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Eau de Space / オー・ドゥ・スペース




Eau de Space
オー・ドゥ・スペース
Eau de Luna
オー・ドゥ・ルナ

2020年7月にクラウトファンディング大手のKickstarterで始動したEau de Spaceというプロジェクト。NASAは随分前に宇宙の香りを帰還した宇宙飛行士たちから聞き取り、再現していました。それは、宇宙空間で体験する匂いに驚かないようにする目的で作られたものでした。宇宙空間に出るという危険な行為に際し、驚くというリスクを軽減したかったわけです。

嗅覚的な面から考えると、宇宙空間に出た時に宇宙そのものの香りを知らないと、危険を察知できないという点も考えられます。地上でも、日常の匂いを知っているから異質な匂いを感じ取ることが出来るわけですから、慣れておかなくてはならない。だからトレーニングの意味で作られていたわけです。

「宇宙の香り」は長い間、宇宙飛行士のみに限定され企業秘密でアクセスできませんでした。長くNASAの秘密保持の元にあったのですが、情報自由法により開示され、商品化することが決定したのです。そのためにクラウトファンディングが利用されたのですが、話題を呼びあっという間に目標額である$1,969 (21万)を達し、最終的には$614,376 (6,700万円)となって終了となりました。企画が大きく広がったことで容量は50mlから100mlへと変更され、途中でEau de Luna (月の香り)も加わりました。

ところが、蓋を開けてみると過去最悪のクラウトファンディングとなったのです。10月発送の予定がコロナ禍で遅れに遅れ、クリスマスにも新年にも間に合わない発送となった上に、世界中のバッカーたちがコメント欄を埋め尽くすほど、未到着が続出したのです。ほとんどが破損だと思われます。サンフランシスコでMatthew Richmondによりスタートしたプロジェクトはイギリスでコンパウンドが作られ、あたかもイギリス製のようなイメージで進められましたが、最終的に充填、パッケージング、配送が行われたのは中国でした。そして、悪評高い中国郵便で送付されたのです。トラッキングはあるものの、2か月を過ぎたあたりで追跡不能となる始末。詐欺だ返金だと大炎上する中で、4月に再送付がアナウンスされたのですが、今度もまた中国郵便での発送でした。今だに届いていない方も多くいるようで、炎上は続いています。また、エアパッキンに包んだだけの簡易包装だったため、破損が相次いだことも炎上に油を注いでいます。どこまでも残念な企画でしたが、日本からは331名がバッカーとして参加したのでした。これは、アメリカ : 7,733名、カナダ : 447名、イギリス : 436名に続く4位の人数で、その下はオーストラリア : 308名、ドイツ : 245名、中国 : 239名、香港 : 196名、フランス : 190名、タイ : 146名と続き、合計12,994名でした。

クラウドファンディングは終了しましたが、共に49ドルで販売されています。ちなみに、NASAが作ったのは事実ですが、この香りを手がけて販売している会社はNASAの開示情報を利用したLAの会社ですので、NASAと提携しているわけではありません。また、商品自体は突っ込みどころが満載ですが、香り自体は意味をもって作られたユニークな香りで、それがどのようにして生まれたのか、想像が広がります。決して、悪くはありません。むしろ、とても面白いです。(27/05/2021)


レヴュー済みのものはタイトルにリンクあり
Eau de Luna (2020年)
Eau de Space (2020年)
 

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