗の香料会社、長谷川香料が香料を科学の視点からまとめた1冊。手にするまでは、いわゆる分かりにくい「香料会社の実態」というか「何しているところなの?」という社内業務について初心者向けにまとめたものだと想像していたのですが、予想を裏切るベンゼン環の嵐。

前半はまず香料の歴史がまとめられているのですが、香料の歴史というのは歴史が同じ以上誰がどのように書いても似たような内容になるのは仕方のないことで、余程新鮮な切り口でないと楽しむことが出来ません。中で面白かったのは香料の歴史のすぐ後に、また過去に遡ってフレーバーの歴史が語られていたこと。簡単な歴史をざっと解説した後で、芳香の仕組みについて語られ、そこに続くのが長谷川香料らしいフレーバーの内容です。果実や食品についてのフレーバー目線での内容が紹介されています。香料に詳しくない方々は、苺の芳香成分が書き連ねてあっても何のことだか全くわからないと思います。しかし、弊社の調香体験セミナーなどで合成香料に触れている方たちは、見たことがある、香ったことがある、知ってる香料たちがたくさん出てきますので、それを広いながら読み進めることが出来るでしょう。フレーバーの後に少しだけ香水やファブリックに触れ、その後はどんどん専門的な内容へと突入し(芳香成分の異体を含めた製造技術的な内容)、最後は安全性で締めています。

流れと言い内容と言い、本当に教科書のようだ、というのが第一印象です。長谷川香料に限らず、これからフレーバー業界に就職を目指す方、興味をお持ちの皆さまは、塩野香料の香りを創る、香りを売るとこちらを事前に読まれると良いですよ。

今回、「読む書籍」と「学ぶ書籍」とカテゴリを悩みました。前出の香りを創る、香りを売るが読む書籍だったのに対し、こちらが学ぶ書籍にカテゴライズされたのは内容ではなく書籍のつくりです。とても細かなことなのですが、書籍がとても読みづらく、デザインやレイアウトを重視していない点が大きかったのです。フォントサイズにメリハリがなく、行間が全て同じで見出しが目立っていない点や、学術書のように句点が全て「、」ではなく「,」(カンマ)だった点もそうです。また、小口(ページをめくる部分)にはカテゴリーごとにグラデーションで色がつけられているのですが、なんともそれが日焼けしてしまった書籍に思えて美しくないのです・・・。もちろん、美しい香りや香水などを紹介している書籍ではありませんから、そういったデザイン的なことにこだわりはなくて当然なのですが、そこが教科書的であり、学ぶ書籍にカテゴライズされた最大の理由です。

本当はあとがきにあるように、合成香料を含めたフレーバーの有用性や安全性を訴求したかったのだと思いますが、それを訴求するには内容が専門的過ぎたようです。でも、若い世代がこうした書籍に興味をもってくれると本当に嬉しいんだけどなぁ。 (26/04/2013)


■食品と香料 (1979年)
諸江辰男著/東海大学出版社/1,648円

とても専門的な書籍でありながら、香料に明るい人であれば読み物として楽しめる包括的な1冊。前半は天然香料と単品香料、歴史等に専門的ながら軽い流れで触れています。化学の歴史みたいなものですよね。興味深かったのは1900年に入手が可能だった単品香料21種の記載があること。これは、この当時に作られていた香水がすでにそれらの香料を使用していた可能性が高い、ということに他なりません。調香体験セミナーの模倣レシピでも頻繁に使用している香料たちばかりで、使用頻度の高さがうかがい知れます。

フレーバー(食品香料)と言うと香水とはまた違う世界のようにも思えますが、共通している香料はとても多く、スクールでは基礎を学ぶはずです。この書籍では化粧品香料と食品香料を分けることなく、自然な流れのままスパイスの歴史を説明しつつ進みます。緑茶と紅茶、コーヒー、牛乳の香り、最後には納豆な清酒の香りにまで触れ、その中で大切な香料について専門的に解説をしてくれています。VanillaとVanillin、Ethyl vanillin、MaltolとEthyl Maltol等、共通で使用される香料の解説はとてもためになります。石の香り、水の香りの説明のくだりもなるほど!! と納得してしまいました。(12/05/2011)


■名香にみる処方の研究 (2010年)
広山均著/フレグランスジャーナル社/4,100円

亡くなる前に自身の残した研究をまとめておきたい、それが後世の役に立つのなら・・・。そんな声が聞こえてきそうな1冊です。彼自身が研究してきた歴史的な香りたちのレシピが記載されています。レディースが141種なのに対し、メンズはわずか14種しかなく、いかにメンズの市場が狭かったか、ということがわかります。慌てて付け加えたような新しい香水、チープな香りたちもありますが、研究というのはそういうことですよね。幅広く網羅しておかないと!

