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No.5 / ナンバー5




1943年


1946年


2009年

<香 調> フローラルアルデヒド
<仕 様> レディース
<容 量> 100ml、50ml、7ml、7.5ml、14ml、15ml、28ml
<濃 度> EDT、EDP、P

トップ
イランイラン、ネロリ、アルデヒド
ミドル
ジャスミン、ローズドメイ、アイリス、スズラン
ラスト
サンダルウッド、ベチバー、ムスク、バニラ、シベット、オークモス



■Eau de Toilette

1921年発売の歴史的な香り。ロシア生まれの調香師Ernest Beauxが手がけたアルデヒドをはじめて多く使った香り。シャネルがアパレルで成功した後に、彼のもとを訪ねて香水の制作を依頼したのが1920年です。彼はNo.1〜5とNo.20〜24の2つのシリーズを差し出したところ、彼女は5番を選んだのです。5/5にちょうどコレクションを予定しており、当時のラッキーナンバーが5番だったのだという噂もありますが、真意は時代と共に様々な形に変わっていきました。本人の口からもいろいろ語られていたようですよ。

女性のための女性の香り。

それを意識して彼女が依頼したのは誰もが作り出さなかった新しい香りでした。他人にコピーさせることをとても恐れた彼女は、当時模倣できないような高価な香料を使用することにしたそうです。彼女自身が天然香料にこだわりを持っていたわけではなくて、あくまでも「うまく調合された香りが好き」だったのだそうです。天然香料は女性がつけると合成っぽく感じるので、自然な香りは人工的に作られたものに違いない」と語っています。皮肉なものですが、精油の香りが生花とはかけ離れているというのは良く知られています。

当時、合成されててはいたものの、疑心暗鬼であまり多く使われていなかった香料にアルデヒドがあります。炭素数によって違うC-10、11、12ラウリル酸アルデヒドの香料を1パーセント配合しています。C-9とC-11はキャンドルのようなワックス臭が、C-8、C-10、C-12ラウリックは金属的な香りがします。C-11はローズオイルの中から発見されていますし、偶数のものはシトラスの果皮から発見されています。(それをもとに合成されたわけです)アルデヒドはフローラルを引き立てるために微量に使われますが、もともと0.1パーセントだったところを助手が間違えて10倍とし、1パーセントにしてしまったという話もあります。

面白いのは濃度によって香りが違うらしいということ。(注:下記のEDPの追記で比較しています)ParfumはErnest Beauxが、Eau de ParfumはJacques Polgeがリニューアルを、Eau de ToiletteはHenri Robertがリニューアルしているのです。もともとパルファムしかなかったのに、後年になって作られたのかもしれませんが。

香りは言わずもがな、という感じのフローラルアルデヒドで、さすがにトワレだけあって軽やかです。一時期の大ヒット作というか、母親世代はこれだったなぁ、と懐かしく思う香りだったりします。香水と言えばシャネルでしたもんね。香りの変化はそれほど大きくは無く、イランイランとジャスミンとローズ、そこにアルデヒドがどっさりと香ります。ベースノートで出ているのはオークモスとウッディノートくらいです。シベットもバニラもあまり感じられませんから。アイリスのパウダリーさも「パウダリーだ」と思うほどには出ていません。パルファムだともっと出ているのかもしれませんね。とにかくアルデヒドと言われたら典型的に思い浮かぶのがこのNo.5なのです。

僕はもともとあまりシャネル自身に興味が薄くて馴染みがありませんでした。シャネルも僕の中では量産品でしかなかったのです。(最近は高級ラインが出てきましたけど)久しぶりにフルボトルから香ったシャネルのNo.5は、品格ある香りとなって感じられます。フルーティーフローラルよりも断然かっこ良い香り。このうちアルデヒドが再流行してくれる日があると良いなぁ。



 


■Parfum

トワレとの一番の違いは香りの深みです。濃度が薄くなればなるほど香りはフレッシュに感じますので、パルファムは一番深みが出てきます。オークモスとアルデヒド、ローズがトワレよりも強く出ている気がするのですが、ベースノートがどっしりあるように感じるのがパルファムの特徴なのかもしれません。全体的なトーンは同じなのですが、やはり香りたちは圧倒的にまろやかで、肌と一体化して薄い膜を作り出す感じがします。やはりパルファムがあるものはパルファムが一番良いですね。(用途にもよりますが)

 



このNo.5はいろいろな国の方が独自に模倣を試みていますので、様々な調香が公開されています。その中で一見無造作にも思えるこのレシピが再現して頂いたらかなりそっくりでびっくりでした。ほぼ天然由来の成分で再現出来ているので、調香のスクールに通われている方は試されると楽しいかも。トワレ濃度でも十分楽しめます。パルファム濃度で作ってしまったら、発売当時のものに近い雰囲気が楽しめそうです。そして、ちょっとローズの強いバージョンとかイランイランの強いバージョンとか、アイリスを加えたものとか、好きな形にカスタマイズ出来るのが楽しいです。贅沢な遊びですが・・・。数種のムスクとアルデヒド、アニマル香料が必須ですので個人が精油だけで模倣しようとしても近い香りにはならないです・・・。

(27/06/2009)

 

 

 

■Eau de Parfum

EDTとEDP、Pと3種の比較をすることが出来ました。1番馴染みの深いものはEDTとPなのですが、基本的に深みが違います。このパルファムもヴィンテージのものと90年代あたりからのものでは違うのですが、わりと現代に近いものとEDTはかなり似ているように思います。(単純な濃度の違い)でも、EDPはまた少し違うのです。EDTは軽やかなジャスミンとネロリの綺麗な部分を誇張したようなフローラルでベースノートはほとんど出てこないのに対し、EDPはアルデヒドも強くてハニーノートを感じる別物です。でもちゃんとNo.5なんですよ。イランイランはEDT>EDP>Pと強くなる気がしますが、このEDPは1986年にChanelの3代目となるハウスパフューマーJacques Polgeが手がけたものです。上のEDTの行にも記載をしていますが、ParfumはErnest Beauxが、Eau de ParfumはJacques Polgeが、Eau de ToiletteはHenri Robertがリニューアルしたバージョンとなっているのです。3者それぞれのNo.5ということになります。3者3様のNo.5ですが、濃度の違いだけではなくて香りも雰囲気も少しずつ違っていて楽しいですね。EDPはアルデヒドが強くて期間限定で発売される入浴剤(バスミルク)の香りが1番近いです。ひょっとしたらバスラインとかボディラインの製品はEDPが近いのかなぁ。

(02/04/2010)

 

 

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