1980年発売。Polianthes Tuberosaはメキシコ原産ですが、17世紀中頃に修道士により南フランスに伝わり、グラースで栽培されるようになりました。多いときには50トンも収穫されていた花ですが1927年の時点ですでに17トンに現象し、近年ではごくわずかになってしまっています。それを復活させたのがインドでした。だから、今はインドが主な生産国なのです。Yuri Gutsatzはインドの生産者の元から良いアブソリュートが送られてきたときだけ限定品として作り出すことにしたのがこのチュベローズです。フランス語タイトルですので正式な発音だとテュベローズなのでしょうか。
香ってみてびっくりしました。これはこの価格できちんとアブソリュートを使用しています。ただ、色からも判断が出来るのですが、チュベローズの濃度はあまり高くありません。しかし、アブソリュートがしっかりとメインにいるためにチュベローズのアブソリュートを豪華に使用した香りに感じるのです。チュベローズのアブソリュートにジャスミン調のBenzyl acetateとイランイランを加えているようで、ミドル以降はかなりBenzyl acetateになってしまいます。おそらく、チュベローズのアブソリュートを使用しつつも、合成香料でチュベローズのワイルドさを緩和し、華やかで美しいチュベローズにしているのだと思います。ミドルからラストノートはBenzyl acetateが落ち着いてクリーミーさに変わり、チュベローズの特徴であるココナッツ調の香りが香りだして生花にとても良く似た雰囲気となって消えていきます。
チュベローズのアブソリュート品だとAnnick Goutalが1番なのですが、ワイルドに感じられる方はこちらの方が軽やかで良いのかもしれません。アブソリュートをしっかりと感じられるのはAnnick Goutal、このLe Jardin Retrouve、Palazzo Vecchio、DSH、D.S.&Durga辺りの製品でしょうね。数えるほどしか思い当たりません。その中でこの香りは1番軽くてコロンのようなさっぱり感です。純粋でストレートなチュベローズで、アブソリュートの良い部分をきちんと残してくれていますから、アブソリュートの香りがお好きな方向けですね。軽いのですがクリーミーなラストノートは4時間ほど持続します。
(30/11/2010)
このブランドの中でproficeとして1番自身を持っておススメできるのがこちらの香りのキャンドルです。チュベローズの生花の香りよりも高価な高価なアブソリュートの香りがお好きな方向けです。何故こんなに本気で本格的な製品にしてしまったのか、それを何故29ユーロで発売できるのか不思議です。中間マージン業者もいませんし、大量生産もしていません。昔から変わらずに同じインドの生産農家さんから香料を購入しているそうなのですが、あまりに素晴らしいのです。キャンドルは1つ点灯しただけで、部屋中が濃厚なチュベローズアブソリュートに満ち溢れ、空間を一気に南国に変えてしまいます。香水よりも濃厚に広がるこのキャンドルは、かなりの高濃度なのではないでしょうか?
奇しくも今年はキャンドルを沢山使う節電の年でした。今までもったいないから・・・としまいこんでいたキャンドルをせっせと使った1年間、その中で1番豪華で1番リーズナブルだったのがこちらのキャンドルです。来年は他のキャンドルたちも全てレヴューをアップする予定です。
(29/12/2011)
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