調香というのは、合成香料自身の香りだけではなく、香料同士の相性やバランス、特徴をひとつひとつ丹念に覚えて試していくことの積み重ねだと思います。実際に使ってみないと覚えられないのです。そのためには自身の創作が1番なのですが、市場の香水、歴史的な名香をご存知ない若手の調香師たちにとっては、香水を理解していくことが大切な勉強なのです。proficeで3,000種を超える香りを香料を集めて香りながらレヴューしてきたことは、僕にとって調香師と同じ訓練方法だったのです。調香師たちは、香水を理解する上で、名香の成り立ち、組み合わせを学びます。そこにレシピはなかったのです。嗅覚のみで模倣していくことこそが勉強なんですよね。僕も調香体験セミナー用に様々な名香を自身の手で模倣してきましたが、今までのものは自身で作り上げたオリジナルの模倣レシピです。でも、そういうことの手助けとなる参考レシピが書籍として登場したのです。

この書籍では、すでに廃番となってしまっている香料が多数記載されています。香料会社で扱っていないのですから再現のしようがないのです。でも、似たような香料に置き換えて作っていくことは可能なんですよね。そうして香料を置き換えていくと、実物の香りと少しずつズレてきます。そこを修正していくことこそが「調香師にとっての勉強」なのです。また、この書籍では「完成レシピ」ではなくて軸となるベースの香料のみを記載し、後はご自身でどうぞ・・・というような未完成のレシピがとても多くあります。広山さんも全てを模倣するわけではなくて、骨格が分かれば良いや・・・と途中で終えた香りたちだったのでしょう。(もしくは難しくて最後までたどり着けなかったもの)でも、そこを完全にしていくことこそが勉強であり、この書籍の価値なんですよ。

調香を学んでいない方には全くさっぱり内容がわからず、楽しむことの出来ない書籍だと思います。レシピの割合は伏せますが、左の画像がとある香水のレシピの一部です。この中のRose Base、Green note Base等をはじめ、どこの香料会社のコンパウンド(調合香料)なのか記載していないので、完全な模倣は出来ないレシピなんですよ。でも、この書籍に記載してある名香を作ってみたい!!レシピを再現してみたい!!という方は多いのではないでしょうか。proficeの調香体験セミナーでは、この書籍の中から再現をしてみた香りを、更に本物に近づけられるようにレシピを修正して「模倣セミナー」に組み込んでみたいと思います。GuerlainのL'heure Bleueを試してみたところ、8割そっくりな香りになりましたよ。(最後の2割というのが1番難しいのですが・・・)

ただ1つ。背表紙に「香料界では、香水の処方は門外不出の機密事項であり、調香師以外に数人の関係者しか知り得ないのがこの「生のレシピ」だと記載していますが、この書籍は模倣レシピです。コピーですよ!!
門外不出どころか、模倣レシピはあっちこっちに存在しますよ。僕だって模倣レシピを作ったくらいですから。飽くまでもこのレシピを参考にして、香りを本物に近づけていくという勉強を推し進めるための1冊なのです。書籍の価格はちょっと高めですが、調香師を目指して勉強している方は、この書籍と、この書籍に載っている香水を購入して勉強すべし!! (26/08/2010)


