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Sampleレヴュー

 

■Pyrit Ana Tra (2018年)

Pyrite(黄鉄鉱)と呼ばれる天然鉱石をテーマとした新作です。14番目ということで、13番までを一区切りに、新たなスタートという意味でボトルを新しくしたそう。13個のボトルにはhが描かれていますが、それはヘブライ語のHannaで、精神、魂、人生などを意味する言葉です。14番目にはそれが別の言語で描かれ、タイトルにはAnaという音節が使われています。また、Traはトランスですから、向こう側という意味。13種の香りを超えて、その先へ・・・つまり新たなる始まりなのです。

 

 

トップ:ペティグレン、ネロリ、リコリス、クミン
ミドル:マスティック、ウード、バーチ、ガルバナム、ナガルモタ
ベース:アンバーグリス、タバコ、ムスク

トップではシトラスとマスティックがアロマティックに弾け、そこから少しスモーキーなアロマティックウッディへと変化していきます。クミンはそれとわかるほどの強さではなく、スモーキーさも何度か使ううちに心地良いアクセントに感じられるようになっていきます。ガルバナムもグリーンというほど強くはなく、全体がマスティックを軸としたソフトなレジンノートに包まれて香るのです。タバコのニュアンス、ナガルモタのアーシーなニュアンス、ウードのオリエンタルなウッディ、全てがそう、フランキンセンスに包まれているかのよう。フランキンセンスは彼にとってシンボリックなサインのような香り。でも、今回は使用していないんですよね。マスティックはギリシアやトルコではお菓子にも使われる樹脂で、フランキンセンスに似た残り香を有しています。だから、どことなくフランキンセンスのニュアンスを感じるのでしょう。香りはそこから少しスモーキーなニュアンスを残したオリエンタルウッディムスクとなり、静かに最後を迎えます。(24/09/2018)


■Lapis-Lazuli (2016年)

12番目は、ラテン語で石、古代ペルシアやサンスクリット語で青を意味するラピスラズリに。アズールの語源となったラズリ、この石の主成分はラズライトというそう。王の媚薬と呼ばれたり、空の石とも呼ばれたり、結構なパワーストーンとして認められている美しいブルーの石。12という数字は様々な場所で使われている基礎となる数字ですよね。だから幸運やパワーのシンボルであるラピスラズリを12番目にしたのだそう。

 

 

トップ:アルテミジア、サイプレス、ティーツリー、クローヴ、ローズオキサイド
ミドル:タイム、プラントミルク、スペルト、アイリス
ベース:ベチバー、シダーウッド、アンバーグリス、エレミ、トルーバルサム、ムスク

香りはとてもアロマティックで、トップではカンファーの効いたさっぱりとしたアロマティック香が広がり、精油感の強い香りで始まります。植物のパワーを最初に配置したわけです。そこからゆっくりと香りは微かにクリーミーさを含んだアイリスを感じられるようになり、アロマティックウッディな香りと共に肌に馴染んでで消えていきます。12番目の香りも、なんとなくどことなくフランキンセンスの欠片を感じることが出来るのはエレミのせいなのか、彼のラインの中では昨年のChrysolitheの兄弟バージョンという感じです。Chrysolitheはスパイシーでしたが、こちらはライトなウッディにレジンの残り香が優しく肌に残ります。(20/09/2016)


■Chrysolithe (2015年)

古代ギリシア語のKhrusolithos(ゴールドストーン)から派生したというミステリアスな石が11番目のタイトルとなりました。金緑石(かんらん石)と呼ばれるほどグリーンやイエロー系のものが多いようですが、キャッツアイやアレキサンドライトなどもこの一種なのだとか。新約聖書の黙示禄にも、エルサレムの土台を飾る12個の石の1つとして登場しており、自身をコントロールするシンボルと言われています。アラブ諸国にとって、数字の11は神を理解する上で必要な手順数であり、中国では楽園に通じる道を意味するもの。

そんな神秘的な魅力、ミステリアスな石の色などにインスパイアされた香りということに。

 

 

トップ:ヒソップ、クミン、ヴァーベナ、シナモン、ブラックペッパー、ジンジャー
ミドル:セージ、ローズマリー、ジャスミン
ベース:シダーウッド、ベチバー、セージアブソリュート、アンバーグリス、ムスク

