*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Time Capsule Collection

 

生きていくことは、いつか年を取ることであり、世代は衰退に向かうということ。いくつもの時代が通りすぎた地球上で、次の世代、時代に向けて足跡を残していこう、というコンセプトです。香水にとって香りは言語のようなものであり、言葉よりもダイレクトに響き、そして言葉そのものを超える可能性を秘めている。Action(行動)、Time(時間)、Place(場所)、Belief(信念)の4つをキーワードに、後世に残すべき物語を、香りを4名の調香師に依頼。その調香師も次世代にスキルを残すということで若手ではなくシニアパフューマーが選出されました。そしてタイトルとなっているのはエスペラント語という世界共通の人工言語で書かれています。(13/07/2022)

 




■Tempfluo (2022年)

タイトルの意味はTime Flow(時の流れ)。なぜ時間を長く感じたり,短く感じたりするのか。時間の認識は壮大な錯覚だという、ヒトの脳の認識の結果でしかないという理論から生まれたもの。人生はいちどしかなく、今日を精一杯生きなくてはならないということを思い出させ、時間管理を行うことで行動や時間に対する考え方を変えていこうというもの。調香はAnne Flipoが担当です。

トップ:ベルガモット、マンダリン、サフラン
ミドル:サンバックジャスミン、オレンジブロッサム、プラリネ
ベース:カシミアウッド、シダーウッド、バニラ

タイムカプセルと言ったら時間が関与するわけで、流れる時間を香りで表現するとしたら、スピードを感じるトップと、緩やかなベースのコントラストを利かせるかな、と思ったらシトラスフローラルウッディな香りでした。最初から甘さの効いたスイートシトラスウッディで、スピード感はありません。サフランは強くはなく、サンバックジャスミンとオレンジブロッサムの爽やかなフローラルノートをスイートウッディが支えるという、比較的シンプルな構成です。印象としてはボートに乗り、静かに河を流れていくような感覚。三途の川を想像してしまいました。4種の中では一番穏やかで平和を感じる香り。(14/07/2022)

 




■Tero (2022年)

タイトルは地球を意味したエスペラント語。何十億という惑星の中で、地球そっくりな星を見つけることは難しいだろう。現在の地球と同じ状態になるのには、同じ進化を辿らなくてはならないから。変化し続ける地球に於いて大切なことは、人類は同じ地球上で生活していることを自覚することであり、動植物や空気、水、土壌など全てを大切にしていかなくてはならない。ということで、土の香りを感じる地球へのオマージュ。調香はCarlos Benaimが担当です。

トップ:ソルティキャラメル、ブラックペッパー、山椒
ミドル:パチョリ、シナモンバーク
ベース:ベチバー、アンバー、オークウッド

塩キャラメルにパチョリって想像できますか? これが何ともスパイシーで楽しい香りなのです。トップでは火花を散らすようにスパイスが弾けますが、次の瞬間に塩キャラメルが登場します。抜群なバランスでパチョリを彩る塩キャラメルに思わず顔を緩ませていると、塩の部分が抜けてキャラメルアンバーとなるのです。ジェットコースターに乗って大騒ぎした後に、一息つくようなオリエンタルグルマンですね。4つの中では一番インパクトのある香りですが、最後の最後にアンバーグリスが強く残るところが難点。(13/07/2022)


■Kredo (2022年)

タイトルは信念という意味のエスペラント語。人間は社会的な生き物であり、それぞれが生活する中で経験した内容に左右され生まれたものが、真実や信念となる。宗教的なものであったり、道徳的なことであったり、文化的なものであったり、国や地域によってもまちまちですが、それが人間を形成し、アイデンティティとなる。信念が人間の生活にどう関わり作用し、対立してきたのかを描いた香り。調香はJean-Louis Sieuzacが担当です。

トップ:ピンクペッパー、カルダモン
ミドル:オスマンサス
ベース:ウードアコード、サンダルウッド、スエード

とても難しいテーマですよね。戦争を引き起こしてきたのは、昔も今も人々の信念ですから。信念を香りで表現したところで、信念自体が人それぞれなのだから、なかなか感じ取ることも難しいテーマだと思います。香りはトップこそスパイスが弾けたものの、香りはすぐにウードへと変化していきます。オスマンサスは何となくあるかな程度のアクセントでそれらしさは感じられず、レザー調ではあるものの、比較的ありがちなラストへと変化していきます。ラストノートは少しスモーキーで、ウードらしさは消えてドライなアンバーウッディが肌に残ります。4つの中では一番平凡な香りですが、引き際のあっさり感は潔くて好感が持てます。(13/07/2022)

 

<Nishane Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