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No.19 / ナンバー19

<香 調> グリーンフローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 14、28ml
<濃 度> P

トップ
ネロリ、ガルバナム
ミドル
アイリス、ローズドメイ、ナルシス、イランイラン、ジャスミン、ヘディオン
ラスト
オークモス、シダーウッド、ベチバー



 

1970年8月19日、シャネルの87歳の誕生日の後のクリスマスに初公開され、翌年の1971年に正式発売された香り。彼女にとっては遺作となった香りで、タイトルは自身の誕生日である19日から名づけられたもの。でも、もともとは当時上演されていた彼女の人生を描いたミュージカル「ココ」にちなんで「COCO」になるはずだったのだそうです。(COCOは84年に別の香りとして発売されましたが)彼女は発売から間もなくの1971年1月10日に亡くなりました。この香りが発売された時にはすでにパルファム・シャネル社の経営権は譲渡されていたのですが、彼女は自身の復帰を祝うために乗り気ではなかったパルファム・シャネル社に掛け合い、強行的にテスト販売を行ったのだそうです。

 



この香りを全身に浴びてチェックしていた彼女は住まいとなっていたホテルリッツから出た際に、見知らぬ男性に呼び止められて香水の名前を聞かれたことを嬉しく思い、発売を決心したそうです。毎週のようにチェックを重ねて1年かけて調整したそうです。調香はErnest Beauxの後任となったHenri Robertが担当。オリジナルのフォーミュラの中には1%しか使っていないそうなのですが、その1%のアイリスとガルバナムの調和というのがこの香りの軸です。ガルバナムの持つ強いグリーン香をアイリスが柔らかにまとめている、という調和。また大量のヘディオンを投入しているそうです。アイリスはコンクリートのとても高価なものを使用していたため、当初の発売価格もとても高く設定されていたのだとか。

 



と、ここまでがNo.19に関するストーリーなのですが、発売が1971年ということもあってまだ40年ほどの歴史です。上記にある画像のように手元には4本のタイプのパルファムがあるのですが、左から2番目の28mlボトルが1番古く、継いで1番左、右から2番目、1番右・・・という順序で新しくなります。(同じラベルの2本はボトルサイズがリニューアルで変更になったもの)この1番古いタイプのボトルはNo.5に照らし合わせてみると70年代の商品だということになります。(蝋印はCCのシャネルマークですから70年代後半ではないでしょうか)そう、発売からお10年以内の品です。そして1番新しいものは近年の10年以内の製品です。この4種類を全て同時に香ってみたところ、やはり香りに違いが感じられました。No.5ほど顕著ではないのですが、印象は同じで新しいものほどフレッシュでアイリスが強く出てくるのです。古いものの方が深みがあり、変化が緩やかで全体的に穏やかなんですよね。近年のものの方が香りの変化が早くてすぐにアイリスにたどり着くというか、つけた瞬間からアイリスがメインに香っているくらいです。アイリスの主張がとても強く、現代のものでも貴重なコンクリートを贅沢に使用している感が感じられるとても素敵な香りなのですが、ガルバナムが薄っすらとシプレと絡まる昔の香りの方がシャネルらしいのかな、という気がします。持続が長いのは現代のバージョンの方ですからひょっとしたら合成香料のアイリスと少しブレンドされてアイリス香が強化されているのかもしれません。(でもそうとは感じられないくらい精油に近い香りがしています)

 



ローズもイランイランもナルシスもジャスミンもアイリスを軽やかにするだめだけの役割でしかなく、決して前に出ることがありません。アイリスだけだとどうしても「香水」として楽しいものにはなりませんからこういう補佐する香りたちが重要なのですが、少しシプレ調になったグリーンシプレなラストノートはアイリス好きにはたまりません。

(05/04/2010)

 

 

 

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