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Sampleレヴュー



■Sottosopra (2018年)

Arturetto Landiによる調香で、タイトルはさかさまの意味。夢が現実であり、現実が夢であり、感覚が狂うような浮遊感と興奮を感じる瞬間。でもそれは、別の視点から物事を捉えるチャンスでもある、と。2018年より、全ての香りが音楽と関連付けられ、ヘッドフォンで音楽を聴きながら香りを楽しむというスタイルになっていました。こちらはメビウスの輪をイメージした音楽となっていましたよ。

トップ:レモン、ベルガモット、ミント、プラム、ストロベリー
ミドル:ジャスミン、スズラン、マリンノート
ベース:パチョリ、ベチバー、ムスク、フランキンセンス、レザー、ホワイトムスク、アンバーグリス

ミントとマリンノートにパチョリとレザーというとても斬新な組み合わせで始まります。マリンノートというよりも、どちらかというと少しメタリックなニュアンスを感じる香りで、それがオリエンタルなレザーベースに重なっているのです。プラムやストロベリーのフルーティーな部分はほとんど感じられず、ジャスミンやスズランも強く香らず、マリンなオリエンタルが軸。それは、少し鈍い光を放つ金属のようにも思えるし、日本刀ではなく東洋の剣のような雰囲気にも感じられます。重い香りの中にある軽い香りを、飛び出さないように閉じ込めて蓋をしたような香り方で、10数年前とはまた違ったマリンノートを楽しめますよ。こういう使い方だったら、マリンノートも嫌われずに済んだのになぁ。(07/11/2018)


■Roboris (2011年)

Mark Buxtonによる調香で、ラテン語でパワーを意味するタイトルです。Fulgorと共に発売された砂漠の雨をテーマとした香りで、切り取った場面はネイティブアメリカンによる雨乞いの儀式。魔法のハーブを燃やすと雨雲が広がり、豪雨が降りそそぎ、空気中の電気が稲妻となって平穏だった日常を打ち崩していく。そして天からの恵みの雨が生命を潤していく。

トップ:ヴァイオレットリーフ、ルバーブ、ウィステリア
ミドル:カクタスフラワー、ジャスミン
ベース:サンダルウッド、ベチバー、シダーウッド、トンカビーン、アンバーグリス

これも雨なのか、とハッとしました。確かに雨に濡れたようなグリーンノートが印象的に香りますが、そこにウィステリアのハニーフローラルが重なり、全体的にはキュウリとウィステリアというコンビネーションとなって広がります。Fulgorが曇天だとしたら、こちらは雨上がりの風景で、キラキラと雫が光る、そしてモワっと広がるこもった湿気を感じるようなグリーンフローラルです。(07/11/2018)


■Fulgor (2011年)

Roborisと共に発売された砂漠の雨をテーマとした香り。輝きや光彩を意味するタイトルで、雨雲が砂漠を取り囲み、今にも降り出しそうな瞬間を表現した香り。稲妻の電気、乾燥した砂、風など砂漠と水、静けさと雷音、冷たさと熱気などコントラストを香りで表現したそう。

トップ:カシス、グリーンタンジェリン、フィグリーフ
ミドル:マグノリア、ナルシス、サフラン
ベース:フランキンセンス、パチョリ、ミネラルアンバー、グラファイト、ピリット

これは一番個性的な香りかもしれません。トップでは印象的なメタリックの陽にも感じるグリーンが弾け、そこから少しフルーティーなフィグとサフランへとつながっていくのです。このグリーンは嵐の後の千切れた葉や枝を感じさせ、嵐の前には感じられなかったのですが、温かみと冷たさ、フルーツとレザーという対照的なコントラストがとてもユニークな香りを作り出しています。全体的にはフィグ系なのですが、他にはないフィグ系となって落ち着きます。特に肌に残るアンバーパチョリはフィグにとてもマッチしています。(07/11/2018)


■Allegro Con Brio (2008年)

音楽用語で生き生きと陽気に・・・という意味のタイトルで、自然、喜び、楽しさなどの讃美歌をイメージしたもの。朝、キッチンの窓を開けると、鶏の鳴き声が朝を告げ、小鳥たちが歌い出す。世界が目覚めて動き出すような瞬間を香りとして表現したもの。

