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Sampleレヴュー (Numbered Collection)

 

 

■PG 29 - Itabaia (2021年)

シトラスフルーツを多用した、フルーティーな香り。ブラジルの踊るような格闘技、カポエラを浜辺で音楽に合わせて行う様子からイメージされたようです。30番が先に発売されたため、29番はどうしたのか聞いたところ、「今年か来年の夏に発売するよ。サンプルが引き出しどこかにあるんだけど」。ギリギリ、2021年の夏の終わりに発売となりました。

 

 

トップ:シトラスノート、パイナップルリーフ
ミドル:マラクジャ、ジュレマフラワー
ベース:ハイビスカスウッド、バニラ、ヘンプ

マクラジャはブラジルの言葉でパッションフルーツのこと。、ジュレマフラワーはブラジルのミモザのようですが、ひょっとするとArphaoraで使用された合歓の木のアコードかもしれません。シトラス満載なジューシートロピカルを想像していたら、何とも男性的なフレッシュノートがシトラスと共に広がりました。彼はそれをニュータイプのエアリーシプレと呼んでいるようですが、ユニセックスというよりも少しメンズ寄り。シトラスノートに加えて、トロピカルなトーンも感じられますが、全体的にココナッツやミルク、バニラの甘さがとても控え目で、さっぱりとしているためトロピカルというよりもフレッシュさが勝り、フルーツが抜けた後はフレッシュノートが彼が言うところのネオシプレーエアーをけん引していくのです。サマーフレグランスにぴったりで、残り香はスポーティーなフゼアにも感じられ、そこを抜けるとダスティなウッディムスクとなります。(21/02/2022)


■PG 27 - Limanakia (2016年)

エーゲ海のビーチから続くシスタスの咲く岩山をイメージした、ギリシアはアテネ近くの海辺の町がタイトルに。

アルテミジア、クミン、フリント、ジャスミン、スズラン、ティアラフラワー、イモーテル、パチョリ、ウッディノート、カシミアウッド、ラブダナム

あ、マリンリゾートか・・・というのが発売当初、ムエットを香って感じた印象だったことを思い出しました。しかし、肌では全く違う香り方をしており、マリンのニュアンスはトップで薄れ、ラブダナムがクミンを従えてオリエンタルに登場するのです。フリントというのは火打石のこと。それがおそらくマリンっぽい冷たさを感じさせていたのでしょう。どこか冷たさを感じるオリエンタルというのはとてもユニークで、スズランも冷たさに一役買っています。ベースには微かにオークモスもあるらしく、少しアーシーなニュアンス、シプレベースがアクセントとなってビターなオリエンタルノートを支えています。シスタス、ラブダナムはギリシアやスペインが産地で、夏場に白い花を咲かせます。周囲に香りが広がるほど軽やかな香りではありませんが、美しい光景ですよ。このナンバーシリーズは1つ1つにキーノートがあり、それを踏襲したReworkが後年作られているわけですが、この香りのキーノートはラブダナムで、オリエンタルを軽やかに表現したい、という意向が伝わります。(29/11/2018)


■PG26 - Isparta (2014年)

 

 

26番目の香りとして2月(一部1月下旬)より発売された香りは彼には珍しくフローラルノートを軸とした香りとなりました。タイトルはトルコの中でもローズの産地として有名な場所だそうで、Isparta Summer Rosesと呼ばれているそうです。なだらかに続くローズの丘のローズたちは早朝から摘み取られます。完全に開花する前の半開きの状態が一番香りが強いのだとか。

レッドフルーツ、イスパルタサマーローズ、ペルーバルサム、カラムス、パチョリ、フランキンセンス、ベンゾイン、ウード、アンブロキサン、ムスク

香りは、やはり彼のラインの中では比較的わかりやすいキャンディーローズです。オフィシャルサイトではシプレオリエンタルとしていますが、パチョリはそれとわかるほど強くはありませんし、オークモスも感じられません。逆に、少しキャンディっぽいラズベリー系のフルーツノートがトップからミドルで強くでており、樹脂系のダークさや、微かに組み込まれたアニマリックさ、スパイスノートは全てフルーティーノートにかき消されています。ローズとフルーティーノートは一体化して香っているのですが、奥からじわりじわりと樹脂香が香りだすと少し彼らしいテイストを感じられるようになります。それでも、ウードやレジンノートはとても控えめで、彼のらしさを期待しているファンには物足りなく感じられるかもしれません。でも、欧米ではかなり女性ファンも多いですから、たまにはこうした可愛らしさを感じられるスイートフローラルもラインとしては必要なのでしょう。ラストノートはスイートローズがアンバーノートと共に香り、薄れていきます。(06/03/2014)


■PG 25 - Indochine (2011年)

25番目の香りです。タイトルはインドシナで、1992年にCatherine Deneuveが主演した映画のタイトルから名づけられました。でも、香りは1920年代のメコン川の夕暮れのセピア色のイメージのようですよ。

