オノール(オノレ)とは、第二次世界大戦中にレジスタンスとして活躍した方で、フランスのスパイでした。ナチスドイツの犠牲者たちのためにパスポートを手配したり、南仏に移り住んだ後は、大戦で危険に見舞われたグラースの人たちのことを助けた方なのだそう。

ニコラが選んでくれた1本はこの香りでした。最初、少しマリン系の香りを感じていたのですが、使うほどにその感覚は薄れ、アロマティックなフレッシュグリーンフローラルへと変化しました。マリンというよりもフレッシュノートな感じの香料で、微かなミントやハニーノートを伴って香り続けます。グリーンの部分もリーフ系のグリーンでもグリーンフローラルでもなく、ハーブを補佐するグリーンノートで、全体としてはフレッシュアロマティックムスクといったところでしょう。後半からはジャスミンとムスクが軸となり、アロマティックノートを支えます。

ハーブもたくさんあり、ジャスミン畑もあり、海から近いグラースの雰囲気をギュッと閉じ込めて表現した、グラースの香りを彼は最初の1本として選んでくれたのだと、香ってから気づいたのでした。

(12/08/2019)