■やさしいオリジナル香水のつくりかた (2008年)
立川一義著、佐野孝太監修/フレグランスジャーナル社/2,200円

本当に香水というものを初心者に分かりやすく解説し、香水を作るという行為について学べる1冊。最初から合成の単品香料を使用していく・・・というのはハードルが高そうですが、合成香料も触ってみたいという方には良いですよね。香水を作るには市販されている香水を熟知していないと話にならないのは当然なのですが、「名香鑑賞」と称して取り上げられている香水たちが百貨店の1階にあるいわば量産品の香りたちばかりなのが残念です。この辺りもビギナー向けという位置づけですから仕方ないのでしょうけど。高額の調香キットとソフトを購入しないと書籍を購入する意味がない、というのが最大のポイントですね。調香スクールに通うほどではないにしろ、「疑似体験」をしてみたいという方向けな内容です。ただ、それでも数万円はしますが。ちなみに、この書籍の中で紹介されている合成香料は基本中の基本のものですので、当サイトの調香体験セミナーでもほとんどの香料を使用しています。この書籍の1番優れている点は書籍自体がルーズリーフのようにリングで製本されているという点です。書籍を見ながら調合するという作業ですから、閉じてしまうようなつくりでは使い勝手が良くありません。開いたら開いたままで作業が出来るという点、作り手の気持ちというかこだわりが感じられます。(09/12/2009)


■花精油と調合香料 (1998年)
ダニュート・パジョジス・アノニス著、掛川十次郎訳/フレグランスジャーナル社/5,460円

本当に珍しい「花の香りの研究書」です。香料として利用されている41種類の花々についての芳香成分と調合香料としてのレシピを用途別にまとめた書籍。例えばスイートピーだと調合ベースが4種、香水が4種類、石鹸が3種と合計11種ものレシピが掲載されています。もちろん合成香料がないと組めないレシピばかりですので、調香を学んでいる方しか楽しめませんが、クローバーやリンデンブロッサム、レセダ、シクラメン等興味深いものがいくつかあります。レシピは昔から使われているものや代表的なものだったりしますので、生花そのものではなく少し物足りないレシピが多いです。でも、これらをまず組み上げてみてその花を特徴付ける芳香を知り、生花に近いものを手直ししながら作っていけば良いだけですので、参考書的な書籍としてはとても嬉しい内容となっています。すでに絶版となってしまっていますのでプレミア価格となってしまっていますが、倍値で購入に踏み切った1冊です。


■匂いと香料 (1954年)
ジャックルマニャン著、堅田道久訳/白水社/880円

古い書籍ならではのテイストに溢れた文庫本。メインは匂いというよりも「嗅覚行動」という感じになっており、生理的な嗅覚行動について科学的な側面から記述している書籍。合成香料の名称がポンポン飛び出しているので、香料に明るくないとちょっと分かりづらい部分があります。最後の章で香料に関する記述が載っているのですが、やはり成分的な記述が多いのが特徴でしょうか。書籍自体が古いものなので、香料の成分というか採取と内容を知るのであれば新しい別の書籍が良いかも。嗅覚行動における1950年代の認識、というのが知りたい方向け。翻訳が1954年であって、原作ってもっと古いですよね、きっと。僕は昔はどうだったのか・・・と知りたくなっててにした書籍。


香りの百科 (1989年)
日本香料協会編/朝倉書店/23,000円

この黄色の書籍はカバーで、中身は黒い書籍です。ボックスカバーが黄色なのです。内容はもうパーフェクトなもので、180種に及ぶ植物やフルーツの香気成分、植物そのもの、香料・・・と多岐に渡って解説してあるバイブル書籍です。フレーバーや調合香料のレシピも基礎的なものが記載してあったりしますので、それを基に再構築、修正したりして自身の調合香料を作り出すことが可能です。調香を行っている人には必須アイテムだと思いますが、やはり専門書は高価です。でも、高価なだけの内容が詰まっていますので、何度か講習に通ったと思えば安いもの。1つ難を言うとしたら、、技術の進歩で香料が得られるようになったものもあったりしますので、最新版をいつか発刊して欲しいです。


香料の実際知識 第2版 (1985年)
印藤元一著/東洋経済新報社/2,266円

広く浅く、天然香料、合成香料、調合香料、フレーバーについてまとめてあるいわば教科書のようなもの。スクールで使われそうな書籍です。合成香料の記述も豊富なのですが、やはり内容が簡素ですので深く知るというよりも、広く浅く知っておく、というたいめのものです。合成香料を持っていない方には全く無縁な書籍ですが、スクールに通わせていたり、ご自身で調香をしようと考えている方は入門編としてこれは押さえておいたほうが良いのかな、と思います。12種類の花やシプレ、フゼアなどのアコードが3種ずつレシピとして記載されていますので、試すのも楽しいかと思います。ただ、僕も自分で試してみたのですが、あまり良いレシピではないなぁ・・・と感じましたけど。


