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Lily of the Valley / リリー・オブ・ザ・バレー


<香 調> グリーンフローラル
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 3.75、15ml
<濃 度> Parfum

トップ
不明
ミドル
ラスト



 

1950年の発売。その他のシングルフローラルとは別に、後年に発売された香りです。ちょうどこの頃スズランブームがあったのか、52年にCaronMuguet du Bonheurを、56年にDiorDiorissimoを発売しています。

 

 

CaronDiorに先駆けて発売されたことになるLe Galionのスズランですが、その背景にはひょっとするとスズラン系の合成香料の開発、そしてヒットがあったのかもしれません。50、60年代のものと思われるオールガラス(シリコンのない)のキャップから肌に乗せると、きちんと今でも美しいスズランが香ります。ただ、現在様々なブランドから発売されているスズランの方が生花には近いのかもしれません。Diorissimoは時代と共にどんどん調香を変えましたが、昔のものはこういうスタイルだったのか、と勉強になる1本で、グリーンノートが強く、スズランの中にはローズやジャスミンが感じられ、ベースにはムスクがあります。ウッディノートもモスもなく、ただただシンプルにスズランが広がるというのは、上記の広告のように清々しい森の中をグリーンフローラルで表現したかのよう。

(13/12/2017)

 

 

2020年、この香りを含めた6種が復刻され、3種の新作と共に9種がリリースとなりました。その中のLily of the Valleyとの比較レヴューとなります。Domitille Michalon-Bertierによる調香で、IFFの最新香料を組み込んで作られた香りです。それはトップノートのグリーンなフローラルアルデヒド調のスズラン香料Starfleur、2014年に発売されたアンバーウッディムスクのAmbertonic、ボリュームアップに使われるムスクSinfonideなどが使用されています。

トップ:スターフルー、カリスマール
ミドル:エジプシャンジャスミン、サンバックジャスミン、ローズ、イランイラン、レッドリリー、クローヴ、シナモン、プラム、ミラベル
ベース:パチョリ、アンバー、ベンゾイン、ペルーバルサム、ローズウッド、メキシカンバニラ、マダガスカルバニラ、ハニー、オークモス

 

 

肌に乗せた瞬間、それはスズランの生花そのものの香りにとても近く感じられました。トップノートが一番美しく、あぁ、これは忠実に再現したタイプだと感じられたのですが、香りはそこからどんどん離れていきました。スズラン調というよりもスズラン風のニュアンスだけを残したフレッシュフローラルへと変化し、調香にあるようなスパイスもローズやジャスミンなどの香りもわからず、ベースにあるオリエンタルな香りも全く顔を出しません。それほどスズラン調の香りとフレッシュノートに重点を置いた調香となっており、ハニーではなくバニラムスクに支えられて香り続けます。ヴィンテージのスズランはまだ香料が少なかった時代のものですから、生花らしさは強くはなく、逆にローズなどのアブソリュート感がリッチでありつつも生花らしさを消してしまっている要因になっているのですが、この香りは合成香料を軸にしたことで生花らしさを再現できたわけです。ミドル以降は生花というよりもヘディオンの効いた合成香料の香りという印象になってしまいますが、スズランという直球なタイトルに相応しいのは新しいバージョンであると感じさせてくれました。とても清潔感のあるフレッシュフローラルです。

(30/04/2021)

 

 

 

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