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Sampleレヴュー (Rework Collection)

■PG 14.2 Costume Liquide (2023年)

Iris Super-Ombre(コントラストの強いアイリス)というコードネームだったという2つ目のリウォークコレクション。

 

 

トップ:ヴァイオレットリーフ、バジル
ミドル:アイリス、ペッパー、ピオニー
ベース:ベチバー

ムエットで試した際には、少しインパクトの弱いアロマティックなアイリスだったように思えたのですが、肌ではトップから強くバジルが広がり、バジルベチバーという組み合わせにアイリスが重なっています。バジルにはアニス調の甘さがあり、そヴァイオレットリーフの方がバジルより弱く、あまり強く香りません。また、ペッパリーなアイリスだともオフィシャルには記載があるのですが、ペッパーの部分もバジルに完全に隠れて感じ取れるほど強くはありません。この香りの中のアイリスは、ウッディノートが強いものではなく、どちらかというとヴァイオレットに近いオイリーなタイプを使用しているようで、アイリスというよりもオイリーなムスクの方がイメージしやすそうなほどで、パウダリーさも強くはありません。ベチバーがベースにあるおかげでぼんやりしがちなムスクがウッディムスクとなってクラシカルに支えています。(19/05/2023)


■PG 31.1 L'Air & L'Eros (2023年)

31 Tonka Bodykonのリウオークとして発売されたバージョンは、31がダークでセクシーなトンカビーンだったのに対し、もっとエアリーで包み込むような柔らかさを表現した香りに。

 

 

トップ:ライラック
ミドル:トンカビーン
ベース:ホワイトカカオ

クマリンをフラワリーにしていくと、どうしても桜のニュアンスが感じられるようになるわけですが、こちらはライラックにすることでハニーフローラルに仕立てています。クマリンを最大限に使用しても1.6%までと決められているわけで、クマリンを存分に楽しむというほど主張のないテイストとなっています。ベースにあるホワイトカカオはホワイトチョコレートの香りの成分で、ムスクと相性も良くビターではないため、テーマとなっているふんわりとした包み込む柔らかさを表現するにはぴったりだと思います。インパクトは強くはないのですが、スイートムスクに少しホワイトチョコレートが重なったラストを迎えますので、基本的にはムスク好きな方に合いそうです。(18/05/2023)

 

 

■PG 7.2 - Morning in Tipasa (2021年)

2014年に発売されたGrand Siecle Intenseがリフォーミュラの後にPG 7.1となり、この香りが7.2となりました。No.7のテーマはシトラスです。Tipasaはモロッコとチュニジアの間にあるアルジェリアの首都アルジェにほど近い海辺の街で、文筆家のAlbert Camusによるエッセイ集Wedding in Tipasa(1938) ティパサでの結婚をテーマとした香り。カミュ自身が当時フランスの植民地だったアルジェ生まれで、アルジェリア大学を卒業して文筆家となったのだそう。だからティパサにも良く訪れていたのでしょう。そこでの結婚式の様子が、とても美しく描かれています。ローマ時代の遺跡の中、真夏の太陽とはしゃぐ若者たちの姿。

 

 

ワイルドレモングラス、ペパーミント、地中海松、ベルガモット、インドナツメハニー

全ての香りをタイ料理に変えてしまうレモングラスを絶妙なアクセントとしたシトラスアロマティックな香りで、パインニードルのアロマティックさがシトラスノートに包まれてとても柔らかく、そしてジューシーに広がっていきます。ともすれば飲めるのではないかと思うほど、カクテル調にも感じられる香りで、遺跡を彩る芳香植物と、太陽とキスという象徴的なイメージをギュッと濃縮したような香り。ハニーノートはラストを伸びやかにするベースであり、パインの余韻と共に肌に残ります。シトラスアロマティックであればコロン調になりそうな気がしますが、そこを軽やかなハニーアンバーベースが支える伸びやかなEdPとなっています。(03/03/2022)


■PG 15.1 Hapyang (2020年)

コロナ禍のこんな時だからこそ、Happyにという願いを込めたリウォークコレクション。Jeffrey Vanhoutteの粉を使ってダンスをする様子(アートダンスのようなもの)を見た時にこの香りのヒントが生まれたのだそう。

 

 

パウダリーノート、アルデヒド、マグノリア、イランイラン、ペアウッド、ベンゾイン、バニラ

どれだけキラキラと輝くアルデヒドが爆発するのかと思いきや、とても優し気なフローラルで始まりました。それもペアのフルーティーさを従えてのフローラルです。あれ? アルデヒドは?と思うほど、アルデヒドの香り方は控えめで、パウダーの中にフローラルノートを閉じ込めたそうですが、パウダーというより軽めなムスクの中にフローラルがあるような印象です。ベースには甘さがあるものの、フロリエンタルというほどではなく、少しクリーミーなフローラルムスクとなって消えていきます。このラストノートはトロピカルなニュアンスがあり、そこにテーマがイランイランであることが感じられるのです。何だか南国のボディクリームやオイルにありそうなラストノートは重くはなく、夏でもあっさりと使えます。(18/08/2020)


