*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Sampleレヴュー

 

■Adone (2019年)

ギリシア神話の中でアフロディーテに愛された美少年のアドニスがテーマに。アフロディーテに愛された、というニュアンスではなくアフロディーテを魅了した美少年という感じで、アドニスの美少年っぷりを香りにしたようです。

トップ:グレープフルーツ、カシス、ローズウッド、ピンクペッパー
ミドル:ローズ、ウィステリア、ジャスミン、ゼラニウム、ホワイトリリー
ベース:アンブロキサン、プレシャスウッド、アンブレットシード、ホワイトムスク

グレープフルーツとカシスが鮮やかに弾けて始まるクールなフルーティーフローラル。カシスには少しビターなニュアンスがあるため、グレープルーツやルバーブなどの香りと相性が良いのですが、グレープフルーツでフレッシュさを足しているのです。そこにピンクペッパーが重なると、弾けた感が増すわけです。そのフルーツが一段落すると、ローズを軸としたフローラルノートへと移ろいます。ベースにあるのはウッディムスクですが、アンバーグリスも強くはなく、ウッディムスクもフローラルノートを支える影の立役者。最後までフローラルノートが広がり、フェミニンなままで終わります。(29/09/2022)


■Castiamanti (2019年)

ポンペイで発見され、2017年に期間限定で公開となったCasti Amantiという家。普段は開かずの家と言われるほど非公開の家はには、驚くほど美しいフレスコ画がいくつも残っており、その中でも貞淑なキスというフレスコ画をテーマとした香り。

トップ:ベイリーフ、サフラン、マートル
ミドル:ジャスミン、ローズ
ベース:フランキンセンス、ムスク、バニラ、アンバー、ラブダナム、ウード

調香を見るとジャスミンやローズのフローラルが華やかに広がるスイートフロリエンタルなのだろうと想像していたら、全く違うグルマンに近いバニリックな香りでした。7種の現行品の中では一番甘さが強く、フローラルノートは全てスイートノートの中に包み込まれてしまい、探さないとわからないほど。でもテーマが貞淑なキスですから、甘くて良いのでしょう。時間と共に少しオリエンタルになっていくバニラが軸の香り。(29/09/2022)


■Rossopompeiano (2017年)

トップ:多くのフレスコ画が残されているポンペイの遺跡ですが、フレスコ画に多く使用された独特な赤色のことをロッソポンペイアーノ、ポンペイ人の赤と呼ぶそうです。

イエローマンダリン、ガルバナム、アーモンド
ミドル:ローズ、オレンジブロッサム、イランイラン、サンバックジャスミン、ヘリオトロープ
ベース:パチョリ、サンダルウッド、ラブダナム、カシミアウッド、ホワイトアンバー、ムスク、バニラ

レッドというよりもイメージはホワイトの香り。トップでアーモンドがツンと弾け、それが杏仁調のヘリオトロープに引き継がれて広がります。そのスイートフローラルを彩るのがオレンジブロッサムをメインとしたフローラルノートで、ローズはそれとわかるほど強くはなく、メインではありません。それも、時間と共にフローラルノートよりもウッディノートの方が際立つようになり、香りは褐色のイメージへと転じていきます。とてもユニセックスなまとまりで、フローラル感が華やかなわけではなく、Maurizio Cerizzaの他の香りに通じるとてもスムーズで滑らかなウッディムスクとなって消えていきます。(29/09/2022)

 

 

 

■Sileno (2022年)

ギリシア神話のSilenusをタイトルとした香り。ポンペイの庭園を歌いながら歩き回るSilenus。彼はワインの神Dionysusの従者であり、酔っ払いの老神。でも賢者であり、タイミング良く彼を捕まえて質問することができれば、大切な秘密を教えてくれるとされていました。ポンペイの遺跡の上にはぶどう畑が広がっており、La'cryma Christi (キリストの涙)というワインが特産ですので、とてもポンペイらしいテーマなのです。

