*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Sampleレヴュー

 

■Nam Chaa (2021年)

Nathalie Feisthauerによるタイ旅行の思い出のフローラルウッディ。カポックのクッションに座り、静かに本を読む、タイの田舎の風景。

トップ:コリアンダー、グレープフルーツ、レモン、ジンジャー、ベルガモット
ミドル:ジャスミン、チャンパカフラワー、ブラックティー、マテ
ベース:バニラ、トンカビーン、ベチバー、シダーウッド

フレッシュでありながら、親しみやすい何とも心地良いフローラルノートが広がります。とにかく精油のまとめ方が勉強になるほどバランスが良く、天然香料だけでまとめたと思えないほどフレグランスらしい香りで、チャンパカが美しく広がります。そこに微かにオスマンサスのニュアンスが感じられるのですが、どの精油がそう感じさせているのかわかりません。天然だ合成だなんてどうでもよいことだけど、天然香料だけでこれだけの香りが作れるのであれば、ナチュラルフレグランスを作っている人たちはもう少し学んだ方が良いと思わせてくれる、手腕が光る香り。(19/08/2022)


■Makeda (2021年)

Alexandre Isaie Helwaniによるパウダリーオリエンタル。Makedaはシバの女王で、肌からはアイリスとサンダルウッドが香り、フランキンセンスとバニラは巻き毛の中に、オスマンサスとローズのガーランドが手首に輝く彼女は、エチオピアの伝説の全てである。彼女がエルサレムに献上したゴールドとアイボリーがテーマとなっています。

トップ:ベルガモット、マンダリン、マスティック、ピンクペッパー
ミドル:アイリス、ローズ、アンブレット、オスマンサス
ベース:バニラ、サンダルウッド、タバコ、ラブダナム

ダメだよ、こんなにたっぷりとアイリスを使ってしまったら・・・と戦々恐々としてしまうリッチなアイリスで始まります。サンダルウッドとアイリスというパウダリーで優し気な香りを軸に、ほんの少しずつのアクセントを従えて香りは広がっていきます。そすがに高価なオスマンサスはそれと分かるほどの量ではなく、アイリスが消え始めた頃から静かにオリエンタルベースが香り始めます。それは夕暮れからやがて月夜に移ろうようなスムーズな流れで、とても精油感のある優しいウッディノートが肌に残ります。(19/08/2022)


■Les Larmes d'Aden (2021年)

Thierry Bernardによるハニーアンバー。テーマとなったのはイエメン。イエメンと言えばフランキンセンスの産地なのですが、そこはインドとアフリカ、アジアが交わるアラビアの縁。そこをスパイスとフランキンセンスを積んだキャラバンが行く様子をイメージしたそうです。アデンとは旧南イエメンの州都で、アデンの涙というタイトルは、フランキンセンスが樹木から涙のように流れる様子からでしょう。

トップ:ビーワックス、セドラ、ネロリ
ミドル:フランキンセンス、ジャスミン、ガルバナム
ベース:ミルラ、ラブダナム、ブルージンジャー

たっぷりのシトラスにネロリ、フランキンセンスとジャスミンのアブソリュート。とてもリッチなエッセンスが精油感を以て広がります。ネロリとフランキンセンスの相性は良いし、フランキンセンスとジャスミンの相性も良い。ネロリとのコンビネーションを楽しんだ後に、ジャスミンとのコンビネーションを楽しめるよう、時間差でつなげた香りで、重くはないラストノートに重なって広がります。ミルラのそれらしさも強くはなく、ラブダナムのダークさも強く主張はしないのです。アルデヒドがあったらなぁ・・・と思ってしまうのは、香りをキラキラさせたいと思ってしまうから。天然香料の良さを存分に楽しめる香りです。(19/08/2022)


■Tjarn (2021年)

Ellen Dahlgrenによるアーシーウッディ。白樺の森で楽しむ秋の夜のキャンプファイヤー。彼女は北欧はスウェーデンの生まれで、今もスウェーデンにいます。だから、こうした香りを作り出したのですね。

トップ:メロン、レモン、ブラックペッパー、カルダモン
ミドル:ヴァージニアンタバコ、バーチ、シダーウッド、ゼラニウム、ラズベリー
ベース:オークモス、パチョリ、ベンゾイン、ベチバー

メロンやラズベリーの天然香料がどうなっているかはさておき、ムエットではとても北欧らしい鼻に抜ける爽快感を感じた香りでした。でも、肌ではメロンがとても合成香料っぽく感じられるのです。ピネン系がフレッシュに広がる部分が針葉樹林に感じられるのが北欧っぽいところで、メロンがそちらにスライドしてからはとてもナチュラルな香りへと変化していきます。タバコは強くなく、バーチのタールも強くはなく、シプレ感も強くはありません。その精油感のバランスはとても良いのですが、トップのメロンの部分だけが残念です。(18/08/2022)

