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Sampleレヴュー

■Naki (2023年)

アラビア語でPureを意味するタイトル。日本人にとってのピュアは純真無垢な感覚ですが、海外では生まれたばかりの赤子をイメージすることが多く、年を取るに連れて経験値が高まり、洗練されたスタイルとなるとされています。いい年した大人をピュアと言うのは、経験値がない人だという悪口になってしまうのです。でも、ピュアはなくしてはならない若さのエッセンスであり、香りで取り戻そうというもの。スイスにはKimmy Repondという10代のフィギュアスケート選手がいるのですが、ピュアさと経験のバランスがこのNakiのテーマにぴったりだということで、彼女をイメージして作られたようです。

 

 

アルデヒド、ピーチ、アーモンドブロッサム、パッションフルーツ、フィグリーフ、サンダルウッド、ホワイトフローラル、オスマンサス、ホワイトムスク、バニラ、シーブリーズ

マリンノートをアクセントとしたフルーティーフローラルにフィグリーフが重なってスタートです。時間と共にトロピカルフルーツよりもフィグリーフが強くなり、最後はスイートウッディムスクに包まれて消えていくという香り。フィグにはココナッツとジャスミンが必要なのですが、ココナッツの部分をピーチとサンダルウッドで、ジャスミンの部分をホワイトフローラルやアーモンドブロッサムが支えた形の、フィグを軸としたウッディムスクです。全然関係ないのですが、トルコのフィグでPure Whiteという真っ白なタイプがあることを思い出しました。知恵の実を食べた直後の様子をKimmy Repondに重ねたのかもしれません。Figure Skatingの中にFigが隠れているからだなんてジョークではありませんように。(02/06/2023)


■Mansa (2022年)

中世のアフリカにあったというマリ帝国の9代目の王であったMansa Musaをタイトルとした香り。彼の治世時のマリ帝国はとても豊かで、メッカの巡礼でモスクを建設し、エジプトでスルタンと会談し、12年にわたって金のインフレを引き起こすほど金を使い込んだそう。だから、この香りのテーマは富。The Art And Olfaction Awardsで2023年のFinalistになった香りで、調香は Andreas Wilhelm。

 

 

ブラックベリー、ピンクペッパー、アイリス、ウード、ローズ、アンバー、カシス、サフラン、パチョリ、ヘリオトロープ、モス、ムスク

いろいろな要素が詰まったカオスなローズウードでスタートです。ペッパーやフルーツはトップの賑やかしで、瞬間で消えます。ローズとウードを富の象徴にしたのかもしれませんが、そこにアイリスとサフランが加わり、柔らかなサフランウードにローズが少し重なる香りへと変化していきます。その頃にはカオスなニュアンスはなくなり、落ち着いたサフランウードとなっているのですが、全体的なトーンは軽やかで、今の時代の主流である高濃度でも軽い香りとなっています。ただ、延々持続はしますのでかなりムスク強めで、モスとムスクが残ります。Pernoireでは初めてのウード系ですが、香り自体はそこまで個性的ではないので、ウードマニア向けではないでしょう。(01/06/2023)

 

 

■Amoral (2022年)

非道をタイトルとした少しやんちゃなテーマの香り。夜の街は遊び場であり、その凍てついたストリートが仕事場。どうやってそこで稼いだのか、成功したのか。非道であれば非道であるほど悪名とお金を得られる、道徳心に欠けた人間。それがあなたの本質でしょう。

キーライム、ブラックティー、カルダモン、シナモン、クミン、スモークドプラム、ヴァイオレット、アイリス、ウード、シプリオール、オレンジブロッサム、アンバー、サンダルウッド、トンカビーン