トップ:シトラスノート、フレッシュグリーンノート、ブラックカラント、オレンジブロッサム
ミドル:山椒、イランイラン、地中海の灌木アコード
ベース:シーウィード、ジンジャー、プレシャスウッド、シダーウッド

とてもフレッシュなアロマティックウッディです。トップでは針葉樹の枝葉に代表されるピネン類の香りがすっきりと広がり、香りはそこから少しオイリーにも感じられるウッディノートへと変化していきます。海辺の灌木の多いガーデンのイメージにぴったりで、海風を感じながら散歩するような香り。シーウィードはモスのような役割で香るのですが、残り香の中ではマリン調にも感じられるので、マリンノートを使用せずにマリンっぽく感じさせる意図かもしれません。結構強めに主張して香ります。高濃度のパルファムであってもピネン類をはじめとしたアロマティックな成分は持続をせず、トップではじけて消えていきますので、香りの軸はベースにあるウッディムスクとシーウィードにあります。(28/09/2022)


■195 A.C. (2019年)

紀元前195年とは何があった年なのか。それはLex Oppiaと呼ばれる法律が廃止された年。紀元前215年の古代ローマが、各地で戦争をしたことで国家的な大惨事となってしまい、結果として財政問題解決のため、国民に贅沢を禁止する法律が施行されたのです。

トップ:ベルガモット、ミント、フィグリーフ、レモン、ポメグラネイト
ミドル:フィグ、カルダモン、ジャスミン
ベース:ウード、シダーウッド、パチョリ、レザー、カシミアウッド、スティラックス、フランキンセンス、ブラックティー

これはとても個性的な香りで始まります。酸味のある可愛らしいレッドフルーツがミントとフィグと共に弾けたのです。あれ? 随分と可愛らしいスタートだと思った瞬間、弾けたフルーツが消えてレザーに切り替わったのです。混沌とした中に爆発が起こり、それがやがて鎮まっていく・・・という、瞬間で目まぐるしく変化していく香りです。残り香はレザーウッディで、少しフィグリーフのグリーンなトーンを残したまま消えていきます。(28/09/2022)


■Fauno (2019年)

ギリシア神話のパンに相当し、ローマ神話の家畜の神。ヤギの角と蹄を持つ牧神で、上半身は人間で、下半身がヤギ。

トップ:グレープフルーツ、ベルガモット、アルテミジア、スイートオレンジ、タバコ、スモーキーノート
ミドル:ジャスミン、オールスパイス、ペティグレン、チュベローズ、ジュニパーベリー、クラリセージ
ベース:アンバー、フランキンセンス、シダーウッド、スエード、パチョリ

香りの印象がアロマティックウッディのため、トップこそ全く違いますが、方向性としては195 A.C.と似ています。アルテミジアの効いたアロマティックな香りが、ジュニパーやクラリセージと共に広がり、ラストノートになってウッディノートの中に微かにスモーキーさが感じられるようになります。ジャスミンやチュベローズなどのフローラルなトーンは感じられるほど強くはなく、スエードも強くはなく、少しグリーンなアロマティックなウッディとなって落ち着きますので、全体的にはとても優等生的な香りです。(27/09/2022)


■Giardinodiercole (2018年)

Agato(調香師)の家の庭にはヘラクレスの銅像があったため、ヘラクレスガーデンハウスと呼ばれたそう。芳香植物がたくさん植えられていることから香水の庭とも呼ばれたのだとか。

トップ:ベルガモット、ルバーブ、ジュニパー
ミドル:フランキンセンス、サフラン、ブラックペッパー
ベース:パチョリ、サンダルウッド、ラブダナム

アロマティックな精油感の強い香りが、パウダリーで甘いアンバーに溶けていく、という少し個性的なスタイルの香り。フランキンセンスがそれらをまとめているのですが、アンバーノートが他の香りにはあまり感じられなかったため、これが少しアロマティックウッディではあるけれどオリエンタルに切り替わっているのです。後半はアンバーなフランキンセンスとなった終わりますので、安心して使えるオリエンタルなハーブガーデンの香り。(27/09/2022)

 

<Agatho Parfum Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