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Joyaux Sensoriels Sampleレヴュー

 

 

■Noiressence (2018年)

Alexandra Carlinが目指したものは、Pierre Soulagesの絵画のような漆黒のレザーフローラル。何にも縛られない黒。Symriseのベルベッドレザーアコードにはケードやスティラックスが使われているようです。

 

 

ブラックペッパー(3)、オレンジブロッサムアブソリュート(1)、ビターオレンジシャーベットアコード(10)、ヘディオン(33)、アイリス(13)、アンブロキサン(2)、インクアコード(15)ムスク(20)、ベルベットレザー(3)

トップから、タイトルに忠実なレザーが勢いよく香り出します。一瞬スモーキーにも思えたそれは、たっぷりのムスクと軽やかなヘディオンに包まれ、レザーなのにとても軽やかで滑らかに香り、本当に良質なレザーのように肌を包み込みます。フローラルノートは感じられず、アンブロキサン(アンバーグリス)も強くはなく、静かにムスクに溶け込んでいます。香りはやがて53%もあるヘディオンムスクとなって落ち着きますので、とてもユニセックスなレザームスクです。(18/07/2019)


■Ambraser (2018年)

Aurelien Guichardが目指したものは、子どもの頃の思い出の風景。父の作り出す香水や、祖父母の育てる花々の香り。そして父から教わったこと。「私の手のひらには3粒ある。1粒の塩、1粒の太陽、そして1粒の肌。私はそれを砂の城に置くと、海と風がそれらを運び去った。そして私の手のひらには3粒の砂が残っていた。」というもの。つまりは、塩アンバーなのです。

 

 

ペッパー(5)、アンブロックス(5)、ラブダナム(5)、シダーウッド(10)、シーソルトアコード(14)、フランキンセンス(1)、ベルガモット(15)、アンバー(5)、イソイースーパー(30)、ジュニパーベリー(5)、レモン(5)

あぁ、このソルトアコードはマリンを含んでいるので好き嫌いが分かれそうだな、と感じた瞬間、それはアロマティックなアンバーへと変貌を遂げました。あれ? このソルトノートはアクセントに過ぎなかったのか。香りはそこからラブダナムの効いたアロマティックオリエンタルとなり、そこに少しだけソルトノートが重なって香ります。アロマティックなニュアンスがとても心地良くアンバーノートに重なり、海岸に生えている松林の松脂がイメージされたのですが、最後はマリンラブダナムが肌に残ります。(18/07/2019)


■Springpop (2018年)

Celine Ellenaが目指したものは、夏の始まりの香り。芝生、初めての海、スッキリと晴れた空。

 

 

 

バジル(5)、ベルガモット(40)、カシュメラン(30)、ヘディオン(300)、ヒドロキシシトロネラール(40)、イソイースーパー(150)、ジャスモナールH(40)、マグノラン(100)、トナリド(50)、エチレンブラッシーレート(100)、パチョリ(5)、セリンガアルデヒド(0.5)、青葉アルコール(0.5)、セトンV(0.5)、DPG(148.5)

浴びるように使いたい、バジルのフレッシュアロマティックフローラルで始まります。トップノートの中でもシトラスは弱く、スパークするほどではありません。一瞬間を置いて香り出したのがバジルで、精油のバジルがそのまま香り、セトンVという少しフルーティーなクセを持った香りをアクセントに、フレッシュノートに持ち上げられて香り続けるのです。78%が主張の強くないフレッシュな香りで、15%が香りのない溶剤DPGですから、かなり薄めなフレッシュフローラルムスクにバジルやパチョリが溶けている感じで、「フレッシュな香水」のバランスを如実に示しているレシピです。これなら20%でもEdPでしょうね。彼女のイメージした風景にとても良くマッチした香りだと思います。(17/07/2019)


■Sopoudrage (2018年)

Fabrice Pellegrinが目指したのは、アイリスとローズのワルツ。それは、彼がグラースで生まれ育ったから。つまりはグラースへのオマージュですね。処方は何と計算すると99.8%、つまり0.2%足りません・・・。ローズオキサイドの記載もありますので、それが0.2なのかもしれません。

 

 

アイリスベース(0.5)、ライチベース(1)フェニルエチルアルコール(10)、ムセノン(1)、イラーリア(5)、ヘディオン(10)、カシュメラン(2)、タジェット(0.3)、イソイースーパー(70)

香りはとてもシンプルにアイリスです。とても美しいアイリスが、どこか冷たさを持って香るのですが、香りの変化があまり大きくはなく、ローズというほどローズが香りません。それはそのはず、10%のフェニルエチルアルコールしかないのですから。70%は仄かなアンバーウッディであるイソイースーパーで、その土台に支えられたアイリスがフレッシュに香るというのが全体像で、とても勉強になるレシピだと思います。大量の香料をベースにする、という形ですからね。香りは時間と共に、当然ながらアンバーウッディノートへと姿を変えていきますが、その中に少しだけローズのニュアンスが感じられ、明るさを感じたまま消えていきます。(17/07/2019)