■香料と調香の基礎知識 (1995年)
中島基貴編著/産業図書株式会社/3,914円

基本的には上の書籍と似ていて、天然香料、合成香料、調合香料、フレーバーについいて広く浅くまとめてある書籍です。やはりこちらもスクールで使われそうな教科書的な内容となっていて、「勉強する」には最適だと思います。アコードのレシピがいくつも載っていたりしますから、書籍を読み込んで「スクールに通った気分になれる」書籍かもしれません。ただ、飽くまでも香料についての記述は詳細ではありませんので、香料関係については別の専門書と併用する方が良いでしょう。僕はこの書籍の中なに記載してあるフローラル系のアコードや既製品の模倣レシピ等を参考にして手直ししたりしながら勉強しました。


■香りの総合辞典 (1998年)
日本香料協会編/朝倉書店/15,000円

上述の「香りの百科」を簡易版にした感じで、内容そのものが被っています。さらにそこにいくつかの内容を足した書籍で、2冊はいらないなぁ・・・というのが素直な感想。どちらも高い書籍ですので、どちらか1冊にするのなら僕は迷わず「香りの百科」を選びます。ただ、「香りの百科」よりもライトな内容なので、そこまで専門的でもなくていいんだ・・・という方にはこちらの方が良いんだろうなぁ。香りにまつわる様々な事柄がタイトルのように「事典」として詰め込まれた書籍。


■合成香料〜化学と商品知識 (1996年)
印藤元一著/化学工業日報社/15,750円

香料の中でも特に合成香料を使うのであれば所有しておきたい1冊です。人から話を聞くよりも1つ1つ確かに確実に専門書を紐解いたほうが頭に入ります。とんでもない数の合成香料が記載されていますが、これでも一部でしかありません。合成香料は香料会社の製品名として化学式とは違ったいわゆる「流通名」があったりするので、それを調べたりすることも出来てとても便利です。とにかく調香をするなら持っておきたい書籍で、僕はしょっちゅう調べ物をしています。購入した時はこんなに使うことになるとは思っても見ませんでした・・・。


■香りの百科事典 (2005年)
谷田貝光克編/丸善株式会社/20,000円

内容的にも情報的にも満載な書籍。内容の濃さというかなんというか豊富な情報量は上述の「香りの総合辞典」の2倍はありそうです。香水に限らず本当に「事典」的な内容になっているので「香りの総合辞典」のパワーアップバージョンとでも言うべき1冊。会社も著者(編者)も別なものなのですが・・・。後、版のサイズが小さいというのも使い安いです。香りの総合辞典って大きいんですよね。もちろん内容は専門的なものばかりですので、ビギナーが読んで面白い記述ばかりではありませんが、事典ですので専門書の中でも比較的読み物的な要素が多く、気になった事項を調べる際に手に取ることが多い1冊です。


■におい かおり〜実践的な知識と技術 (2006年)
堀内哲嗣郎著/フレグランスジャーナル社/3,800円

上述の「香料の実際知識」に近い書籍で、香りについて学ぶスクールの教材のような専門書です。教材にするにはちょっと専門的過ぎて研究職っぽい雰囲気になっていますが、これくらいの書籍はさらさらと読めるくらいにならないと調香師への壁は通れないのだ、と。香料云々以前にまず「嗅覚行動」という香りを判別していく人体的な仕組みを理解しましょう・・・という内容で、調香師を目指す人向けというよりも、最低これくらいのことは頭に入れておきましょうね・・・という事柄なのかもしれません。まだ僕も細部まではしっかり読み込めていないのですが・・・。


■香りの科学はどこまで解明されたか (2007年)
青島均著/フレグランスジャーナル社/2,400円

著者が大学教授だからでしょうか。大学のゼミのような書籍です。基本的に嗅覚行動に焦点が当てられ、それらを説明するために様々な香りの話題が散りばめられているという感じです。合成香料の化学式的なものとか嗅覚行動の導入部というのはアロマ等の世界でも広く浅く学ぶものだと思うのですが、一歩踏み込んだ詳しい内容になっています。ただ、「これは知らなかった!!」というような心に残る記述はあまりなく、化粧品とか香水とか香料についての記述は初心者向けの指南書っぽい雰囲気なので、やはりゼミに参加している学生向けに教科書として編纂された書籍のような印象を受けてしまいます。

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