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Tsuki / 月


<香 調> フルーティーフロリエンタル
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 55ml
<濃 度> EDP

トップ
バンブー、ラズベリー
ミドル
ローズアブソリュート、ジャスミン、チュベローズ
ラスト
サンダルウッド、ヒノキ、ヘリオトロープ、ムスク



今こむと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな

 

素性法師の詠んだ百人一首の中の短歌をモチーフに作られた月の香り。彼女の初期のシリーズの1つです。月というのはご存じのようにとても多く用いられるモチーフの1つで、様々な香りとなって商品化されていますが、彼女が月から切り取ったのは恋する人が月を見上げ、慕う人を思う時間。つまりはとてもロマンティックで甘やかな時間の香り。慕う方を待っている間に、いつしか月が上ったしまったという短歌から導き出された内容です。

 

 

恋心を表現するとしたら、それはきっと甘酸っぱい香りでしょう。だから彼女もラズベリーを可愛らしくトップに配置しました。ベリー系特有のすっきりとしつつも甘酸っぱい香りが、フローラルノートと共に広がります、ラズベリーというより途中から少しストロベリーに近くなっていく辺り、可愛らしいという表現がぴったりだと思うのですが、チュベローズのクリーミーな甘さがウッディムスクのベースに支えられて香るため、フルーティーフローラルという溌剌とした可愛らしさではなく、少し落ち着いたオリエンタルなラストへと導かれていくのです。ベースノートはとても穏やかで柔らかく、実に日本人好みなあっさり感。オリエンタルと言いつつもアンバーベースや樹脂系の重いものではなく、風に乗って消えていきそうな仄かさで終わっていくのです。

自分で月をテーマとした香りを作るとしたら、もっと明確に時間軸を定め、フランス革命前夜の月とか、終戦の夜の月、結婚式の夜の月など、いつの時代も月が人々と共にあったことを香りとして表現したい。そうなると全く違う香りになってきます。同じモチーフでも、どのように切り取るかで香りが全く違ってくるのが楽しいところなのです。

(09/02/2021)

 

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