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Sampleレヴュー

■Columbine (2019年)

16世紀に始まり、18世紀頃まで流行した仮面を使用した即興演劇であるCommedia dell’arte(コンメディア・デッラルテ)に登場する女性使用人をテーマとしたもの。コロンバインは英語表記で、イタリア語ではColumbinaと女性名になっています。

 

 

トップ:マンダリン、ベルガモット、ブルボンタバコ、タジェット
ミドル:ピンクペッパー、オスマンサス、ネロリ
ベース:バニラ、ベンゾイン、ベチバー、スエード、レザー、ムスク

オスマンサスがキーノートにあったことから、オスマンサスのフレグランスだとばかり思っていたのですが、オスマンサスは飽くまでも調香の一部であり、全体のトーンはウッディフロリエンタルでした。オスマンサスフレグランスの中に入れてしまっては問題なほど、オスマンサス感は弱く、香りの軸はオリエンタルなレザーウッディにあります。トップでは明るくシトラスが弾けますが、同時にバニラの甘さも広がり、香りはすぐにオスマンサスの中のフルーティーウッディなトーンに引き継がれていきます。この香りがオスマンサス調にあまり感じられない要因は、おそらく使用されているオスマンサスのアコードが日本のオスマンサスほどフルーティーではないからなのでしょう。レザーのトーンも強く印象付けるほど強くはなく、ヴァイオレットに近いウッディノートや、ベチバー調のウッディノートのアクセントとして香ります。可愛らしくはなく、フェミニンすぎるほどでもないのは、劇中でのキャラクターの奔放さが反映されているのかもしれません。(28/10/2022)

 

 

■Chevalier de la Nuit (2018年)

夜の騎士というタイトルで、昔発売していたものからタイトルだけを踏襲しました。青の時間を過ぎて夜になり、そこに浮かぶ夜を愛するヒロイン、ヒーローたちのシルエット。ドイツのLothar Streeck社のAlexander Streeckによる調香で濃度は20%。

 

 

トップ:レモン、ビターオレンジ、パチョリ
ミドル:ジャスミンアブソリュート、ハイチベチバー、クローヴ
ベース:ムスク、ユーカリ、サンダルウッド、バニラ

夜という名に相応しい香り。パチョリとクローヴがバニラを伴い広がり、そこにラム酒のような香りが加わりセクシーに広がっていくのです。ジャスミンはそれとわかるほど強くはなく、全てはパチョリの中に。クラシカルにも感じられますが、とてもモダンにも感じられ、パチョリが強いけれどシプレになっているわけではなく、オリエンタルとしてまとめられており、最後はパウダリーなアンバーが肌に残ります。(29/06/2018)


■Le Chypre du Nil (2018年)

ナイルのシプレと名付けられたタイトルは、CIROが最初に発売した4つの香りの中の1つ。調香は若手の女性調香師Alexandra Carlinによるもので、ナイル川の流れをイメージした香りに。今回初めて知ったのですが、ナイル川の源流ってウガンダ、ルワンダ、ブルンジ辺りの湖なんですね。そんな遠くから流れてくるなんて。その流れが荒野を、サバンナを、様々な国を通過して流れてくるわけです。なんとロマンのあるテーマなんだか。

トップ:ベルガモット、山椒、エレミ、ニガヨモギ
ミドル:トルコローズ、ドライフルーツ、アイリス
ベース:パチョリ、アンバー、スエード、ムスク

調香にはないリアルなまでの美味しいメロンで始まります。瓜系のメロンというよりもアンデスメロンの熟れたジューシーな甘さを抜粋したようなフルーティーさで、そこを過ぎるととてもシックなフルーティーアロマティックシプレへと変化していくのです。パウダリーでもなく、ローズが強いわけでもなく、グリーンでもない。でも、軽いシプレ調の香りとなっているのです。濃度は24%だそうですが、水面のようなスムーズさでゆっくりと香り続けるのです。モダンクラシカルという言葉がぴったりなナイルデルタの香り。(29/06/2018)

 

 

■Floveris (2018年)

オリジナルは1930年に発売された香り。調香をしたAlexandra Carlinは、オリジナルのキャラクターを保持しつつ現代風にすることを依頼されたそうです。タイトルの込められた意味まではわからないのですが、昔の広告を見る限り、オリジナルはガーデン風のロマンティックなフローラルブーケだったようです。Alexandra Carlinによる調香で濃度はなんと30%。

トップ:ベルガモット、マンダリン、ピンクペッパー
ミドル:トルコローズ、ミモザ、ヴァイオレット、ピオニー
ベース:シダーウッド、カシミアウッド、アンバー、ムスク

30%を感じさせないほどの明るくフレッシュなフローラルブーケがシトラスノートと共に弾けて幕開けです。フローラルブーケの主役はピオニーで、ミモザとローズがフローラル感、柔らかなパウダリー感を添え、ベースはフローラルを邪魔することなく支える仄かな香りに。アンバーもウッディノートも決して強くはありません。また、ムスクに頼ることなく作られたようで、軽めなフローラルノートをたっぷり使うことで高濃度にしたのでしょう。誰もが使いやすいフローラルブーケとなっています。(28/06/2018)


■L'Heure Romantique (2018年)

オリジナルは1929年に発売されたもの。ロマンティックな時間というタイトルもステキですよね。恋に落ちて一緒になる、そんな瞬間を香りにしたようです。Alexander Streeckによる調香で、30%という高濃度。

トップ:ローズ、オーキッド、ピンクグレープフルーツ、スイカ
ミドル:スズラン、ベチバー、アイリス、シクラメン
ベース:ホワイトムスク、バニラ

あれ、これは予想外。スイカがスパークするのです。これは、瓜系だったのか・・・と思った次の瞬間、スイカだけが姿を消し、クマリンとバニリンのコンビが登場するのです。なんという変わり身の早さ。オリエンタルノートが見えた後、香りはゆっくりとベチバークマリンへと変化していきます。バニラは決して強くはなく、バニラよりもベチバーの方が持続をしますので、印象としては塩ベチバーな感じに。とてもユニークなコンビネーションだと思います。(28/06/2018)

 


 

■Maskee (2018年)

何を意味するタイトルなのかと思ったら、仮面舞踏会の略語なのだそう。オリジナルは1924年の香りで、変装することで新たな世界に飛び込める、日常から離れて自由になれるという意味が込められているそう。オリジナルのボトルはどこかピエロっぽくも見えますよね。Alexander Streeckによる調香で、濃度は26%。

 

 

トップ:イランイラン、ローズ、アイリス
ミドル:ジャスミン、トンカビーン、ヘリオトロープ
ベース:ハニー、バニラ、シダーウッド、ホワイトムスク

ムエットで香った際、一番好印象な香りでした。それは軸であるジャスミンがとても美しく香り続けていたから。調香にはないスイートオレンジがトップで弾け、そこからワイルドではなく美しいジャスミンが少しパウダリーなフローラルベースに包まれて香り出すのです。そこからは少しクリーミーだったり、ピーチのニュアンスがあったりするスイートジャスミンへと変化し、最後はハニームスクの中に溶け込んで消えていくのです。ふわふわとした、少し儚げにも感じられる綿菓子のようなジャスミン。(27/06/2018)

 

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