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Sampleレヴュー

■Silky Woods (2021年)

オーストラリアンサンダルウッドをテーマとしたThe Botanical Seriesの最初の香り。オーストラリアンサンダルウッドの学名はSantalum spicatumで、厳密にはインドのSantalum albumとは違いますが、それを言ったら現在大人気のニューカレドニアンサンダルウッドもSantalum austrocaledonicum Vieillだし、ハワイのものもSantalum paniculatum Hook. & Arn.です。この香りはクイーンズランドというオーストラリア北東部にある熱帯地域で栽培されているウードオイルを使用した香りです。

オーストラリアンウード、スエード、タバコ、サフラン、シナモン、フランキンセンス、イランイラン、ムスク、オーストラリアンサンダルウッド、タヒチアンバニラ

これはグルマンかと思うほど濃厚に甘くスタートしたのですが、すぐにその甘さにスエードが加わりました。スエードは甘くした方がしっとりと肌に馴染みます。そこにサフランや微かなシナモン、ウッディノートが重なり、とても厚みのあるウッディノートを形成しているのです。スモーキーだったり、金属的なタイプのレザーではなく、バニラに包まれた甘やかなスエードで、それがとてもウッディノートにマッチしているのです。サンダルウッドもココナッツの甘さを強く感じるものではなく、その点もバニラがしっかり効かせた利点なのではないでしょうか。スエードの部分は合成香料ではありますが、全体的にとてもナチュラル感が強く、滑らかでセクシーなウッディレザームスクとなって肌に馴染んでいきます。これはリッチだ。今回も濃度は20%で、310ドルで発売に。(14/01/2022)

 

 

■Velvet Splendour (2019年)

7つ目の香りは、南オーストラリアの大自然がテーマとなりました。そこには、ヨーロッパとはまた違う品種のミモザがたくさん育っているのです。オーストラリアではWattle Treeと呼ばれているそうで、1988年にオーストラリアの国花となりました。下記の画像のミモザなのですが、なるほどよく見るタイプとは葉が違いますよね。でも世界中には200種を超えるミモザがありますからね。調香は今までと違いWessel-Jan Kosが担当です。

 

 

マンダリン、オーストラリアンミモザアブソリュート、オレンジブロッサム、サンバックジャスミン、サンダルウッド、パチョリ、ベチバー、レザー、トンカビーン

なるほどミモザだね、というアニス調の甘さがふんわりと穏やかに香り始まります。でも、そこにはヘリオトロープの杏仁っぽいパウダリーノートが重なり、フローラルではあるもののベージュ色のようなウッディノートに溶けているという印象で、アブソリュートのワイルドな部分を全く感じさせない、とてもきめの細やかなクリームのように肌に密着して溶けていきます。ボディクリームにあってもおかしくない、クリーミーで滑らかな香りです。この香りは他の香りとは違うアプローチだなぁ、と感じたのですが、別の方が調香されていたことをレヴュー後に知ったのでした。(02/08/2019)


■Southern Bloom (2018年)

オーストラリアの春は9月、それはブラウンのボロニアが咲く季節。彼はタスマニアの産地に出向き、溶剤抽出の様子を見学して香りに組み込んだのでした。下記の写真の花がボロニアで、そのアブソリュートはとても高価な天然香料です。また、オーストラリアは藻の影響で美しいピンクに染まる湖がいくつかあるのですが、タスマニアにもあるようで、鮮やかなピンクの液体となりました。

 

 

マンダリン、タスマニアンボロニアアブソリュート、サンバックジャスミン、カシス、オーストラリアンサンダルウッド、ベチバー、イランイラン、ココナッツアコード、アイリス、アンバー、ムスク

美しいピンクのジュースからは想像に遠い、スイートフローラルウッディで、どうしてもピンクのイメージで可愛らしい、フルーティーなニュアンスを想像してしまうのですが、ココナッツがアクセントとなった少しパウダリーなウッディノートにフローラルが少し重なって香ります。言葉を選んでしまうほど地味目な香りではありますが、ラストノートは何となくゲランのオポポナックスベースを彷彿とさせる香りとなっていきますので、とても品の良いシックなまとめ方だと思いました。ボロニアの花は同じオーストラリアのフローリストGrandifloraでも取り上げられ、Bertrand Duchaufour氏がオリエンタルな香りにまとめています。(02/08/2019)


■Wood Infusion (2017年)

オーストラリア東部クイーンズランド州にある砂の島と呼ばれ、世界自然遺産となっているフレーザー島をテーマとした香り。島ではどこでも見られる樹木たちを組み合わせたウッディフレグランスに。

