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Sampleレヴュー

■Spring Poetry (2022年)

春を迎えるその草花が目を覚まし息吹く様子をテーマとした香り。

トップ:グリーンリーフ
ミドル:バーチリーフ、ジャスミン、タジェット
ベース:ベチバー、パチョリ、ホワイトアンバー、ムスク

あぁ、これはグリーングリーングリーンな香り。それもダイレクトにGivaudanのBirch Leavesのコンパウンドを軸にした香りです。こうしたフレッシュなバーチリーフを香ると、北欧のサウナがイメージされてきます。サウナで水分を付けて身体をたたき、芳香と水分でリフレッシュするフィンランドのヴィヒタです。フローラルノートがとても薄く、ベースも主張するほど前に出てきませんので、あくまでもバーチリーフを楽しむための香りとなっています。(25/11/2022)


■Il Gondolieri (2021年)

ゴンドリエーリはヴェネツィアのゴンドラ乗りのこと。彼らは観光客を乗せて、歌いながらカナール(水路)を回ってくれるのです。

トップ:アクアリート、ホワイトペッパー、アニス
ミドル:ジャスミン、ジュニパー
ベース:サンダルウッド、マホガニー、シダーウッド、ソルトノート、アンバー

水の都ヴェネツィアはやはり水の香りに。フレッシュでアクアティックなフローラルウッディムスクで、フレッシュノートが一番多く感じられます。それでも2000年代のファッションフレグランスほどグイグイと攻めてくる強さはなく、ふんわりと包み込む優しいテイストでEdTのように軽やかに広がっていきます。リアルな磯臭さトがないため、ヴェネツィアというよりもどこまでも透明なマリンリゾート系の香りです。(25/11/2022)


■Dreaming Ceylon (2020年)

紅茶の有名な産地であるスリランカ。セイロンティーをテーマとした香り。

トップ:ホワイトペッパー、ベルガモット
ミドル:ブラックティー、ジャスミン
ベース:ベチバー、パチョリ、ホワイトアンバー、ウッディノート

とてもフレッシュで爽快なシトラスアロマティックで幕開けです。ペッパーというほどスパイシーではなく、シトラスノートにフレッシュノートが重なった感じのトップで、その爽快なシトラスフレッシュが薄れてくると、これがブラックティーの部分なのか? というフローラルへと切り替わります。近年、ブラックティー系の香料が天然由来の抽出品として出回るようになりましたが、それらとは全く違う、フレッシュフルーティーフローラルに近いまとまりです。ブラックティー系のフレグランスには感じられないのですが、そのテイストはとても日本人が好むもので、ほの甘いラストノートはとても繊細です。(25/11/2022)


■Taxi Driver (2020年)

1976年に公開された同名の映画をタイトルとした香り。つまりは車内の匂いを作ったのです。

トップ:ホワイトペッパー、ブラックペッパー
ミドル:ジャスミン
ベース:レザー、スエード、パチョリ、アンバー

ダブルペッパーでスパイシーにスタートするのかと思いきや、それよりも合成香料のメタリックなトーンが弾けました。リアルに車を表現したのでしょう。そこにジャスミンとスモーキーなタール系レザーが重なっているのですが、彼のジャスミンアコードはとてもフルーティーで、それが他のフレグランス中にも感じられます。ジャスミンがなければとても力強いメンズになっていたところを、ジャスミンがユニセックスに引き寄せている感じで、レザーよりも仄かなスモーキーなウッディノートがジャスミンに重なり消えていきます。(24/11/2022)


■Drama Queen (2019年)

Anna Magnaniというイタリア人女優をテーマとした香り。

トップ:フレッシュグラス、ペッパー、ジュニパー
ミドル:ウォーターリリー、チュベローズ、ヒヤシンス、ジャスミン、ヘリオトロープ、ライスパウダー
ベース:アンバー、サンダルウッド、アイリス、パチョリ、レザー、オークモス、バニラ

残念ながらこの女優さんに明るくないのですが、香りはアイリス強めのパウダリーなフローラルムスクで始まります。チュベローズの中のココナッツをミルクに置き換えたようなラクトニックさで、アイリスのパウダリーなトーンとヒヤシンスのグリーンフローラルなトーンが良きアクセントとなって広がります。とても違和感を感じるカオスなまとまりで、ライスパウダーは不要だったのではないかと感じられるほど。少し理解しがたい調香ですが、混沌とした雰囲気がテーマだったのかもしれません。(24/11/2022)