ウッディノート、アンバー、シャムベンゾイン、セイロンカルダモン、バニラ、カンボジアンペッパー、タナカウッド(サンダルウッド調)、ラオスハニー

スピードを落としてゆっくりと川面をクルーズする・・・というには湿気た空気感がなく甘さが強い香りなのですが、ベンゾインの中にスパイスとハニーを入れたというのが全体像です。ウッディノートもアンはセーウッディ系で、柔らかな残り香となって消えていきます。こういう系統の香りはもっとダークに甘く、ねっとりとしたオリエンタル調になるはずなのですが、そこまで後を引かないのがEdTの利点だと思います。残るのに重くない、という感じです。また、Coumarinが香らないためにゲランのベースにあるようなオポポナックス調の香りにはなっていませんので、クラシカルな印象は受けません。通常、インドシナ(今のベトナム、ラオス、カンボジア辺り)だったらウードとかパチョリ、クローヴ辺りも想像しそうですが、飽くまでもシャムベンゾインに焦点をあてたというのが彼の個性だと思います。(20/09/2012)


■PG 24 - Papyrus de Ciane (2010年)

CaronのNuit de NoelやGuerlain、Rochas、YSL、Chanel・・・と過去の名香たちのベースに使われてきた有名なモスノート(Mousse de Saxe)を使用した香りで、パピルスのグリーンノート、モスノート、ベンゾイン、大環状ムスクなどを使用した24番目の香りに。タイトルはシアンのパピルスという意味なのですが、ギリシア神話の中で川の神アルフェウスから逃れようとした妖精アレトゥーザが泉となったと言われるシチリアのシラクーサにあるFontaines d'Arethuse(アレトゥーザの泉)をモチーフにしているそうです。ここはパピルスが自生する泉でパピルスの保護区となっているんです。

ベルガモット、ガルバナム、ネロリ、エニシダ、ソーラーノート、ラベンダー、ニガヨモギ、クローヴ、フランキンセンス、ラブダナム、ヘディオン、ベチバー、ムース・ドゥ・サクス、シルヴァノン(ムスク)、ホワイトムスク

肌に乗せた瞬間は強いガルバナムがベルガモットと共に広がり、クラシカルなシプレグリーンとなりました。そこから一気に柔らかなレザーノートに変化していくのですが、これはレザーノートを作る際に使うisobutyl quinolineだと思います。グリーンなレザーっぽいウッデイノートで、そこに少し軽いパウダリー感を加えて彼独自のMousse de Saxeを作り出したのだと思います。アクアノートはないので水辺っぽい雰囲気ではないのですが、Hedioneが多いのか全体的に軽いテイストになっています。大きなクセや特徴はないものの、流行とは全く無縁な香りです。柔らかくて上品なクラシカルグリーンシプレ。(18/05/2011)


■PG 21 - Felanilla (2008年)

限定ではないナンバーシリーズの21番。タイトルはFeline vanillaをもじったものでスパイシーオリエンタルな香り。

サフラン、タヒチアンバニラアブソリュート、イタリアンアイリスアブソリュート、ヘイアブソリュート、バナナウッド、アンバー

Felineにはしなやか、ずるいという意味の他に猫のような・・・という意味があるので少しアニマリックな部分もあるのかと思ったらこれはバニラとアイリスが核です。ヘイアブソリュートは独特に苦味は全く感じないので極少量のアクセントなんですね。全体的にバニラアブソリュートのリキュールっぽさが強くなくてアイリスのパウダリー感というか甘さのあるアイリスというか僕にはアイリスを楽しむためのバニラという感じを受けます。逆に言うと美味しそうなグルマン系のバニラではない、ということなんです。この辺りの作り方がアーティスティックでこのブランドらしさを感じます。バナナウッドとはアンダートーンにバナナっぽい香気成分を持ったウッディノートなのだそうですが、あまりバナナっぽさは感じません。バニラのクリーミーさに重なっているんでしょうね。(22/02/2009)


■PG 23 - Drama Nuui (2008年)

限定ではないナンバーシリーズの23番で、何故か22番が欠番です。(追記:2012年に欠番だった22番が発売となりました)目指したのはアブサンを使用したビターなジャスミン。

ぺティグレン、ジャスミン、ウァームウッド、アブサン、ガイヤックウッド、サンダルウッド、ムスク、スパイスノート

これはすっきりさっぱりとした紛れもないジャスミンです。このブランドの中では比較的クセがなくて美しくまとめたジャスミンです。インドールも少なめであることはあるのですがワイルドな精油っぽい感じは受けません。逆にケミカルな感じもしないので、サンバック種のジャスミンにシトラスを組み合わせたのではないかと思います。いろいろなウッディノートやスパイスノートも全てはジャスミンの構成要素である、という感じでキレイなジャスミンのシングルノートのように香ります。もう少しワイルドだった方がこのブランドのテイストには合うのでしょうが、これはこれで素敵だと思います。(22/02/2009)