 

 

オーストラリアンエキゾチックウッド、スイートオレンジ、アイリス、ウード、ラベンダー、パチョリ、ムスク、アンバー

これはしっかりとしたウッディフレグランスです。サンダルウッドの甘いおが屑香にアンバーグリスが重なる形でスタートし、あぁ、ウード系を目指したのかと思っていたら、香りはどんどん近年とても多いアンバーウッディ系の香りへと変化していきました。確かに時代には合っていますが、多すぎて少しゲンナリしてる人も多いのではないでしょうか。それでも後半は少しアンバーウッディ調も控えめとなり、クリーミーなウッディがムスクに包まれて滑らかに香ります。(01/08/2019)


■Blue Cypress (2016年)

カカドゥという国立公園のある地域では、カカドゥブルーとも呼ばれる、ブルーサイプレスの産地でもあります。だから、これはその精油を使用した香りに。

 

 

ブルーサイプレス、ラベンダー、パチョリ、クローヴ、スターアニス

何とも懐かしい、90年代のメンズフレグランスを彷彿とさせる香り。ラベンダーとサイプレスがたっぷりのフレッシュノートに包まれ、少しマリンっぽいニュアンスで香ります。もう少し精油感のある香りだったらアロマティックにも感じられたでしょうし、ブルーサイプレスの配合が多かったら、着色も必要なかったはずです。そうこの香水の色は青色1号という色素によるものなのです。フレッシュアロマティックな香りとしては決して悪くはないのですが、テーマと重ねると少し物足りなさを感じてしまいます。スパイスもパチョリもとても控えめで、全体的に主張が少ないので、腰の低いサラリーマンといったところ。(01/08/2019)


■Desert Rosewood (2016年)

ビクトリア州と言えばメルボルンのある州ですが、彼はその州の中でも砂漠の中央高地を選びました。使用されたのはその地で栽培されているローズウッドです。

 

 

ローズウッド、マンダリン、カルダモン、ベンゾイン、バニラ、パチョリ

ローズウッドというのはリナロールが主成分であるわけですが、なんとこの香りのリナロール含有率は物凄く低いのです。つまり、ほとんど使われていないということになります。香りはローズウッドではなく、少しスモーキーなウッディノートがカルダモンをアクセントに香り、少しオイリーなウッディへと変化していきます。ベンゾインやバニラの甘さはウッディノートをドライではなく柔らかくするためのもので、オリエンタルというほどのものではありません。時間と共にパチョリが効いたガイヤックウッドのような香りへと変化し、とてもカッコいいラストノートとなります。(01/08/2019)

このローズウッドがローズウッドではない理由がわかりました。砂漠のローズウッドと呼ばれているのは、Australian Boudha wood(Eremophila Mitchelli)というオーストラリア北部に自生している固有種で、心材から精油が得られます。香りはサンダルウッド調のウッディノートで、この香りがクールなラストノートに寄与していたわけですね。(02/08/2019)


■Pacific Rock Moss (2016年)

ニューサウスウェールズ州の南海岸をテーマとした香り。だから、モスで海を表現したんですね。液体もアクアティックなブルーとなっています。

 

 

モス、レモン、セージ、グレープフルーツ、ゼラニウム、シダーウッド

マリンノートなのかと思いきや、マリンというわけではなく、モスにスイートノートとグレープフルーツの中の甘さが重なり、スイートモスという雰囲気の香りとなっています。レモンやグレープフルーツが弾けるほど明るくフレッシュなものではなく、じわりじわりと肌から立ち上がるようなノンフレッシュな香りとなっています。どう例えてたら良いのか悩んでしまうほど、あまり類を見ない香りで、ヨウ素のような香りがたっぷりのムスクに包まれて香っています。(31/07/2019)


■White Sandalwood (2016年)

オーストラリアのインドネシア側、西オーストラリア州の北東部に位置するKununurra(カナナラ)をテーマとした香りで、1/4がアボリジニだというそこは、サンダルウッドのプランテーションが有名な町。

 

 

ホワイトサンダルウッド、タイム、アンバー、ローズ、ペッパー、サフラン

タイムとサフランが醸し出すレザーノートをアクセントとしたサンダルウッドです。ペッパーも効いているのですが、ローズ感はありません。サンダルウッドの精油をアロマティックにしたというか、サンダルウッドの心材だけでなく、枝葉も一緒に蒸留したらこうした香りになったのではないかと思うような香りで、クリーミーで甘いサンダルウッドではなく、軽やかでアロマティックなウッディノートとなっています。(31/07/2019)

 

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