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Sampleレヴュー

■Meraki (2019年)

Serge Lutensが資生堂のためにプロデュースしてヒットした、Nombre Noirへのオマージュとして作られた限定品。

アルデヒド、ベルガモット、アプリコット、アンバーグリス、ピーチ、ローズ、コリアンダー、オスマンサス、ハニー、ジャスミン、シダーウッド、ムスク、サンダルウッド、パチョリ

まず、オマージュとして作られたものでありながら、彼はNombre Noirを香ったことがない、という大前提があります。だから、調香にあるとされている香料だけでイメージして想像の香りを作ったのです。だから、結果としてNombre Noirとは似ても似つかない、DNAを全く感じない香りとなりました。アプリコット調の少しクリーミーなフローラルウッディというだけで、シプレの要素もないし、何よりもムスクが全く違います。ハニーノートが効いたフロリエンタルはあの80年代特有な雰囲気を表現するキーノートではあるのですが、混ぜただけの雰囲気で何が何だかよくわからないような、つまりまとまりがないのです。プロがしない調香ですので、市販品にはないテイストではあるのですが・・・。Nombre Noirの名前を出すのならば、オマージュというならば、もっと本格的に向き合って欲しかったと思う方が多いのではないでしょうか。タコ焼きを食べたことのない外国人が、アニメで見て食べたくなり、タコを使うことなくフライパンで作ってみた。そんな違和感を感じる香りです。せめて、世界中の人たちのレヴューを読んで想像力を働かしていたら、せめてローズとシプレムスクが軸であることくらいは分かったのではないかと思うのですが。(24/12/2019)

 

 

■Harem Rose (2017年)

オスマン帝国第10代スルタンのスレイマン1世が妻のRoxelanaに宛てて書いた愛の詩にインスパイアされたもの。

アンバー、ベンゾイン、バニラ、ローズ、カシミア、ウッディノート、ベチバー、ムスク

比較的わかりやすいアンバーローズかな、と予測していたら、トップでフルーティーなローズが一瞬香っただけでそのほとんどはアンバーでした。トルコならばローズをもっと前面に押し出しても良かったのではないかと思うのですが、かなり渋めなアロマティック系アンバーローズとなっているのです。これはローズアブソリュートを使用しているからなのかもしれませんが、ゼラニウムと調合香料タイプを加えたら一気にリフトアップしていたのではないでしょうか。タイトルにするにはちょっと物足りないローズだけど、メンズだと言われれば仕方ないか、というバランスで、気を付けて香っているときちんとローズが香っていることがわかります。男性にはこれくらいあからさまではないローズの方がセクシーですからね。(01/11/2017)


■Fatih Sultan Mehmed (2017年)

オスマン帝国第7代スルタンのメフメト2世をテーマとした香り。12歳で即位し、21歳でコンスタンティノープルを征服してビザンツ帝国を滅ぼした人。

トップ:ベルガモット、アップル、ペティグレン
ミドル:ローズ、アイリス、チューリップ、バニラ、ベンゾイン、アンバー
ベース:アンバーグリス、シダーウッド、パチョリ、ウード

スモーキーでパウダリーなフルーツ・・・。一見ミスマッチな組み合わせですが、それらをとてもトルコっぽいと感じられるのがシーシャ、つまり水たばこです。フルーツが薄れるとパチョリがスモーキーノートに重なり、薄いヴェールのような儚げなスモーキーオリエンタルウッディとなって落ち着きます。この残り香はパチョリがメインですが、結構パウダリーさも出ていてクラシカルな良さを感じさせてくれます。系統で言うとAnnick GoutalのMon Parfum Cheriが近く、これはその水たばこバージョンという感じでしょうか。トルコで水たばこを体験した者としては、ちょっと懐かしく思い出しながら香りを楽しめました。呼び起こされる風景や記憶が多ければ多いほど、人生は豊かになっていくのかもしれません。(01/11/2017)

 

 

■Maduro (2016年)

1961年、キューバのハバナにて。その年は酷い干ばつで、タバコの葉の収穫が足りず、アメリカに向けて処女航海をしたReina del Mar(海の女王)はマドゥーロ葉巻を1箱しか積み込むことが出来ませんでした。空いた貨物室には、新鮮なトロピカルフルーツが詰まれていたのですが、航海から2時間後、海賊船の襲撃を受けてしまったそう。でも、貴重なマドゥーロの木箱は見つからず、未だメキシコ湾の底にあるのだそう。

バジル、アップル、パイナップル、タバコ、アンバー、ビーワックス、シナモン、バニラ、パチョリ、ベチバー、ベンゾイン、アトラスシダーウッド

トップでは、いろいろな要素がバラバラに弾けます。バラバラであることがわかるのに一つになっているというのはモザイク画のような感じで、パッと散った瞬間に1つ1つの欠片をキャッチしたような雰囲気。バジルのアロマティックさ、アップルとパイナップルのフルーティーさ、そしてタバコの香り・・・。そこにシナモンとウッディノートも感じられました。ところが、その後すぐにそれらは消え失せ、薄っすらとしたオリエンタルウッディが残るのです。ただ、それだけでは終わらず、第一幕のトップが過ぎ、第二幕の穏やかさを感じたらその後に続く第三幕はアニマルムスクだったのですから。ハニー調のアニマルムスク(という調合香料)が最後を締めてくれます。(01/11/2017)