■PG 20 - L'Eau Guerriere (2008年)

2008年発売の2つ目の香りでタイトルは「戦士の水」。20番目の香りとなります。

シナモン、スカイアルデヒド、オリバナム、アロエウッド、アニマルムスク

オゾン的な香りがしていると読んだせいですっきりさっぱりとしたマリン風な香りを想像していたのですが、思い切り違う香りでした。パウダリーなアルデヒドというのが1番伝わるかと思います。アイリスっぽくもありますし、樹皮っぽくもあります。シナモンっぽさは強くなく、オリバナムは感じますけどアンバー調の甘さというよりは樹脂っぽい乾いた香りになっています。アニマルっぽい香りを目指していたようですが、そこまでワイルドではなくてタイトルのような力強さは感じません。レザーやアイリスの香りがとても好きなブランドなので、きっとご本人がお好きな系統なんでしょうね。時間と共にどんどんウッディが前に出てきて最終的にはウッディ1色となります。トワレ濃度ですが香りの持続は結構良いですよ。


■PG 19 - Louanges Profanes (2008年)

番号で19番なので限定品ではありません。タイトルは「名誉ある冒涜」という感じでしょうか。「異端万歳」みたいな意味合いなのかな。香りは穢れなきピュアで輝かしいオリエンタルのようで、宗教的な6つの言葉をインクで書いた「祈りの香り」。(ヒューマニズムへの讃辞ということで、科学的に作り出した宗教の香りということなのかも)

ネロリ、ホーソン(サンザシ)、リリー、インセンス、ベンゾイン、リグナムバイタウッド(ガイヤックウッド)

香りも6種類を使用していますね。リリーはマドンナリリーが聖母マリアを意味しますから宗教的です。調香だけだとどことなくラルチザンのパッサージュ・ダンフェを想像してしまいますが、ネロリが結構効いているので思っていたよりもさっぱりとしています。ネロリがひと段落すると「オリエンタルでピュア」だという表現の通りに少しフランキンセンスが出てきます。百合の持つクローヴの香りはほとんどわからなくて、カサブランカというよりもテッポウ百合系(というかスズラン系)のものをイメージした方がピンと来る感じです。でも澄み切ったスズラン風のホワイトフローラルではなくて肌の上で温められて香りますから、温かみのあるウッディフローラルとなっています。ミドル以降はウッディもどんどん出てきますのでMiller et Bertauxの香りがお好きな方には良いのかも。Miller et Bertauxの方が硬質なウッディで、こちらはより柔らかな香りです。50mlで135ドル。


■PG 17 - Tubereuse Couture (2006年)

魅惑的なチュベローズの香りをクチュールとして表現したNo.17の香り。EDPで濃度は12.7パーセント。

トップ:カラマンジ、グリーンジャスミン、バナナ、ホワイトピーチ
ミドル:インディアンチュベローズ、イランイラン、サトウキビ
ベース:スマトラベンゾイン、パピルス

グリーンなフロリエンタルです。とてもチュベローズが出ているのですが、チュベローズの中のココナッツっぽい雰囲気をバナナに置き換えたんですね。バナナとピーチの欠片をちゃんと感じる香りです。ジャスミンの独特の臭み、そしてチュベローズの精油っぽい香り、樟脳やガソリンのような部分を感じます。ルタンスのチュベローズクリミナルにも感じるガソリンっぽさです。樟脳というか。香りはしばらくするとチュベローズらしさが引き、樟脳っぽさの中にベンゾインが香りだします。この薬っぽさはミドルくらいには薄れて消え、以降はチュベローズとバナナな感じが続きます。ルタンスのチュベローズクリミナルをもう少し使いやすくした香りとも言えそうです。


■PG 18 - Cadjmere (2007年)

カシミアをテーマとしたエキゾチックなパウダリーウッディな香りで、No.18の香り。

トップ:レッドタンジェリン、マートル、サップ
ミドル:ローズウッド、ケニヤサイプレスレジン、ココナッツミルク
ベース:サンダルウッド、アンブレットシード、バニラ

これは一種独特で、木を削ったときのフレッシュな香りが強く出ていて、ヒノキっぽくも感じます。ヒノキのような香りにココナッツの甘さがアクセントとなって、不思議な香りになっているんですよ。どことなくフランキンセンスっぽさもあるなぁ。(サイプレスレジンでしょうか)時間と共にバニラが出てきて、甘く落ち着いた香りに変化していきます。バニラが出てくるまでがドライに感じますね。あってもおかしくない香りですが、いざ体験してみると少し変化球な香りであることに気づきます。少し甘いウッディ系がお好きな方には良いのかも。僕にとっては小さい頃近所にあった木材屋さんを思い出す香りです。

 

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