 

 

■L'Artiste (2018年)

アルメリア系フランス人の俳優で歌手、Charles Aznavourの大ヒット作La Bohemeをテーマとした香り。キャバレーのシーンをイメージしたようです。

トップ:ベルガモット、ブラックペッパー
ミドル:ゼラニウム、ローズドゥメイ、タイム、ローズマリー
ベース:ホワイトアンバー、アンバー、パチョリ、ウッディノート、レザー

調香のままに、これはとてもゼラニウムの強い香りです。ベースノートがトップからは全く香らず、ただただゼラニウムがシトラスと明るく弾け、そこから微かな案ベースに支えられたゼラニウムが薄れて消えていくという香り。ラベンダーがあればメンズのフゼアになっていたことと思いますが、ラベンダーの代わりにタイムとローズマリーがあり、どちらかというとメンズっぽい、という程度に収まっています。ダーク過ぎないベースがとても繊細で、ゼラニウムをそっと支えて香ります。男性はもちろんのこと、女性の方がクールな印象になりそうな香り。(22/11/2022)


■Clown (2018年)

何か特別な意味でもあるのかと思ったのですが、普通にサーカスのピエロがテーマのようです。

トップ:ベルガモット、ユズ
ミドル:アイリス、ジャスミン、カルダモン
ベース:サンダルウッド、エレミ、アンバー、パチョリ、レザー

これはとてもスムーズなレザーです。Cuir Dandyよりずっと穏やかなレザーで、アイリスをアクセントに柔らかく静かに広がっていきます。トップでこそシトラスが明るく弾けましたが、ユズのアクセントは強くはなく、シトラスの一部に収まっています。時間と共に少しレザーにアンバーが重なり厚みを増していきますが、サーカスというよりも絵画の中のレザーのように動きのない空間を漂っている感覚のレザーです。(22/11/2022)


■Cuir Dandy (2017年)

Beau Brummellというイギリス人俳優をテーマとしたメンズの香り。昔のイギリス人だからイメージはダンディなんですね。

トップ:ベルガモット、オレンジブロッサム
ミドル:タバコリーフ、ジャスミン、ホワイトペッパー、チューリップ、ベイリーフ
ベース:スパニッシュレザー、アンバーグリス、ホワイトアンバー、ホワイトムスク

フゼアではないけれど、どこかフゼア調にも感じられるアロマティックなレザー風です。スモーキーなタールのレザーではなく、サフランの柔らかさを生かしたレザーノートで、タバコも強くはなく、レザーも力強くはなく、ダンディというほどオジサマ調ではなく、どの年代にもフィットしそうな物腰の柔らかな青年像が浮かびます。オイリーなウッディノートがベースにあり、全体のトーンとしてはクラシカルなメンズ香となっています。(22/11/2022)


■Figueres (2016年)

ダリの故郷であるスペインのカタルーニャの田舎町Figueresをイメージした香り。Figueresはフィグから名付けられたのだそう。

トップ:フィグ、グレープフルーツ
ミドル:ヘディオン
ベース:ホワイトアンバー、バニラ、アンバーグリス、ホワイトムスク

安心して使えるフィグらしいフィグでスタートしたのですが、すぐに強めのアンバーグリスが気になり始めました。フィグのグリーンノートはどこかツンツンとしたシャープさがあるのですが、その部分にスパイシーにも感じられるアンバーグリスを合わせたのでしょう。時間と共にまろやかでクリーミーな美味しいフィグに感じられるようになるのですが、ヘディオンだけでなくジャスミン調がもう少し強かったらフェミニンに感じられていたのかもしれません。少しクールなスタイルのフィグです。(21/11/2022)


■Blur (2016年)

ぼんやりとした意味のタイトルですが、それは香りから名付けられたもの。

トップ:ワイルドベリー
ミドル:ヘディオン
ベース:ホワイトアンバー、エジプシャンムスク、ホワイトムスク

調香からしてベリー系ムスク、それもL'Artisan ParfumeurのMure et MuscやPalazzo VecchioのMuschio e Moraを思わせるベリームスクです。ムスクの種類がMure et Muscほど強いもわもわとしたタイプではなく、比較的あっさりとしたランドリー系のもののようで、あっさりとしたスイートムスクとなって落ち着きます。大量のヘディオンがムスクを軽やかにしてくれているのです。アニマリックでもなく、床屋系でもなく、清潔感を感じるフレッシュなベリームスク。(21/11/2022)

 

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