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Inoui / インウイ(クラシック)


<香 調> シプレグリーンフローラル
<仕 様> レディース
<容 量> 50ml
<濃 度> EDP

トップ
ガルバナム、ピーチ、ジュニパー、レモン、グリーンアコード
ミドル
パインニードルズ、フリージア、ジャスミン
ラスト

シダーウッド、ミルラ、ムスク、シベット、オークモス




商品の詳細は背景はこちらに記載していますが、このボトルは1976年に発売された初代のものでキャッチコピーは

「彼女が美しいのではない。彼女の生き方が美しいのだ。」
「引力の法則についてのご説明を終わります。」
「美しさは、それだけで一つのセンセーションだ。」
「彼女には影の演出者がついています。」
「ドアを開けておくには、危険な香りだと思います。」
「ときめく心は、香りにうつる。」
「都市は香りに渇いています。」

であり、80年代にリニューアルされてSerge Lutensがプロデュースした時のものとはコピーからして違います。働く女性の社会進出が華やかになってきた時代背景を写取ったようなテーマで、アメリカ、イタリアの資生堂が全て絡み、3国合作で制作したそうです。日本国内のイメージではなく海外で売れる日本のイメージ・・・を作ったのかもしれません。ボトルデザインはシンプルながら美しく、キャップと本体が同じ形となっています。とても残念なのは商品の成分ラベルがボトルの背面に堂々と印刷されてしまっていること。見た目の美しさにもっとこだわって欲しかったですね。



 

リニューアル後はローズシプレの香りになったわけですが、初代の香りはシプレグリーンフローラルでした。この香りをじっくりと香ると、シプレあり、グリーンあり、フルーツあり、フローラルありといろいろな要素が満載に詰め込まれているのがわかります。付けた瞬間はカシスとピーチ、オレンジなどの甘いフルーツがグリーンと絡まって香り、その後にクリーミーなハニーサックル調の香りとなって落ち着きます。フローラルノートの核はジャスミン、ローズ、イランイランで軽めなスズランノートやミモザ、チャンパカフラワーなどの要素も見え隠れしています。ミドル以降のキーノートはハニーノートで、蜜の甘さがムスクと共に肌に残ります。パチョリを使用していないシプレですので、シプレ度はそこまで強くはありません。

通常はフルーツとグリーンの相性というのが難しく、どっちつかずな香りになってしまうところを、不思議なくらい素敵にまとめているのがわかります。調香体験セミナーの模倣レシピでも過去にないほど苦労しました。少なくとも100回は作っているはすです。ジュニパーとパインニードル(メンズっぽいグリーンノート)をフルーツとフローラルで彩るなんて今では考えられないレシピに驚かされます。

(22/04/2011)

 

 

パルファムのレヴューを追記です。香りは明らかにそれとわかるほど濃度が違い、EdPがパッとフルーティーグリーンが弾けてフローラルシプレへと変化していくのに致し、パルファムは何とも落ち着いたゆっくりとした流れで変化していきます。とろりとした液体が緩やかな坂を流れていくようなスムーズで滑らかな感触で、グリーンノートを強く感じます。でも、そこにはフルーツやハニーノートがあり、グリーンではないフローラルシプレへと変化させているのです。

 

 

この香りの流れは何かに似ている。似ているというより思い起こさせるものがあります。それは1972年に発売されたDiorのDiorellaでした。Inouiを調香していたまさにその当時、流行した新作だったのではないでしょうか。資生堂が当時世界展開を狙い、イタリアとアメリカのチームによる開発、アメリカでの製造を経て日本に逆輸入という形で発売されたという背景があります。また、日本だけでなく、イタリア、アメリカ、香港で同時発売され、イタリアで大ヒットしたという記録も。その頃のGuerlainと言えば同じくグリーンフローラルシプレのParureを1975年に発売したばかりでした。アメリカではEstee LauderのCinnabarとYSLのOpiumが2大ヒットしていた時代ですから、アメリカというよりヨーロッパでのヒットだったのでしょう。

(14/03/2019)

 

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