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Murasaki / むらさき


<香 調> フローラルウッディシプレ
<仕 様> レディース
<容 量> 15ml、60ml
<濃 度> Parfum、EdP

トップ
ローズ、クリサンセマム、リリー、ウッディノート、モス
ミドル
ラスト



 

「信じあっている時間のすきま、蝶が舞うあの花へ」
情熱の赤と静寂の青が調和して生まれる紫は、東洋の西洋の垣根を越えるあやうい魅力。

資生堂の中では国内向けながらターゲットが海外なのではないかという感じの香り。ゲランのミツコやシャネルのNo.5等を愛用する方々に愛されそうなクラシカルな香りで、シプレもあるし少しアルデヒドっぽいものもあるのかもしれません。試しているのがコロンなので薄く広がって消えていく儚さを持った香りになっていますが、パルファムだととても上品なんだろうなぁ。大人の楽しみという感じで。情熱の赤は感じなくて僕には静寂の青の方がイメージには強いです。紫というのは東洋の神秘をイメージしているのだと思いますが、ミドル以降に出てくるインセンス、アイリス、レザーっぽさが日本的な感じを出しています。ラストノートはとても素敵ですよ。

(2006)

 

 

東京オリンピックに向けて1964年に発売された禅。その後1977年にアメリカ市場を意識し、働く女性をテーマとして作られたインウイ。それに続く3つ目のインターナショナルフレグランスラインとして生まれたのがむらさきでした。日本発売は1980年8月21日、翌月の9月にはイタリアのボローニャと西ドイツのミュンヘンで開催された化粧品国際見本市にて公開され、大きな反響を呼んだそう。

当時の欧米では、様々な分野で「東洋」、つまりオリエンタルをコンセプトとした商品が流行していました。その中で禅とインウイを昇華させたものというのがコンセプトとなりました。千年を超える日本女性の文化の中で、一貫して憧れの色、貴い色とされたきた紫を、静寂の青と情熱の赤が織りなす繊細で艶やかな紫を、そのイメージの中に感じられる秘められた知性と、さりげないしぐさに込めた思いやりを、香りとして表現したのです。(プレス引用)

調香は当時37歳だった若き日のJean-Claude Astier氏でした。そしてその際、イメージパターンを担当したのが、同年代である37歳のSerge Lutens氏でした。

イメージパターンは、ひとりの女性の肌にふれて、微妙に変化し、その女性固有の香りになる。そのつける瞬間のときめきがモチーフに。むらさきの書体は矢萩春恵さんという書家の方が担当されたそうです。9月のプレス用プロモーションでは、Serge Lutens氏が同席し、スライドと音楽を用いて、日本の伝統美を紹介、説明し絶賛されました。

香りは、そうかこれは菊だったのか、とハッとしたのですが、ローズとヴァイオレットに交じって香るグリーンノートに気づきました。それが柔らかなフローラルノートをクラシカルに引き締め、シプレムスクへと引き継がれていきます。とても品の良いクラシカルさで、世界に通じる和風オリエンタルのフローラルウッディシプレで、Mitsoukoのように和服に合いそうです。

その後、ボトルはパルファムもオードパルファムもリニューアルをされたものの、オードパルファムは未だ廃番とならず発売されています。

(16/01/2019)

 

 

現行品のEdPではなく、初代でもなく、その間に作られたボトルのバージョンのレヴューを追記です。つまりは最初のバージョンと現行品の間なわけです。

香りはパルファムに近いものの、パルファムの方がナルシスに使用されるクレゾール香が強く香り、薬品調のクラシカルなフローラルノートであるのに対し、EdPは全体的に軽やかで、そうしたアクセントとなっている部分が平たく感じられます。クセがない分誰もが強いやすい香りにしたのかもしれません。逆にパルファムは少しクセを感じられるくらいのものを、美しく使いこなせる方がご愛用されていたのかもしれません。でも、共にフローラルウッディシプレという流れは同じで、ローズとヴァイオレットを軸にパチョリを効かせたウッディシプレが支えています。

この当時の資生堂の商品はボトルの背面に薬事に則った内容が印刷されているのですが、とても資生堂らしくない美しさを壊すデザインです。シールならはがせるのに、印刷ではどうにもなりません。また、この当時は透明ではなく白っぽく太いノズルが多くのブランドで使用されていました。このむらさきもそうです。当時はシャネルもゲランもそうしたノズルを使用していたのですが、現在は細く透明なタイプが主流となりました。その点に少し時代を感じるボトルです。

(01/04/2022)

 

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