ゴールドというよりも蛍光イエローなイメージですが、香りはとてもアロマティックなものとなりました。トップではスパイスがドライに弾け、ゆっくりとアロマティックな香りへと変化していくのですが、クミンやシナモンのバランスがとても良く、主張しすぎてそれ一色になるようなものではありません。香りの軸はセージにあるのですが、近年使用率の増えてきたセージアブソリュートをベースに使用することで、アンバーグリスノートを補強しているのです。ウッディノートやアンバーグリスノートはさほど強くはなく、アロマティックウッディというよりもスパイシーアロマティックに留まっているのはそういったバランスによるもの。ところどころでローズマリーのピネン系の部分が香るのですが、それをふわりと包み込んでいるのがムスクで、揮発の早いハーブの香りをゆっくりじわじわと香るようにまとめられており、クミンのニュアンスがなんとラストノートで微かに顔を出します。とてもユニセックスなアロマティックノートですので、気兼ねなく使える1本だと思います。(21/09/2015)


■Heliotrope (2012年)

ヘリオトロープは紫の花なのに、何故こんなに赤いのかと思ったら、ギリシア語の太陽Heliosとターンを意味するtrepeinが繋がってできたのだそうです。つまり、ひまわりの意味だったんですね。そんな意味を持ったヘリオトロープですが、ブラッドストーンと呼ばれる濃い緑に赤い斑点がある石を言うそうで、この石と花の香りは同時に身につけると自身が透明になって消えると言う伝説も残っているそうです。古代バビロニアでは3世紀に渡って魔術に使用された石であり、古代エジプトでは敵を遠ざけるために、古代アステカでは赤痢の治療に用いられたのだとか。

そんな石と香りが密接に関係した香りは・・・

トップ:エレミ、フランキンセンス、ジンジャー、レッドマンダリン、アンジェリカ、レッドペッパー
ミドル:サフラン、マグノリア、ナガルモタ、ヘリオトロープ
ベース:ミルラ、シダーウッド、サンダルウッド、ムスク、アンバーグリス、ベンゾイン

少し毒々しく見える石をイメージした香りはベンゾインを効果的に使用した、スパイシーなアンバーウッディにまとめられています。ファーバルサムを軽くしたような、ペルーバルサムに少し特徴のある甘さを足したような雰囲気なのですが、ファーバルサムを特徴的に使用したSerge LutensのFille en Aiguillesにも通じる香りです。ただ、時間と共にウッディノートになるFille en Aiguillesに対し、こちらはファーバルサムがそのまま薄れていく雰囲気ですので、純粋にスイートビターな樹脂香を軽やかに楽しみたい方向けと言えそうです。(08/10/2013)


■Turquoise (2009年)

古くは、紀元前5500年のエジプトの女王の墓から見つかったというターコイズ。トルコ石はトルコ原産なのではなく、エジプトなどからトルコ経由でヨーロッパにもたらされたことから名づけられた、などと言う肩透かしな説もあるようですが、トルコと言えば、空であり海であるブルーのイメージですよね。

トップ:ターペンティン、ピンクペッパー、エレミ、ソマリアンフランキンセンス、コリアンダー、ジュニパー
ミドル:カラムス、ロータス、海草、リリー
ベース:イモーテル、ハニー、ミルラウッディ、アンバーグリス

合成香料に頼らないマリンノートというのはこういう雰囲気で醸し出すのか、というのがわかる香りです。ジュニパーとターペンティン(樹木の中のテルペン)と、合成香料だとAphermateのような香りを軸として、鼻に抜ける爽快感がアロマティックマリンに香っています。Caloneに代表されるようなマリンノートではなく、もっとアロマティックであることが特徴で、湿布のようなサリチレート系の香りと共にそれらが香るのです。もちろん合成マリンノートの欠片も感じられるですが、それらはロータスや海草の中などに使用されているのかもしれませんね。少しメンズ寄りにも感じるフレッシュアロマティックというところ。(07/10/2013)


■Jade (2008年)

4つ目の香りのタイトルはずばり、翡翠。人気の石だけにまがい物も多いことと思いますが、自然の作り出す造形物って凄いなぁ、と感じさせてくれる色ですよね。

トップ:グリーンティー、スターアニス、ミント、カルダモン
ミドル:アイリス、ジャスミン、チャイニーズシナモン
ベース:アンバー、パチョリ、ベチバー、モス、ムスク、イモーテル、マテ