トップ:ゼラニウム、クラリセージ、アルテミジア
ミドル:ローズ、スズラン、コリアンダー、クローヴ
ベース:パチョリ、トンカビーン、ムスク

陽気な香りのカラーはイエロー。あれ、でもこれは何だろう・・・シトラスが鮮やかに弾けると思いきや、コリアンダーが弾け、そこから少しメンズっぽいアロマティックなスイートフローラルが登場したのです。そうか、クローヴもあるんですね。クローヴとパチョリ、クマリンが少しGuerlain調にも感じられるベースを形成し、クローヴ調のクマリンムスクが肌に残ります。目覚めの瞬間の世界が色に満ちている感覚の香りではなく、どちらかというとセピア色の世界という印象です。(06/11/2018)


■Assolo (2008年)

タイトルは「独奏」のこと。ゴールデンデリシャスが奏でる音楽。

トップ:ライム、アップル、アルテミジア
ミドル:タジェット、ジャスミン、レセダ
ベース:チークウッド、シダーウッド、ムスク

香りはアップルを軸にしたとても可愛らしい香り。とっても瑞々しいフルーティーフローラルなのですが、やはり可愛らしすぎてライトブルーを思い出してしまいます。タジェットやジャスミンがもう少し前に出ていた方が良かったのかなぁ・・・と思いつつも、このブランド全てを並べた時にはきっとこういう分かりやすい香りが必要だったのだと感じられると思います。アップルが消えかけた頃にはシダーウッドとムスクが顔を出し、少しソーピーな雰囲気に。(05/03/2010)

EdPバージョンを追記です。香りは以前と同じくアップルが香るフルーティーフローラルで始まるのですが、アップルがグリーンではなくペア系のアップルのため、少しライトブルーとはニュアンスが違いますね。とても可愛らしいペア系アップルなのに、ベースにあるのは大流行しているアンバーウッディノートが見え隠れしていて、時代を感じる香りへと変化していきます。(06/11/2018)


■Brezza di Seta (2008年)

シルクの風というタイトルで、鏡台でメイクを終え、柔らかなドレスのドレープを直し、最後に香りをつける。それはローズのタルカムパウダーのように彼女を包み込む、というもの。

トップ:ブラックカラント、ヴァイオレットリーフ、ネロリ、ラベンダー
ミドル:ウォーターアイリス、マグノリア、ローズ
ベース:パチョリ、ベチバー、バニラ、トンカビーン

テーマそのものの香りで、柔らかなアイリスがバニラの甘さに包まれて始まります。あぁ、これはまさしくタルカムパウダーだ、と思っているとアイリスの中から少しフローラルノートが感じられるようになり、パウダリーな部分が霧が晴れていくようにゆっくりと広がりながらニュアンスだけを残して消えていきます。ブラックカラントのフルーティーな部分、ヴァイオレットリーフのグリーン、ラベンダーなどはほとんどわからず、パチョリやベチバーが効いたウッディベースにも感じられません。ただただ、全体としてタルカムパウダームスクとなって肌に残るのです。ボトルのカラーがベージュピンクなのですが、香りのイメージにぴったりです。(06/11/2018)

■Dolce Riso (2008年)

インディカ米と呼ばれるように、インドでは古くからお米が食べられており、シヴァ神からの贈り物として結婚式などでも使用されているそう。ライスシャワーの発祥はインドの宗教儀式にあったのですね。その古来の伝統を、命と喜び、そして飽きることない食べ物として賛辞した香り。

トップ:アップル、ライム、アルテミジア
ミドル:ライス、シリアルノート、ホワイトペッパー
ベース:ムスク、バニラ、トンカビーン

お米のドルチェはあまり日本では食べられていませんが、ライスプディングは有名ですよね。この香りは、まさにそれで、ライスプディングのニュアンスで始まるのです。タイトルに忠実な美味しい香りが、アップルのニュアンスを微かなアクセントにして香り、柔らかく肌に伸びていきます。トップがいちばん穀物系の香りが強く、スパイスのようにその部分が消えてプディングのように滑らかな香りへと変化していくのです。グルマン系の香りは多くありますが、ライスプディングは初めてなのではないでしょうか。とてもユニークで楽しいです。(06/11/2018)


■Mistero (2008年)

人格を形成している、ミステリアスな部分を香りで表現したもの。暖かく、リラックスできる心地の良さ、抱きしめたくなるような安心感。それは見つけようと思ってもなかなか具体的にはわからない自分自身の内側にあるもの。

