2018年にスタートしたイタリアのパフューマリード。一つのブランドというよりはプロジェクトのようなもので、美容業界で25年以上活躍してきたというビューティーデザイナーのMassimiliano Minoriniが中心となり3つの香りでデビューとなりました。展示会で初公開されるまで、どのようなブランドなのか、誰が創設したのかもそのすべてが謎だったのですが、どこにてもある材料を使用して、ラグジュアリーなものを作り出すというのがテーマ。ボトルキャップやムエットも素焼きの陶器が用いられており、土というどこにでもある素材でラグジュアリーにしたわけです。

著名なフランスの詩人Charles Baudelaire(シャルル・ボードレール)にインスパイアされたプロジェクトで、彼の代表作である悪の華(Les Fleurs du Mal)の中のThe Ransomという詩からブランド名が名付けられました。RanconはRansomのフランス語で身代金の意味。

Man, with which to pay his ransom,
has two fields of deep rich earth,
which he must dig and bring to birth,
with the iron blade of reason.
To obtain the smallest rose,
to garner a few ears of wheat,
he must wet them without cease,
with briny tears from his grey brow.
One is Art: Love is the other.

To render his propitiation,
on the day of conflagration,
when the last strict reckoning’s here,
full of crops' and flowers' displays
he will have to show his barns,
with those colours and those forms
that gain the Angels' praise.

とても難解な詩ですが、批評家でもあり、物議を醸しだしたボードレールは、いつか捕まる日を覚悟し、有事の際、裁判官に好かれるには、愛と芸術を以て人柄をアピールしなくてはならないと考えたのでしょう。

彼の身代金を支払う人は、深く豊かな畑を持ち、鍬で耕さなくてはならない。小さなバラと少しの小麦を得るために、涙と汗を流して絶えず水やりを行う。畑の一つは芸術で、もう一つは愛だ。裁きを受ける恐ろしい日が来た時、裁判官に好意的になってもらうため。裁判官に見せなくてはならない、形や色が素晴らしいバラと一杯の小麦を。天使たちの賛同を勝ち取るのだ。

その最後の天使たちの賛同を得るために作り出したものを、3つの香りにしたわけです。あぁ、難しい!! 3種共に調香はLuca Maffeiが担当です。100mlのEdPと50mlのコンセントレイト(Extrait de Parfum)、キャンドルが発売に。(15/06/2018)

ブランド名が分かりづらいということから、i Fiori del Male (悪の華)に変更となりました。(08/05/2019)

2019年にはボードレールのParfum Exotiqueという詩をテーマとした香りのラインLe Parfume Esotiqueが発売となりました。(30/08/2019)