地中海に沈む夕陽を眺めながら、さっぱりとしたカクテルを楽しむ時間。調香はNathalie Feisthauer、音楽はNiidというフレンチエレクトロポップなデュオが担当。NiidのElectro LimonadeはSpotifyでも聴くことができるのですが、波の音がサンプリングされたどことなくオリエンタルなエレクトロミュージックになっています。

夏にぴったりなシトラスアロマティックなカクテルの香り。レモンがミントと共に明るく弾けて始まるフレッシュアロマティック。ミントの冷たいメントール部分はなく、その奥にあるミントティーのような部分だけがシトラスに重なり、カクテルというよりレモンミントティーのようにも感じられます。その爽やかな余韻を持続させているのがオレンジブロッサムとルバーブなのですが、オレンジブロッサムにはシトラスノートとフローラルノートが、ルバーブにはシトラスピールに近いピール感(グレープフルーツ調の苦味)があり、それらがシトラスノートと入れ替わり、広がっていくのです。

香りはそこから静かに、フランキンセンスの効いたウッディノートへと変化していきます。オレンジブロッサムにはペティグレンがあり、そのペティグレンのウッディノートにフランキンセンスが重なってスライドしていくのです。誰もがきっと使いやすい、初心者に優しいフレッシュフレグランスで、ウッディなフランキンセンスがそこそこ持続をするところも好感触です。

最初はタイトルからシャンパンカクテルのようなポップな香りと音楽を創造していたのですが、喧噪を離れて静かに夕陽を眺めながら音楽を聴いているという、夕方と夜をつなぐ時間の香り。ミラノではその時間に食前酒としてカンパリのカクテルを大きな大きなグラスで飲むのが大流行しているのですが、カンパリやアップルリキュールに白ワイン、炭酸とレモンの輪切りを入れたそのカクテルを飲む様子が思い出されました。

(24/08/2022)