2018年春、Les Mythiquesという新たなExtrait de Parfumのシリーズが公開されました。それぞれ、インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア、スカーフェイス、ニキータにインスパイアされたという3人の女性たちをテーマに香りが作られています。調香は全てLuca Maffeiで、50、100mlのExtrait de Parfumが130、200ユーロで発売に。(24/05/2018)

■Dangerous Rose (2018年)

映画Interview with the Vampireにインスパイアされた香り。

トップ:ベルガモット、パッションフルーツ、ナツメグ、ピンクペッパー、カルダモン
ミドル:ローズ、スティラックス、ウード
ベース:パチョリ、ベンゾイン、ラブダナム、シベット、オークモス、ムスク

惹きつけてやまない、赤と黒のイメージを香りとして表現したもの。映画はもちろんヴァンパイアですから、血の赤、暗闇の黒というイメージにつながっていきます。それをローズとオリエンタルなウードで表現したもの。ローズウードになっているわけではなく、ウードというよりもラブダナム主体のオリエンタルベースが軸で、トップではスパイスとフルーツが弾け、すぐにオリエンタルなローズへと引き継がれます。スティラックスというよりもハニーノートが感じられ、少しこってりとしたトロリとしたテクスチャーにも感じられるほどで、血ではないけれど、毒っぽい印象です。フィルムの印象ではフェミニンに見えますが、男性でも全然平気なユニセックスですよ。この中に使われているローズは少なからずアブソリュートが入っていると思います。豪華ですから。(24/05/2018)


■Chemical Love (2018年)

映画Scarfaceにインスパイアされた香り。

トップ:ビターオレンジ、ダヴァナ、エレミ、コカインアコード
ミドル:イランイラン、オレンジブロッサム、ベイリーズクリーム
ベース:パチョリ、サンダルウッド、ラブダナム、バニラ、ムスク

ギャング映画の金字塔に相応しく、コカインアコードを組み込んでいますが、コカインがどの部分なのかが残念ながらわかりません。それよりも際立つのはクリーミーな甘さで、トップではオレンジがジューシーに弾け、そこから一気にフルーツクリームに変化していきます。それは、たっぷりのホイップクリームの中に角切りフルーツを入れたフルーツサンドのような可愛らしさ。甘い香りで罠に落とし込むようなイメージなのでしょうか。ラブダナムはあるものの、最後までそれらしさは感じられませんでしたので、オリエンタルというよりグルマンな香りです。(24/05/2018)


■Savanna's Heart (2017年)

7つ目の香りはLuca Maffeiによる調香で初めてExtrait de Parfumとなりました。そのためにボトルもゴールドのロゴのみがボトルにあしらわれるという余計な装飾が全くない美しいスタイルに。

トップ:ベルガモット、ルバーブ
ミドル:コーヒー、カルマウッド
ベース:サンダルウッド、バニラ、ムスク

ベルガモットとルバーブでサヴァンナを染める朝日を、コーヒーとカルマウッドで力強い空気感を表現した香り。2017年春の展示会で感じた流行はミントとコーヒーだったのですが、こちらもコーヒーを使用した香りとなりました。トップでこそシトラスが瞬間弾けますが、香りの軸はアンバーウッディノートで、カルマウッドというのは少しパウダリーな落ち着いたアンバーウッディノートの香料です。そこに微かなアクセントとしてコーヒーが、そしてベースには微かな甘さを添えるバニラとたっぷりのムスクが。全体的にはオリエンタルなアンバーウッディで、特別目新しい感じではないのですが、そこをパルファム濃度にすることで、とても穏やかで品の良いラストノートが持続するようにしたのです。サヴァンナの朝日で始まり、夕陽となって消えていく時代の流行を切り取ったパルファムとなりました。(07/04/2017)