 


■Brin de Peau (2021年)

Clementine Humeauによるフローラルタバックハニー。スペインのガリシア州にあるSantiago de Compostelaという町に出かけた時の思い出の風景を香りにしたもの。サンティアゴ巡礼の道というフランスからスペインへ向かう、ローマとエルサレムと並ぶキリスト教の巡礼地への道で、Santiago de Compostelaは最終地点です。その道すがら、クマリンの香る牧草地を抜けていくわけですね。

トップ:ベルガモット、アーモンド、クルクマ、アンブレットシード
ミドル:ジャスミン、ミモザ、シダーウッド
ベース:干し草、スイートグラス、リアトリックス、タバコ、トンカビーン、ベンゾイン

あぁ、これはミモザだ。声に出してしまうほど、ミモザアブソリュートが溢れだしました。干し草の香りはクマリンやアニス調の香りにベチバーを加えて形作っていくのですが、そのアニスの部分をミモザで補強したんですね。しかも、アーモンドまで入れて。ミモザがパッと散った後は、そのアーモンドとアニス調の残り香の中に渋めなオリエンタルノートが重なっていきます。ラストノートは少し草の煮汁のように渋いのですが、とても牧歌的な香りで、干し草が刈られ、丸められて乾燥させる季節にその牧草地を旅すると、こうした香りが香りにのって香るのかもしれないと、風景が生き生きと映し出される香りです。(18/08/2022)


■Androgyne 16020 (2021年)

Isabelle Gelleによるシトラスレザーウッディシプレ。1930年代の女性冒険家をテーマとした香りで、おそらく1932年に女性として初の大西洋単独横断飛行に成功したAmelia Earhartのことだと思います。短い髪で、パラシュートとレザーを使ったウエアを身に着け、男性顔負けのフライトを増し遂げた女性。性別なんて関係ない、レザーの香り。

トップ:ユズ、カルダモン、マンダリン
ミドル:ヴァイオレット、ジュニパーベリー、レザーアコード
ベース:バーチ、パチョリ、ベチバー

ツンとアロマティックなグリーンがシャープに弾けての幕開けです。カルダモンのカンファー部分やジュニパーのアロマティックながシャープに重なって始まるのですが、しばらくするとタール系のスモーキーなレザーノートが全てを包み込んでいきます。でも、スモーキーノートは決して強すぎることなくウッディノートのアクセントにとどまり、レザーアコードを成して静かに広がっていきます。ヴァイオレットの部分はどうなっているのだろうと思うのですが、アイリスなどを使用してアコードを作ったのかもしれません。トータル的にとてもクールで、最後まで楽しませてくれます。(17/08/2022)


■Petite Fumee (2021年)

Bertrand Duchaufourによるパロサントを用いたフローラルウッディ。シャーマンたちが用いる祈りの香りであるパロサントは、サンダルウッドとフランキンセンスを足したような香りの樹木です。

トップ:カルダモン、ブラックペッパー、山椒、ピンクペッパー
ミドル:パロサント、フランキンセンス、クローヴ、アミリスウッド
ベース:ハイチベチバー、トルーバルサム、スティラックス

パロサントだけだと、それが強すぎると少しもったりとなりがちな部分を、スパイスをしっかり利かせることで調和させた香り。カルダモンが強めに入っているのですが、カルダモンはどこか魚っぽいニュアンスを持っており、マリンノートのアクセントにも利用されます。そうしたニュアンスがパロサントの中に感じられるのです。それが時間と共にパロサントらしいまろやかでクリーミーな香りへと変化し、ウッディノートと共に肌に溶けていくのです。パロサントだとThe Different CompanySanto Inciensoがありますが、こちらの方がスパイシーで、フレグランスとして楽しい香りになっています。(17/08/2022)

 

 

■Izwe (2016年)

Perrine Scandelによる調香で、テーマは南アフリカ。そして使用しているのはブッチュというシトラス科の灌木から得られる精油です。

トップ:ビターアーモンド、グレープフルーツ、ブッチュ、ダヴァナ、ゼラニウム
ミドル:ジャスミン、ローズ、セージ、ブラックカラントバッド
ベース:アミリスウッド、チュベローズ、ラブダナム、パチョリ

たっぷりのリッチなシトラスの中からふわりと包み紙が開くようにアーモンドがこぼれて始まります。アーモンドは持続をせず、あっという間に消えてしまいますが、その後に残るシトラスとブラックカラントの酸味がとてもマッチしていて、ミドル以降はジャスミンやローズを押しのけてブラックカラントが主役となっていきます。この5つの香りの中では一番可愛らしさを感じる香りで、ごちゃごちゃとしていない、でもとても香水らしいバランスでステキですよ。(28/12/2016)


■Agua Nativa (2016年)

