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Mitsouko / ミツコ


<香 調> シプレフローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 50ml、15ml、30ml
<濃 度> EDT、P

トップ
ベルガモット(レモン、マンダリン、ネロリ)
ミドル
ジャスミン、ローズ、ピーチ(クローヴ、イランイラン)
ラスト
オークモス、ペッパー、シナモン、ベチバー(ベンゾイン)



 

1919年、Jacques Guerlain作の香りで、シャネルの代表作がNo.5だとしたらゲランはこの香りでしょう。1917年にコティが作り出したシプレがヒットした2年後ということでこの時代にはシプレが流行していたようです。オークモスにピーチの香りのアルデヒドC-16を大量に入れてヨーロッパから見た東洋人、日本女性を表現したもの。MitsoukoとはClaude Farrcreの小説「La bataille」に登場するヒロインで、小説は日本海軍総督の妻と若い英国大使館員との恋愛を画いた作品で、背景には弱小国が大国に勝利したという日露戦争があります。

 

 

*以下メルマガ(改めウェブマガ)020号より
歴史的な名香と言われるものの多くは廃番とならずに現在も発売されているものが多いわけですが、昔と調香自体変わっていなくても使用している香料は変わっています。それは香料自体に流行があり、絶えず新製品が発売され売れないものは廃番となっているからです。また、香料によっては100年も使われてきたというのに突然使用が制限されたりするものも少なくありません。つい先日もジャスミンの精油の制限が公開され話題となりましたが。オークモス、クマリン、ムスク関連は特に有名なのですが、どれもこれも歴史的名香にはなくてはならないエッセンスであり、当然のように使用されてきた香りたちです。それらを全て合成に置き換えたらどうなるのか、また全て天然香料したらどうなるのか。それはきっとほぼ香ることの出来ない発売当初の香りと現代の香りのように全く別物となってしまっているのかもしれません。

偶然にもproficeの方へ届いたというか、頂くこととなった香りにMitsoukoがあります。そう言えばproficeではMitsoukoをレヴューしていないんですよね。これを機にアップを・・・と思ったのですが、よくよく調べてみると手元にあるものはなんとなんと1960年代後半のものだったのです。4、50年も前のパルファムで正しいレヴューは出来ないぞ、と思い新しいパルファムを購入してしまいました。こちらは現行品の香りなれた香りです。それらを比較してみるともはや別物だったのです。確かに40年以上前のものが劣化している可能性はあります。もともと使えるものなのかどうかわからないと頂いたものですし、古いものであることはわかってはいたのです。しかし、パラフィンに包まれて新品未開封の状態で箱もとてもしっかりと残っており、全く揮発していないという保管状態です。恐る恐る全く目減りもしていないパルファムを開封すると、現行品のものよりもずっと深みのある香りがボトル口から広がるではないですか。現行品の方がトップのシトラスが華やかで清々しいのに対し、古いものはトップからド・シプレ満開なのです。シトラスが飛んでしまうというのは良くあることなのですが、焼けたような劣化香ではありません。そのシトラスが落ち着くと、現行品の方は明るいアイリスの香りを伴ったシプレになるのに対し、古いものはパチョリがどっしりと居座っています。もう、懐かしい実家の奥座敷とでも言うべき湿気た空気を感じる、僕にとってはとても懐かしい香りなのですが、ウッディノートに枯葉のようなパチョリ、ムスクが残っています。現行品の方はというととにかく断然アイリスが強いのです。

調香自体が全く変わってしまったわけではないと思いますが、香りの印象は全く違うものになっていました。昔のものが昔のままであるかは疑問が残りますが、100歩譲ったとしても今と同じとは思えない、というのが印象です。名香と言えど、時代と共に少しずつ変化してきているのだとしたら、20年ごと・・・いや10年ごとに製品をストックしておいたら・・・なんて思ってしまいます。今から40年後はどのような香りになっているのか皆さん想像できますか?