■Charlatan (2016年)

いかさま、ペテン師というタイトルです。でも、イメージとしてはペテン師というよりも奇術師のような感じで、くるくるっといろいろな景色を見せてくれる香り。

トップ:ペア、チョコレート、トリュフ
ミドル:ローズ、ジャスミン、オスマンサス
ベース:バニラ、サンダルウッド、アンバー

あぁ、ペアだ、チョコレートだとその飛び散った欠片を探している中から、ぶわーっと品質の良いジャスミンがあふれ出しました。この中のジャスミンは早春に一気に咲く少しピーチっぽいフルーティーさのあるハゴロモジャスミン風で、あの香りを知っていると「あれあれ、あれだよ」と楽しくなってきます。フルーティーさがペアだけでなくアップルやピーチも隠されているからなのでしょう。その美しいフローラル部分を楽しんだ後、香りはゆっくりとフルーツを残しフローラルが薄れていきます。ベースにあるはずのオリエンタルノートはあまり感じられず、オフィシャルにあるようなグルマンは感じられません。とても美しいジャスミンに、ユニークなアクセントとしてチョコレートがあったというもの。最後はアンバームスクが肌に残りますが、それでも時折ハゴロモジャスミンが肌から離れたところで感じられます。ある意味、これは凄い。(31/10/2017)


■Confessions of a Garden Gnome (2016年)

花咲く春、凍える冬、夏の日差し、秋風・・・それは共に過ごした者だけが知る。庭の小人(ノーム)の告白というファンタジーなタイトルで、四季の移り変わりを見たノームの視点で香りが作られたというもの。

トップ:ベルガモット、コリアンダー、ユズ、ピンクペッパー
ミドル:ローズ、リリー、スズラン、マンゴー、ヴァイオレットリーフ
ベース:アンバーグリス、アンバー、ムスク、シダーウッド

とても混沌とした香り。少し生臭くも感じられるヴァイオレットリーフのアブソリュートを使用し、ビターなシトラスノートに合わせてみたものの、そこにフルーツはおかしいでしょう・・・というような、ユニークなものにすべくわざと違和感のあるものを投入したような印象を受けます。四季全てのものをミックスしたからといって一年になることはなく、そこは混沌が生まれてしまった、と。決して変な香りではなく、季節的には秋に近いシトラスグリーンなのですが、余計なものをそぎ落とすともう少し綺麗な香りになりそうな気がします。(31/10/2017)


■Amber Absolutely (2016年)

ニッチなフレグランスに目覚めた人たちが、一度ははまる、魅了される通過儀礼のような香り、それがアンバーです。それは、ファッションフレグランスにはオリエンタルこそあれど、アンバーは単体でテーマとされにくかったから。

プラム、ローズ、ハニー、ベチバー、シダーウッド、ムスク、ベンゾイン、ラブダナム

商品数の多いニッチなフレグランスブランドには必ず1つある、というのがアンバーです。それほど人々に愛される魅惑の香りなわけですが、調香としては比較的簡単で、10種ほどの香料があればアコードが作れてしまいます。それゆえに、どのブランドがアンバーを作っても、比較的似たような香りとなるため、商品としてはアンバーローズだったり、アンバーウッディなど変化させていくわけですが、これは教科書のような典型的なアンバーノートです。ハニーローズが隠れているところがポイントかな、と思いますが、タイトルとなっているように軸は飽くまでもアンバーで、誰もが一度は好きになる、通過儀礼のような香り。(30/10/2017)


■Mr. Bojnokopff's Purple Hat (2016年)

Bojnokopffって誰? という所からのスタートですが、1897年、ロシアのサンクトペテルブルグにて・・・というサブタイトルがあるように、彼の妄想の世界です。紫の帽子にラベンダーを詰め、爆発音と共にイリュージョニストは消え、帽子だけがステージに残っている、というもの。

トップ:ラベンダー
ミドル:ダークチョコレート、シダーウッド
ベース:ウード、ガイヤックウッド、バニラ、ベチバー

ラベンダーというのは、たくさん使用しても一度に弾け、あまり持続をしません。シトラスのように散るというのが相応しい香り。それが、とても印象的に香り、爆発音というかイリュージョンの一瞬の煙幕にぴったりなオープニングを飾るのです。わぁ、と一瞬のラベンダーに驚かされた後、香りはすぐにガイヤックウッドを軸としたオリエンタルウッディへと変化していきます。チョコーレートというほどグルマンではないし、ウードというほどどっしりとしたアニマリックなウッディではありません。飽くまでも、スパイシーでスモーキーなガイヤックウッドを活かしたオリエンタルウッディという形です。(30/10/2017)

 

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