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Essence Rare / エッセンスレア


<香 調> パウダリースイートフローラル
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 100ml、15ml
<濃 度> EdP、Parfum

トップ
マンダリン
ミドル
ジャスミン、ローズ、スズラン
ラスト
サンダルウッド、オークモス、アンバー、バニラパウダー



 

1973年、若かりし日のJean Claude Ellena氏が調香を依頼されていたという香りが、2018年に商品化されました。それは実に50年振りのこと。彼が調香を学び、NYの香料会社に着任して最初の仕事は、同僚と共にHoubigantの香りを再販することだったのだそう。それは、1928年にハウスパフューマーだったRobert Benaimeが調香したフレンチクラシカルな香りで、それを再調香したのが彼でした。オリジナルは上記の多面カットのボトルに入っており、ヴィンテージとして今でも人気のボトルです。

 

 

当時、流行していたのはフレンチクラシックを感じさせるCaleche、Madame Rochas、No. 5、Arpege、Shalimar、そしてL'Heure Bleueでした。当時の彼はフローラルをフロリエンタルにしていくことに熱意をかけており、香りの軸はローズ、ジャスミン、スズラン。そこにアンバーノートを加えていくという形で、それまでに培った手腕をつぎ込んだのがEssence Rareだったのだそうで、1976年に発売となりいつしか廃番となってしまいました。それが上記のボトルです。

後年になり、2005年より新たなオーナーとなったPerrisファミリーがHoubigantの再建をすることになり、カンファレンスを開催した際、彼はそのプレゼンの中でEssence Rareを発見し、それは自分の調香であることを告げたのです。

 

 

消費者たちが処方が変わることを望んでいないことは知っているけれど、自分の作品を進化させたいというのは、どの業界でも同じことでしょう。彼もフレンチクラシカルを保ちながら、それをより明確に、より分かりやすく、より美しく再構成したのがこの香りです。

 

 

ボトルから香ってくる香りは、フレッシュなハニーローズ系だったのに、肌に乗せた瞬間それはアイリスへと変化しました。ハニーアイリスにフローラルを重ねたような香りで、たっぷりアイリスがクラシカルな品の良さを感じさせてくれた後、パウダリーさが引き潮のように抜け、そこからはハニーフローラルが広がります。モスの欠片、それもほとんどそうとわからないほどのモスがベースのアクセントとなり香るのですが、彼らしいシンプルでそぎ落とした調香です。ミニマムな材料でバランスを取るのはとても難しいことで、彼はそこを極めた方です。トップのアイリスが落ち着いた後に広がるハニーフローラルは、生花で言うとスイートピーやアイリスの花を思い起こさせる香りで、少しハニーノートが強いですが、とても瑞々しく水彩画のような香りを広げ肌を包み込みます。

2016年にエルメスの専属調香師を退任し、初めて手がけた他社の香りとなりました。これで再始動したわけですね。

 

 

ところが、レヴューはこれで終わりませんでした。レヴューを書いていたちょうどその時に、ヴィンテージを見つけたしまったのです。7.5mlは今でも時折eBayで見ることができますが、15mlは滅多に見られません。ボトルは樹皮のようなデザインで、パッケージとロゴはERの文字がデザインされています。香りは、フローラルシプレで、新しく発売されたものよりシプレが強く出ています。でも、その奥にあるフローラルはハニーノートを有していますし、ジャスミンがトップでワイルドに香り、そこから柔らかなパウダリーノートを少しずつ感じられるウッディシプレムスクへと変化していきます。こうして比較をしてみると、なるほど基本的な調香は変わっていないのに、アブソリュートを合成香料に置き換えたり、シプレを弱めて現代風にしたりと、様々な工夫が感じられます。パルファムはハニーノートも現行品ほど強くありませんし、透明感、フレッシュな部分はありませんから、ニュアンスとしては別のアプローチでまとめられた香りに感じられます。でも、骨格は似ているわけです。

 

 

こうした比較が出来るのは本当にありかたいこと。この貴重なヴィンテージは、来年の展示会で今のオーナー様にお渡ししてきたいと思います。

(03/06/2019)

 

 

 

 

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