(09/07/2009)

ヴィンテージバージョンは1960年代後半とメルマガで記載していましたが、1960年代のポスターがすでに現行品タイプであり、1950年代のポスターにヴィンテージバージョンであったことから1950年代に作られたものを1960年代に購入したのだと推測されます。ということで正確にはおそらく50年以上前の品ということに。アルデヒドC-16を過剰に投入したことで生まれたオークモスとパチョリとピーチ香の組み合わせなのですが、ヴィンテージも新しいものもアルデヒドC-16をほとんど感じません。もともとのアルデヒドC-16はオイリーなピーチ香で、チュベローズの再現を初め現代では良く使われている香りで僕も馴染み深いのですが。ヴィンテージのものはとにかくパチョリが、現代のものはとにかくアイリスが前へ前へ出ているのが特徴です。もともとパチョリは採取したばかりのフレッシュな精油よりも、年数を経たものの方が深みを増すという熟成タイプの精油ですので、50年という時を経て熟成されたパチョリの香りが前に出てきたという可能性はあります。でも明らかにそれだけではない違いなんですよね。こんなに良い香りになるのなら、やはり数十年も年寝かせて使いたいと思うものになっています。比較すると現行品も良い香りではあるのですが、とても薄っぺらな感じがしてしまうのが残念です。こうして本来の香りというのはわからなくなっていくのですね、伝言ゲームのように・・・。

(18/01/2010)

更に話は続きます。世界的に近年のMitsoukoの香りがリニューアルしたと話題になってるのです。そうか、これは確実に消費者が感じ取っている感覚なのか、ときちんと調べてみました。まず、上記にもあります50年代のパルファムの他に67年製のパルファム、70年代のもの、04年の新しいものを揃えました。

Guerlainは1994年にLVMH社に買収され、傘下企業となっています。その年以降に変革があってもおかしくはありません。また、上記にも記載していますがムスクケトンやオークモス、クマリン等IFRAの使用規制に伴う変化があったのも事実です。2004年辺りからGuerlainはボトルの底に製造年を記載するようになりました。正規品はボトルの底に4桁の英数字が印字されているのですが、その最初の数字が発売年を意味しています。(右の画像の4は2004年製であることを意味しています)また、パッケージにも成分表示をすることになりました。その際、オークモスではなくてツリーモスが使用されていると読み取れるのです。オークモス規制により、ツリーモスに変更せざるを得なかったのが近年の香りなのですね。(実際にオークモスとツリーモスの香りは違いますが、驚くほどの差ではないです)

また、ヴィンテージものの香りはいくつか試しましたが、ほぼ全て似たような香りになっていました。新品未開封の67年製が1番豊潤な芳香で、これぞMitsoukoという香り。その他は未開封だったものは良いのですが、開封済みのものは劣化香が混じっていたりしました。(使える範疇ですが)

ここまでで、50年代〜70年代までの香りと04年製のものは確実に香りが違うということが判明したわけですが、2010年のものはどうなのか、という疑問が残ります。「近年リニューアルしたらしい」という海外の噂はひょっとして最新のものを意味しているのか?という疑問を解決すべく、現行品の最新パルファムと比較してみたところ、手元の04年製と全く同じものでした。

リニューアル品というのは品が無くなって初めて入れ替えられるため、市場に最新版が流通するのに多少のタイムラグがあります。世界的にそうです。でも、すでに世界的に広まっているということは、2年以上きっと経っているのでしょう。いつから香りが変わったのか、というのは分からないのですが少なくとも04年以前に変わっていたということですよね。長くMitsoukoを愛用されていたという往年の香りのファンの方は古いものを探されると良いでしょう。逆に新しいバージョンがお好きな方は裏の発売年をチェックして購入された方が良いでしょう。色も明らかに違いますので見た目でも判断が出来ます。

「あれ?昔のMitsoukoはもっとクラシカルだったのに、今になって香ってみると結構使い安い香りだなぁ」

なんて感じられた方、それは自身の嗅覚の成長も理由なのでしようけど、現実として香りが時代と共に使いやすく変化していた、ということなのです。

(30/03/2010)

上記の追記です。海外サイトで、1997年から2013年までのMitsoukoを香って確認したところ、2009年から2012年がリニューアル品でフランカーと呼んでも良いほど変わっているそうです。意見は同じでした。2013年はクラシカルバージョンにレシピが戻されたため、現行品は往年の香りにかなり近い雰囲気になっているそうですよ。

(11/12/2013)

 

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