トップ:ラム、ルバーブ、ミント
ミドル:オールスパイス、エレミ、サフラン、バスマティライス
ベース:オークウッド、ウード、ラブダナム、ムスク

これはどっしりとしたアンバーウッディです。香ばしいナッツ様の香りがスパイスと重なり、とカシューナッツにアンバーウッディを足したようなユニークな香りとなって広がります。香りはそこから少しスモーキーなテイストを感じられるようになり、ラブダナムが効いたオリエンタルウッディへと変化していくのですが、テーマからすると自分自身の内側に向けて、樹木が根を生やしていくようなイメージです。古い寺院などにしがみつくように根を伸ばす熱帯樹木のように、身体の内側にじわじわと根を張っていくような、温かみのあるアンバーウッディ。(05/11/2018)


■Ozio (2008年)

何もないという意味のイタリア語がタイトルに。それは、自然の中にポツンと放り出された時、身を置いた時、初めて自分の周りにある、見えなかった、感じられなかった自然の空気感、香り、音、色彩が見えてくる、というもの。今、心だけをそうした場所に連れて行き、解放してみましょうというもの。つまり、自分自身を開放し、平穏な時間を楽しむための香りですね。

トップ:レセダ、マスティック
ミドル:アイリス、ピオニー、メース、ホワイトペッパー
ベース:サンダルウッド、シダーウッド、ムスク

パウダリーなウッディムスクを想像していたのですが、パッとスパイスが弾けた後、大量のムスクに包まれて薄っすらとした主張の強くないパウダリーウッディが広がります。ムスクは確かに強いのですが、それがヴェールとなって全てを覆い隠し、スパイスの残り香と共にゆっくり静かに香り続けます。仄かな香り方がとても日本人好みだと思うのですが、主張が少ない分、個性的な香りを求める方には物足りなさを感じてしまうかもしれません。でも、フローラルが強くないウッディムスクですので、オールマイティーで使える香りですよ。(05/11/2018)


■Preludio d'Oriente (2008年)

タイトルはオリエントの序曲で、千夜一夜のアラビアンナイト、マハラジャの庭園、タージマハールのラヴストーリーなどをイメージしたアロマティックシプレな香り。

トップ:ベルガモット、レモン、マンダリン
ミドル:アルテミジア、フランキンセンス、スエード
ベース:パチョリ、サンダルウッド、ウード

フランキンセンスが強く出た香り。トップからシトラスとフランキンセンスが交じり合って香るのですが、レモンやベルガモットよりも少し甘いオレンジの香り(マンダリン)が強いですね。フランキンセンスはそのシトラスノート共に香るのですが、時間と共に深みのあるウードが加わっていきます。思いっきりフランキンセンスが強く出ているのにその姿がゆっくりと深みを増していく辺りが序曲のイメージなのでしょうか。ウードがセクシーさを増したところがミドルな感じで、ラストノートはまたフランキンセンスに戻ってフランキンセンス系ウッデイノートという終わり方をします。重過ぎることなく程よい具合で薄れて行きますので、濃厚系を期待すると少し残念なのかもしれませんが、EDTですからね。フランキンセンスのお好きな方には良いと思います。(05/03/2010)

EdPバージョンを追記です。ウードのアンバーウッディを強く打ち出したフランキンセンスがトップから香ります。シトラスノートは以前ほど強くは感じられず、全体的に以前のミドルノート以降を強化したような香り方をしています。よりオリエンタルでダークになった分、フランキンセンスらしさが少し隠れてしまいましたが、それでもキーノートであることは変わらず楽しむことが出来ます。(06/11/2018)


■Tepidarium (2008年)

古代ローマ時代の入浴前の準備室、つまり身体を温めておくスペースがタイトルとなりました。その頃からすでに床暖房のシステムがあり、ポンペイの遺跡にみられるのだそう。寒い場所から暑い場所に移動する前のちょうどいい温度、つまりは最高にリラックスできる時間を香りで表現したもの。

トップ:グレープフルーツ、レモン、ラム
ミドル:アカシア、マグノリア、ピニャコラーダ
ベース:ベチバー、ホワイトムスク、グリーンティー

あぁ、これはピニャコラーダなんだね、というとてもジューシーで美味しいシトラスフルーツでスタートです。皮の苦みも感じられる質の良いシトラスに重なっているのはパイナップルやパパイヤを思わせるトロピカルフルーツで、それがとてもジューシーで美味しく香るのです。少しカシスのような部分も感じられるのですが、その香りはグレープフルーツととても相性が良く、持続をして香ります。(香料名で書くとパラディサミドです)
ベースノートは強くはなく、トロピカルフルーツを崩すことなく消えていきますので、南国調に徹することでリラックス出来るリゾート風にしたのではないでしょうか。(05/11/2018)

 

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