Guillaume-Louis Lenthericが創設したフランスの老舗パフューマリー。彼の父は蒸留所を営んでおり、そこで9年間働いた後、パリに出て1885年に香水とコスメのサロンLa Parfumerie des Orcheesをオープンしました。サントノーレという一等地へのオープンであり、彼の奥さんは同じ場所で帽子の販売を行いました。美容室も併設して本格的に美容についてサロンで発信したわけです。そこから、石鹸やクリームなどの化粧品が生まれ、工場を開設し、1895年のアムステルダム、1900年のパリ博覧会で賞を取りました。時代がそうした商品を求めていたわけで、すぐに国際的な成功を収めました。

150種を超える香水をリリースしていたのですが、1912年10月、Velsch & Holtzに買収され、さらにその2年後に彼は亡くなってしまいます。そこからは当時Lenthericのアメリカ代理店をしていた関係からアメリカのSquibbが買収を行い、アメリカ市場で製品を広く販売していくことになりました。5th Avenueにブティックを構えて成功したのですが、フランス語だった香水は英語へと変更されたため、商品によってはフランス製かアメリカ製かで時代が特定できそうです。

1952年にはアメリカの化学系企業Olin Mathieson Chemical Corporationへ売却。ところがわずか数年で1958年にはシカゴのHelene Curtis Industriesへ売却。1965年にはSmithKline Beechamに売却され、最後は1998年にShaneel Enterprises Ltdへ売却されたのです。今では細々と南アフリカ市場に向けて安価な製品を輸出しているのだそう。

アメリカ市場での数奇な運命は、フランス風という商品たちがアメリカでは魅力的だったため、その雰囲気を利用したのだと思いますが、高級市場ではなく安価な商品に切り替わり、一般市場の商品となっていたのでした。だから、本格的な香水が作られ、販売されていたのは初代のパリの時代と、アメリカの初期の時代である1940年代辺りまでなのではないでしょうか。(29/11/2010)