香りはとてもアロマティックなウッディノートで、一瞬驚いてしまいました。香りの軸をパインニードルやファーニードルのように感じてしまったのです。針葉樹の葉のキリリとしつつもアロマティックな香りがスパイスに彩られて肌を包みながら、やがて少し土臭さを伴ったミドルへと落ち着いていきます。香りが落ち着くラストノートは色も似ていますが香りもTurquoiseに似てくるのですが、よくくよ比較するとこちらの方がアイリスを感じる柔らかさがあるのが違いです。Turquoiseと共にこちらもテルペン系の香料やAphermateのようなアロマティックなフレッシュノートを強めに使っているのかもしせれません。(07/10/2013)


■Pink Quartz (2010年)

6つ目のジュエリーはピンククウォーツになりました。

トップ:ベルガモット、ピンクグレープフルーツ、ソマリアンフランキンセンス、サフラン、ジンジャー
ミドル:パルマローズ、ダマスクローズ、インディアンローズウッド
ベース:インディアンローズアブソリュート、アンバーグリス、パチョリ、ベンゾイン、ミルラ、ホワイトムスク

さすがピンクです。ピンクと言えば・・・ということでテーマとされたローズに少しベリー系のフルーティーさを加えたこのブランドの中では1番可愛らしい香りに。ローズ自体もアブソリュートのようなワイルドさを持った香りではなく、どちらかというとキャンディーに近い甘さを持った調合香料タイプで、ローズというよりもやはり「ピンク」という可愛らしさを打ち出した香りで始まります。このブランドの共通香であるフランキンセンスもあまり主張していなくて、とても使い安い香りですので女性には嬉しい香りなのではないでしょうか。アメジストよりも女性的ですし・・・。トップはスパイスが効いていたのですが、あっという間になくなってしまうのが残念と言えば残念なのですが、ローズがテーマなので仕方のないことなのかもしれませんね。ラストはフランキンセンスと樹脂系の香りが香りだし、少しユニセックス寄りのインセンスローズの香りとなってきますが、それでも今までの彼の香りに比べると格段に可愛らしいですよ。ローズの部分はキャンディのような甘さがなくなってからの方がアブソリュート感を感じられて良くなります。(24/01/2011)


■Black Tourmaline (2007年)

Black Tourmalineをテーマとした3つ目の香りで、甘くスモーキーな香り。

トップ:カルダモン、コリアンダー、クミン、フランキンセンス、ペッパー
ミドル:スモークウッド、ウード、レザー、プレシャスウッド
ベース:ムスク、アンバー、モス、パチョリ

最初のロッククリスタルがインセンス系だったのに、それを大きく上回るくらいのインセンスです。スモーキーとはまさにこのことだ、と言わんばかりにスモーキーなエッセンスがウッディと共に香ります。スパイスも出ていますので、系統的にはメンズっぽいのですが、インセンス系がお好きな方には良いのかも。焦げた樹木というか香ばしさが出ていてウードっぽさもちゃんと感じます。ノンフローラルなんですね。3つの香りの中では一番存在感があり、どっしりと落ち着いています。時間と共にスモーキーな部分よりもウッディの方が出てきます。柔らかさと温かさ、そしてスモーキーな香りがキレイにまとまった香りだと思います。(21/01/2008)


■Rock Crystal (2005年)

最初の香りはクリスタルでした。インセンス系を重視した香りでデビュー。クリスタルの石とフランキンセンスの放つオーラにインスパイアされたそうです。

トップ:オレンジ、ペッパー、コリアンダー、カルダモン、クミン、
ミドル:フランキンセンス、オリバナム、ベンゾイン、ミルラ、ラブダナム
ベース:サンダルウッド、シダーウッド、ベチバー、イモーテル、オークモス、ムスク

トップはすっきりとしているのですが、次第にスパイスとインセンスが出てきます。スモーキーなインセンスというよりも少し軽めなアンバーという感じですね。ウッディ系のアンバーにスパイスがキリリと重なってメンズ寄りのユニセックスな香りとなっています。デビューの香りとしてはとても斬新だったと思います。こういう香りは一般的な人気ではないですし、もちろん当時の流行は全く違うものでしたし。飽くまでも石にこだわって石から感じる世界観を香りとして表現したのですね。大地が温められて立ち上がる湯気のような温かみを持ったアンバー系スパイシーウッディです。(21/01/2008)

改めて香ると、トップでクミンが飛び出していることに気づかされました。クミンが薄れる頃にラブダナムが顔を出しますので、フランキンセンスを軸としたスイートアンバーウッディといったところです。(08/10/2013)

 

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