スプレーした瞬間に、あぁ、スモーキー系ね。と、とても分かりやすいスタートだったのに、香りは様々な表情を持っており、スパイシー、パウダリーなアイリス、ウッディノート、ヴァイオレットなどがくるくると登場します。パウダリーだけど甘さが強いわけではなく、ウードが主体なわけでもなく、ましてやスモーキーなのにレザーが軸でもない。言葉を選ぶならば、スモーキーなヴァイオレットウッディでしょうか。最後は少しライススチーム(お米が炊ける時の香り)を思わせる石鹸風のアイリスウッディムスクとなって終わるのですが、このトップにアルデヒドがあったら、少しガンパウダーなニュアンスになっていたかもしれません。そうするともっとやんちゃな香りだったのかもしれませんよね。(26/08/2022)


■Masar (2021年)

タイトルの意味はアラビア語で道。若者にありがちなテーマで自分探し。本当の自分自身を求めるには、困難に立ち向かい、常識を打ち壊し、何が自分らしさなのかを見極めることが重要である。自分自身の道と運命を知ることで、本来の自分になることができる。ボトルに描かれたトンボのイラストは、脱皮して生まれ変わるという意味で用いたようです。

ユズ、オゾンノート、アンバー、ラブダナム、ハニー、タバコ、バニラ、ローズウッド、サンダルウッド、アニマルノート

クセになりそうな香り。タバコのアブソリュートがラブダナムと共にガツンと広がり、そのパワフルでダークなオリエンタルノートにハニーとオゾンノートが重なるのです。相反するオリエンタルとオゾン。それは混じり合わない水と油のような関係ですが、ユズの酸味と苦味がオゾンをオリエンタルに溶け込ませているのです。蓮の花は泥の中から茎を伸ばし、水面に美しい花を咲かせますが、泥の中にいたトンボが美しい姿になる過程の、泥の中の香り。なかなか美しくはなりませんが、この香りであれば泥の中も悪くはありません。オゾニックハニータバックオリエンタルというとてもユニークな香りです。(26/08/2022)


■Tierra (2021年)

Tierraはスペイン語で地球、土壌のこと。つまりはTerraですね。この香りのテーマとなったのはラテンアメリカで、南アメリカに足を踏み入れた時の最初の驚き、陶酔感などを香りらして詰め込んだもの。寒い季節に心を温めてくれるような幸せの香り。

ラム、バニラ、コロンビアンスパイス、ベンゾイン、ピンクペッパー、ウード

これはとてもフルーティーに始まりました。ラムと一緒にマンゴーが弾けたのです。ラムの香料はトップノートで弾け、あまり持続をしないのですが、その部分を引き延ばすのがフルーツで、ラムの余韻をフルーツにスライドしてフルーティーオリエンタルへと変化していきます。スパイスは思っていたほど強くはなく、フルーツも特有の酸味があるものの、可愛らしいテイストではなく渋めなオリエンタルへと引き継がれていきます。(25/08/2022)


■Vitias (2021年)

自分の魂の一部を他人に捧げること、あなたが成し得る最も深い約束の1つです。相手を深く知り、求め合い、日々成長していくことでお互いはやがて1つになる。つまり結婚ですね。タイトルは太平洋のマリーナ海溝にある一番深い深海地点の名称で、愛と深海を結び付けた香りに。昔から海より深い愛と言いますよね。表現は世界共通だったのです。

ベルガモット、ライム、ピンクペッパー、ブラックペッパー、アンジェリスルート、アイリス、ブロンドウッド、ガイヤックウッド、マリンノート、アンバーグリス、ホワイトムスク

4つの中では一番フレッシュに明るく始まりました。安心感すら覚えるシトラスノートでしたが、香りはそこからセロリ調のアイリスノートへと変化したのです。それはアンジェリカルート。高価な精油をしっかりと使っているようで、そのアンジェリカルートを感じるスパイシーなパウダリーウッディへと変化して落ち着きます。全体的なまとまりはAmoralに近いのですが、Amoralはムスクがとても強くてソーピーに終わるのに対し、こちらはソーピーではなく、もっと軽やかなラストを迎えます。例えるなら洗い立てのシーツのような清潔感のあるアイリスウッディムスクといったところでしょうか。(25/08/2022)

 

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