■PG 7.1 - Grand Siecle Intense (2013年)

調香だけを見ると別物なReworkですが、コロンのビターシトラスアコードを生かしてアロマティックなEdPにした、というものなのでしょう。

トップ:ベルガモット、ビターオレンジ、レモンリーフ、ミント
ミドル:タバコアブソリュート、サイプレス、ヘイ
ベース:パチョリ、ベチバー、オークモス、ハニー

嬉しくなるほどのシトラスがアロマティックにスパークして始まるトップ。オーデコロンと言えばこういう香りでないと、と大きく頷かせる香りなのですが、このブランドのシトラスノートは本当にシトラスの質の良さを感じます。こちらもそうで、レモングラスに含まれるシャープなレモンノート(シトラール)がシトラスノートをシャープに持ち上げ、明るく弾けて散らします。サイプレスやペティグレン風のアロマティックノートはしっかりと感じられるのですが、タバコアブソリュートの部分はしばらく出てこず、奥の方でモスたちと待ち構えている、というスタイル。そして予想通りゆっくりゆっくりと霧が晴れるように見えてくる渋めな香りたち、それはアロマティックノートを引きずっていて、強すぎないアクセントとして補佐しています。タバコアブソリュートにシプレノートですが、全くメンズっぽい要素には感じませんので、女性の方でも安心して使える香りですよ。リフレッシュにぴったりな、気持ちを切り替える香り。(12/12/2018)


■PG 4.1 - Le Musc et La Peau (2016年)

2005年発売のMusc MaoriのReworkということでローズマリー、ミルキーなムスク、トンカビーンを重ねた香りに。オリジナルにあったチョコレートの香りを排除し、7種のムスクを重ねて素肌感を表現したもの。

ベルガモット、アルデヒド、ローズマリー、ミルク、イランイラン、サンダルウッド、シダーウッド、トンカビーン、アンブロキシド、ムスクミルクアコード、7種のムスク(アストロライド、フィクソリド、ヴェルヴィオン、エグザルトリド、エチレンプラッシーレート、ハバノライド)

仄かな甘さのムスクが薄いヴェールのように肌を包み込みます。典型的なムスクの香りで、この中にローズマリーを入れている辺りが彼の調香なんですよね。それらアクセントが全く違和感なく、ムスクに溶けているのですから。ローズマリーをミルキーなムスクが包み込む・・・考えただけで楽しい調香です。ただ、やはりムスクが主軸となっていることであまり香りの変化はなく、スイートムスクがイランイランとウッディノートの微かなアクセントと共に広がり、肌に馴染んで落ち着きます。ムスクがお好きな方で、あまりフェミニンではない香りを好まれる方に良さそうです。昔風の重厚感のあるムスクではありませんから、優しく香ると思いますよ。(29/11/2018)


■PG 5.1 - Suede Osmanthe (2017年)

2005年発売のL'Eau de CirceのReworkということで、オスマンサスを使用したフローラルを、少し渋めなブラックティーでアレンジしたもの。

 

 

アプリコット、ブラックティー、オスマンサス、サンダルウッド、プラム、アルデヒド、スエーデラル、カシュメラン、ムスク

ムエットで香った際には、オスマンサスらしさがほとんど感じられず、ウッディノートにフルーツが重なっただけのシンプルなものだったのですが、肌で試したらアプリコット調のオスマンサスが広がりました。生花そのものではありませんが、アルデヒドが微かに香る辺りは個性的なチャレンジで、オスマンサスと相性の良いスエードウッディムスクへと変化して落ち着きます。オスマンサスだけでなく結構渋めなアクセントがあるのはブラックティーが最初から存在感を放っているから。サンダルウッドのクリーミーな甘さはない方が良かったかな、と思うのですが、それがアプリコットを持続させているようにも感じます。少し変化球なオスマンサスがお好きな方は是非お試しを。(09/10/2018)


■PG 19.1 - Neroli ad Astra (2017年)

2008年発売のLouanges ProfanesのReworkということで、ネロリを効かせた香りに。オリジナルはネロリにフランキンセンスやリリーが重なったフローラルウッディでしたが、こちらでは楽園の園をイメージしたホワイトフローラルに。ラテン語のAd Astraは星に、という意味。

 

 

ネロリ、ムスク、ピンクペッパー、アガヴェフラワー、チュベローズ、ゼラニウム、ベチバー、ジャスミン

なかなか個性的な香りで勝負してきました。ネロリなのに薬品のようで、特徴のあるグリーンノートがフローラルノートをざわざわとさせています。アクアティックだったり、グリーンだったり、フローラルだったり、ムスキーだったり、いろいろな部分がカオスに混ざり合っていて、一緒になって溶け込んでいるというよりも、マーブルなまま固まったような印象を受けます。香りはそこからゆっくりと固まりが溶けてジャスミンムスクへと変化していきます。ムスクが強めに入っていますので、最後は少し入浴剤っぽく感じられてしまうかもしれませんが、とてもユニークなラストノートですよ。(09/10/2018)