■Ultrahot (2018年)

Aurelien Guichardが目指したものは、光に匂いがあったら・・・というもの。光が女王でレザーが王の国。下記を見ると、レザーアコードにはアイリスアブソリュートが使用されていることがわかります。というかそう主張しています。

 

 

フランキンセンス(10)、レザーアコード(5)、エレミ(5)、ハバノライド(15)、アストロトン(20)、サフラレイン(1)、アンバーコア(9)、バニラエクストラクト(5)、イソイースーパー(20)、アトラスシダーウッド(5)、ムセノン(5)

パッとサフラレインがエレミと共に爽やかに、でも少しヴェールに包まれた感を感じさせてのスタート。香りはそこからスイートフランキンセンスとでもいうようなバニラフランキンセンスへと移ろい、ムスクに導かれてゆっくりと肌に溶けていきます。この中には3種で合計40%のホワイトムスクがあり、この高配合のムスクが、高濃度でもEdPのような軽さを生み出しています。とてもシンプルな調香で、フランキンセンスのアロマティックな香りはミドルで消え、ウッディムスクが肌に残ります。(16/07/2019)


■Gingerlise (2018年)

Alexandra Carlinが目指したものは、空白のキャンヴァスに描いた、大地と天国が出会う風景。全てのエッセンスを色に例え、それを1つ1つ配置したのです。数種のムスクを明かさなかったり、アンバーウッディノート名を明かさなかったり、工夫が感じられます。

 

 

カラブリアンシトラス(20)、マダガスカルジンジャー(2)、ピンクペッパー(2)、アロマティックブーケ(メリッサ、セージ、ミント、レモングラス)、(5)、アンジェリカシード(0.5)、フィグアコード(0.5)、ヘディオンハイシス(24)、カブリューヴァウッド(5)、ハイチベチバー(1)、アンバーウッディノート(15)、ムスク(25)

精油をたくさん使いながら、合成香料でとても美しく表現されたシトラスアロマティックです。パッと明るく質の良いシトラスが弾けたトップから、ハーブのアロマティックな香りへとつながり、フィグリーフのニュアンスを感じるミドルへと変化します。タイトルとなっているようなジンジャーはそれほど印象的には香らず、レモングラスを中心としたシトラスアロマティックが軽やかなヘディオンHCにリフトアップされてふわふわと香るのですが、この調香のポイントは、エアリーなヘディオンHCと軽いアンバーウッディノート、ムスクで64%だということ。これが現代香水の調香なのです。(16/07/2019)


■Superfusion (2018年)

Celine Ellenaが目指したものは、凍える寒さの中で恋に落ちる素肌の香り。使用された香料は18種です。

 

 

ガラクソリド(150)、イソラルディン70(150)、ヘディオン(150)、イモーテルアブソリュート(2)、インディアンブラックペッパー(20)、アンブレットリド(5)、クマリン(30)、ヘリオトロピン(10)、ヒドロキシシトロネラール(50)、イソイースーパー(300)、インドネシアンパチョリ(15)、ヘリオナール(10)、アンブロキサン(10)、ティンベロール(10)、キュイールベース845(10)、ラベンダー(3)、ソマリアンフランキンセンス(10)、DPG(65)

合成香料で表現した素肌でしょうね。少し金属的なニュアンスが寒さを表現しているようにも感じられ、ほんのりと甘いムスクとアンバーウッディノートがシートのように肌に貼りつきます。ホワイトムスク、ヴァイオレットウッディ、エアリーな香りで45%、そこにイソイースーパーが加わって75%。たっぷりの軽やかなベースの中に、少しずつアクセントとなる香りを溶かしこんで肉付けをしたという調香です。ただ、好き嫌いは少し分かれそうな香りかもしれません。基本的にはアンバーウッディムスクです。(15/07/2019)


■Sexycrush (2018年)

Alienor Massenetが目指したものは、強い個性を感じさせながらも、羽のように軽い香り。合計は1,000ではなく930となっています。DPGが70ということですね。

 

 

レモン(60)、ローズアコード(77.9)、シトロネロール(20)、ローズアブソリュート(1)、ラブダナムアブソリュート(21)、ガジュンバルサム(55)、イソイースーパー(100)、ウッディアコード(150)、インディアンウード(0.1)、パチョリ(30)、ミルラ(5)、トンカビーンアブソリュート(10)、ムスクアコード(230)、バニラ(200)

8種の中では一番重めな香りです。でも、重いわけではなくローズウードの変形版となって香るのですが、こちらもムスク、バニラ、イソイースーパーで53%ですから、軽やかにしたいという意向が読み取れます。ローズはアクセント程度にしか香らず、少しパウダリーなアンバーウッディ、特に樹脂系のオリエンタルウッディムスクとなって落ち着くのですが、例え0.01%でも使用していれば「天然のウード使用」と謳えるという調香です。ローズアブソリュートもローズアコードの中に組み込まず、敢えて外に出している辺り、公開することを意識した調香だと思います。(15/07/2019)

 

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