1998年発売で大ヒットしたシグネイチャーフレグランスです。翌年にメンズが発売となったのですが、この捻ったボトルが印象的でした。シグネイチャーフレグランスなのに廃番となってしまったんですね。Incantoシリーズがアジアでブレイクした辺りからフェラガモの香水部門のイメージが変わってしまいましたので、こちらの香りは少しテイストが違ってしまったのかもしれません。ファッションフレグランスにしては珍しくパルファムを発売していたのですが、香りはなんだかパルファムらしくないシアー系フルーティーフローラルです。EdTやEdPのようなスパークするトップノートが感じられず、あれ? と思うほど肌の上に貼り付いて香ります。薄いのでは? と気になるくらいの香りたちで、ムスクのように肌の上5cm程度でしか香っていません。セクシーに香らせるためのものだったのかもしれませんが、これくらいの弱い(儚げな)香りたちであれば、点で付けるよりもしっかりとプッシュしてしまいたいところ。

香りはトロピカルブームに向かう前のシアー系が好まれた90年代後半らしい香りです。アニスとフルーツにフローラルノートが重なりますが、1つ1つのフローラルは明確ではなく、単品香料でレイヤーのように重ねられた1枚の布といった感じの香りです。ムスクもアーモンドっぽい部分(アーモンドというよりもヘリオトロープのよう)もありますが、柔らかく仄かに香り続けます｡付けすぎても気にならない不思議なパルファムです。

調香はJacques Cavallierなのですが、全体的に見てこの香りの2年前、96年に発売されてブレイクしたChanelのAllureの流れを汲んだ香りと言えそうです。同じ路線でヒットを狙ったのでしょう。今の現行品たちは可愛らしくてキュートなものか多いのですが、この香りはラストノートのムスクがフェミニンでセクシーに香ります。

(22/02/2012)