Michel Roudnitskaによる調香で、彼が選んだのは南米のペルー。アマゾンのシピボ族がヒーリングの儀式で使う香りだそう。使用しているのはパロサントとピリピリという珍しい精油で、Coeur de ForetのNGOの協力で彼らはピリピリとパロサントから精油を得るすべを学んだそうですよ。このピリピリ、どうやらナガルモタに近いカヤツリグサ科の植物の根から得られた精油のようです。

トップ:ミント、バジル、グレープフルーツ、オレンジ、イランイラン
ミドル:レモンペティグレン、ゼラニウム、クローヴ、シナモン
ベース:プリプリ、パロサント、パチョリ、ベチバー、バニラ

まず最初に感じるのはスパイス、その次にミント。肌に乗せた瞬間にアーシーなナガルモタに近い香りがクローヴとシナモンという絶妙な相性の香りと共に立ち上がったのですが、すぐにそれらはミントとシトラスに切り替わりました。ミントとシトラスがひと段落すると、ナガルモタを軸としたアーシーなウッディノートへと変化し、さらに軸がパロサントへと変化していきます。サンダルウッドに近いウッディノートがラストノートですね。アマゾンという地域にはぴったりなのではないでしょうか。(28/12/2016)


■Kashi (2016年)

Isabelle Gelleによる調香で、彼女が選んだのはインドで、メインに使用したのはインドのパチョリ。インドの女性たちはパチョリが大好きなのだそう。それにしても、イエローハイビスカスとかホワイトムスクとかどうして? 精油由来はOKとしたのでしょうか。

トップ:フェンネル、アイリス、ブラックペッパー、イエローハイビスカス
ミドル:パチョリ、リコリス、オスマンサス、インディアンジャスミン
ベース:アンバー、ピーチ、バニラ、イランイラン、インディアンサンダルウッド、ホワイトムスク

結構アイリスの強いパチョリで始まります。アイリスとパチョリと言う組み合わせはAnnick GoutalのMon Parfum Cheriを彷彿とさせるもので、とてもシックで力強さをも感じるもの。トップではフェンネルが香りましたが、軸は飽くまでもアイリスパチョリで、その他全ては散りばめられたアクセントにすぎません。でも、イランイランやジャスミンがあるからまとまっているのでしょう。それにしても、かなりMon Parfum Cheriに通じる香りです。精油バージョンを作るとこうなる、という雰囲気ですよ。(28/12/2016)


■Tsinzy (2016年)

Thierry Bernardによる調香で、彼が選んだのはマダガスカル。そしてもちろん軸としたのはノシベのイランイラン。品質の悪いイランイランの精油を避けるため、わざわざマダガスカルまで出向き、生産者たちを指導したそう。カリブ海に蒸留所を構えていた彼らしいスタイルです。

トップ:ピンクペッパー、カフィアライム、ライム、ジンジャー、レッドマンダリン
ミドル:イランイラン、フランジパニ、バニラ
ベース:トンカビーン、ベチバー、エキゾチックバジル、パチョリ

イランイランと高価なフランジパニを軸としてスパイスとバニラでバランスを取ったというもの。トップからクリーミーなトロピカル香がスパイスライムと同時に弾けます。南国の花はいくらかクリーミーさを併せ持っているものですが、フランジパニもその1つ。ジンジャーがシトラスノートとトップで弾けた後は、スイートフローラルとなって落ち着くのですが、バニラがアブソリュートのスモーキーさのあるものではなく、とても綺麗に香っていて、フローラルノートを邪魔せずトロピカル感を盛り立てています。ただ、時間と共に渋さが増し、オリエンタルへと変化していきますので、最後まで変化をご確認下さい。(27/12/2016)


■Tundzha (2016年)

Jean-Claude Gigodotと息子さんのEric Gigodotによる親子作で、彼らが選んだのはブルガリアのダマスクローズ。

トップ:マンダリン、グレープフルーツ、ラベンダー
ミドル:ダマスクローズ、ゼラニウム、イランイラン
ベース:パチョリ、フランキンセンス、サンダルウッド、バニラ

香りは確かにダマスクローズのアブソリュートを使用した香りです。とてもリッチに、でもかなりワイルドな精油感たっぷりの香りで、アブソリュートに馴染んでいる方であれば、その質の良さというか本物感が感じられるはず。ラベンダーはメンズになりやすいのでない方が良さそうにも思えるのですが、ブルガリアといえばラベンダーの産地でもあるので、地域をテーマとしている以上外せない精油なのです。でも、ローズの方が強くラベンダーはあまり主張をせず、トップで消えますのでご安心を。フランキンセンスは時折感じられますが、パチョリは強くなく、、イランイランが少しハニーなアクセントを添え、ローズをセクシーに仕立てています。(27/12/2016)

 

<Parfumeurs du Monde Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