ドイツ語でヨット･エフ･シュヴァルツローゼと読むこのブランドは、1856年、ピアニストだったJoachim Friedrich Schwarzloseが創設した老舗パフューマリーでした。ピアニストだった彼は子どもたち(息子のマックスとフランツ)のためにドラッグストアをオープンしたのですが、1870年には息子たちがそのドラッグストアを閉店し、自身たちの手で香水作りを始めたのです。彼らの作り出す香水は瞬く間に人気を得、特に上流階級に受け入れられたそうです。2つの大戦中も経営を続け、中国まで人気は広がっていたのだとか。残念なことに1976年に廃業となってしまっていたのですが、2012年に復刻となりました。それらを立ち上げたのはボトルデザイナーのLutz Herrmannです。彼がヴィンテージのJ.F. Schwarzloseのボトルを発見したことがきっかけで、復刻を決定し、IFF社の調香師Veronique Nyberg、マーケティングと流通はTamas Tagschererを迎えて3名でブランドを再始動することとなりました。

彼らがヴィンテージの商品をカタログに使用したりして大切にしているのも好感がもてる理由ですが、良質な香料を使用しているという点もポイントで、LMRという南仏の香料会社の香料を使用しています。正式名はLaboratoire Monique Remy。これはMonique Remyという女性が84年に立ち上げた香料会社です。80年代半ばは日本のバブル期。香料も品質よりも量と価格を重視していた時代です。品質低下を嘆いた彼女がグラースといういわば聖地で高品質なものを・・・と立ち上げたわけですが、彼女のリタイアと共にIFF社に売却をしてしまいます。IFF社のもとで今も良質な香料を生み出しているLMRですが、彼らは香料の中でLMRのものをきちんと明記し区別して記載してくれています。(オフィシャルサイトではヴィンテージな商品やポスターも見ることが出来ますので是非チェックを)

Tamas Tagscherer氏から直接商品を購入出来るそうですので購入をご希望の方は直接彼にコンタクトをお願いします。(現在、ドイツのFirst in Fragranceで発売をしていますが、彼らはFirst in Fragranceと取引しておらず、何故彼らが商品を持っているのか不思議でたまらないと言っていますので、First in Fragranceの彼らの商品にはご注意を) (26/03/2013)

3名共、特にLutz氏とTamas氏は毎年お会いして話を伺っているのですが、とにかく二人とも見上げるほど背の高いイケメン。彼らに似合うよ、なんて言われたら買ってしまう人ばかりなのでは・・・と思いながら売り手、作り手がどのような人たちなのかというのは、本当に大切だなぁと感じています。(03/02/2016)

2017年秋、Parfum Captivesという3種のExtrait de Parfumを発売しました。これは、各限定300個で、それぞれMane社のスペシャリティを使用して作った3つの森の香り。オフィシャルサイトからサンプルセットが送料無料30ユーロで購入することができます。残念ながらParfum Captivesの3種の香りは含まれていませんが、既存の香りたちもステキですので、ご興味のある方は是非。(02/07/2018)