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Sampleレヴュー

■Kouzome (2020年)

新間さんは毎年、クリスマスカードを送って下さるのですが、今年は最新作のサンプルと共に届きました。それは「山川異域 風月同天」(山河は違えど、風月は同じ空に通ずる)離れていてもつながっているという、今年らしい願いを込めた香りに。日本から中国へ送られた支援物資の箱に書かれていたことが話題になりましたよね。今年は様々なブランドから祈りを込めた香り、希望を失わない香りなどが発売されましたが、新間さんはそれを新たな年を迎える言葉に乗せて送って下さったのでした。この漢詩は、日本から鑑真に贈られた袈裟に刺繍されていたもので、それに気づいた鑑真が、日本からの招きに応じる決意をしたと言われています。その時の袈裟の名前が香染だったそう。

 

 

トップ:ローズウッド、ピンクロータス
ミドル:ローズ、ナツメ、クローヴ、プレシャスウッド
ベース:ベンゾイン、バニラ、サンダルウッド、ホワイトムスク

 

 

 

香りは仏教ということで、サンダルウッドとロータスを重ね、そこに当時食べられていただろうという棗を加え、とても儚げなスイートフローラルウッディとなりました。肌に乗せた瞬間はシュガー系の、それこそ和三盆風なほどけていく甘さが広がりますが、すぐにおが屑のようなウッディノートが感じられるようになります。クローヴローズのニュアンスは強くはなく、スイートノートがサンダルウッドのおが屑香に重なっていく姿は、サンダルウッドのパウダーに和三盆を加えたかのようで、最後は微かにベンゾインの香る儚げなスイートウッディムスクとなって消えていきます。(10/12/2020)

 

 

 

■Ruri (2017年)

きらめく青、渡り抜ける潮風。

トップ:ソルティーエアー
ミドル:ロータスフラワー
ベース:ベチバー、ホワイトアンバー、ホワイトムスク

5種類あるのなら、1つくらいアクアティックなものがあっても良いですよね。でも、これは90-00年代に大流行したようなフレッシュノートが感じられる香りで、あの頃のファッションフレグランスってみんなこの雰囲気でスタートしていたよね、と懐かしく思い出されました。香りはそこからアクアフローラルムスクへと変化して落ち着くのですが、やはりどうしても好き嫌いは分かれそうなテイストです。昔に大流行したアクアノートではないのですが、フレッシュノートがあの頃を感じさせるんですよね。(13/11/2018)


■Yamabuki (2017年)

朝露に濡れる山吹の花、まぶしいほどに光輝く。

トップ:キンカン
ミドル:オレンジブロッサム、シダーウッド
ベース:ベチバー、オークモス、ホワイトムスク

シトラスフローラルムスクだね、というのが第一印象でした。ホワイトフローラルノートとシトラスフローラルに、オレンジブロッサムを特徴づけるナフタレン系のクセを足し、そこにムスクと微かに感じるアクアティックなニュアンスを足した雰囲気です。香りはとてもシンプルで、ローというイメージに合っているのですが、深みのある香水がお好きな方には少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。飽くまでもEdPではありますが、さっぱりと気分転換に使いたい、というカジュアルな香り。最後にペティグレン風のウディノートが残りますから、とてもユニセックスなまとまりです。(13/11/2018)


■Kikyo (2017年)

雨上がりの苔庭、気高き花、桔梗一輪。

トップ:フレッシュジンジャー、レモンペティグレン
ミドル:ブラックペッパー、ネロリ
ベース:アイリス、フランキンセンス、ホワイトムスク

キキョウという実に和風な色を香りにするのであれば、きっと誰もがヴァイオレットを使用することと思います。でも、彼女はそこにジンジャーとフランキンセンスを用いたんですよね。それは苔むした雨上がりの庭がテーマだったから。香りはジンジャーというかセロリというか、とてもアーシーな香りが軸にあり、ジェオスミンという雨上がりの成分にも似た印象を受けます。そう、リアルに雨上がりの苔むした庭風なのです。ヴァイオレットではないし、キキョウ色のイメージでもないけれど、キリリとした石庭のニュアンスはしっかりと感じられ、それは少し好き嫌いは分かれそうにも思いますが、トップにジンジャーを配置するところがユニークなんですよね。(12/11/2018)


■Matsuba (2017年)

静かな湖畔、染み渡る森の息吹。

トップ:アロマティックノート、ミント
ミドル:グリーンノート、ダヴァナ、ルバーブ
ベース:ホワイトアンバー

ミントの効いたケミカルなグリーンノートのスプラッシュで始まります。飛沫のように弾けるそのクリーンノートのパワーは強いのですが、ミントが薄れていく頃には明るくキラキラとしたグリーンも肌に落ち着き、入浴剤のようなグリーンとなって消えていきます。松葉の青さ、清々しさをエアリーに表現したものだと思うのですが、印象としては少しケミカルに傾いてしまったかな、という感じで、もう少しピネン系の香りが強かったら、入浴剤風には感じられなかったのではないかと思います。でもボディスプラッシュ風のローというシリーズですから、湯上り風の残り香でもいいのかもしれません。(12/11/2018)


■Momo (2017年)

穏やかな春の日差し、桃の花の愛らしさ。

トップ:ピオニー、ピーチリーブス
ミドル:オスマンサス、ジャスミン
ベース:バニラ、ベチバー、ムスク

桃色という可愛らしいイメージですから、もちろんピーチをいかした香りに。香りの印象はフルーティーフローラルなのですが、とても柔らかく優しく、ローというカジュアルなスタイルにぴったりな可愛らしい香りとなっています。オスマンサスはそれとわかるような調香ではなく、スズラン系、ジャスミン系の香料を軸にピーチを合わせ、ほんのり甘いスイートムスクでまとめた、というもの。ごく微量に隠しいれたオークモスが、最終的に和のテイストで終わりたいという彼女の気持ちを表現しているように思います。(12/11/2018)

 

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