■PG 23.1 - Jasmagonda (2018年)

2008年にリリースされたDrama Nuuiを、10年目ということでRework。とても美しいサンバックジャスミンを、Komorebiのように下から見上げた森の様子ではなく、森の上に漂う光をグリーンフローラルとして表現したもの。

 

 

トップ:アップル、グリーンノート、シトラス
ミドル:マリンノート、ジャスミン、マグノリア
ベース:シダーウッド、トンカビーン、バニラ、ベチバー

こういう香りも作れたんだよね、という彼の今までのラインを知る人からしたら、意外にも思えるフレッシュグリーンフローラルで始まります。アップルがジャスミンと重なり、それをグリーンノートがエアリーに包み、明るくフレッシュに広がっていくのです。ミドルまでベースは主張せず、そっと支えるだけの役目に徹し、薄っすらとしたウッディベースにフローラル残り香が重なって香りますが、そこから一気に彼らしいスイートフローラルウッディへと変化して落ち着きます。最初、フルーティーなアップルジャスミンで可愛らしく始まるものの、最後はユニセックスに落ち着く、しかも彼らしいウッディノートを感じられるまとめ方だと思います。(08/10/2018)


■PG 9.1 - Komorebi (2018年)

2006年発売のYuzu ab Iratoのフランカーが日本語タイトルに。オリジナルのシトラスを排除し、ブラックカラントとヘーゼルウッドを足した香りだそうで、オリジナルのアロマティックフローラルは同じだよ、と。日本人なら誰もがすぐ理解出来ますが、木漏れ日というのは、翻訳しづらい日本語だと言われています。彼は森の中に立ち、大地から見上げた風景を切り取り、森の中に注ぎ込む光を香りとしました。

 

 

ミント、レセダ、ミモザ、ブラックカラント、ヘーゼルウッド、オーク、トンカビーン、オークモス

とても印象的なグリーンノートがミントと一緒にスパークした始まりました。そこに重なるのはミモザというよりライラックで、時間と共にブラックカラントのアクセントが強まり、グリーンなフルーティーさが印象的に香ります。でも、それらを支えるベースは大地を思わせるオークやモスなどなわけで、エアリーに感じられるJasmagondaとは全く別のアプローチで作られたグリーンフローラルウッディ。可愛らしさを想像していると案外渋くて驚かれるかも。後半はアニスとクマリンの効いたスイートウッディへと変わり、薄れていきます。(08/10/2018)


■PG 3.1 - Arabian Horse (2014年)

Cuir VenenumのReWork Collectionとして10年目の2014年に発売された香り。実は2012年の飽きの展示会で試作品として公開されていた香りでもあります。馬の鬣を表現した香りで、馬の蹄が蹴り上げる草原の香りをも組み込んだそう。

グリーンノート、ワイルドフラワー、ナルシスアブソリュート、レザー、シプリオール、アニマルムスク、アンバー83、ラブダナムアブソリュート

肌に乗せた瞬間、柔らかなレザーが香りだしたのですが、ゆっくり感じとると中にグリーンノートやソフトなフローラルノートが感じられるようになります。グリーンレザーって珍しいよね、と楽しくなるユニークさで、アニマリックだと謳うほどアニマリックではありませんのでご安心を。使用しているアニマルムスクはSynarome社のAnimalysという香料なのですが、結構しっかりアニマリックなムスクです。また、Ambre 83は昔からあるアンバーベースの香料、そしてCalmodeというGivaudanの香料も使用されていることが公開されています。香りはグリーンなレザーからゆっくりムスクが強まり、昔から使われているレザー香料、イソブチルキノリンにコスタスという植物性のムスクを模した香りがたっぷりのアンバームスクに包まれて香ります。レザーだけど力づよくはなく、フェミニンでもなく、とても彼らしいユニークなテイストです。(28/02/2017)


■PG 10.1 - Bouquet Massai (2016年)

Aromassaiのフランカーです。彼はReWorkコレクションとしているみたいですね。

 

 

ピオニー、マグノリア、コーヒー、カシュメラン、カロカロンデ、サンダルウッド

フランカーと言いながら、オリジナルとは全く違った香りとなりました。オリジナルはスパイスの効いたビターウッディなオリエンタルだったのですがねこちらはフローラルがメインにあるのです。2月発売という春を意識したつくりだったのか、トップで一瞬スパイシーな香りが弾けましたが、基本的にはピオニーやマグノリアをメインとしたフレッシュフローラルで、明るく瑞々しい香りとなっています。コーヒーはほとんどわからず、ベースもフローラルを邪魔するような香りではありません。マサイ族のブーケというタイトルなわけですが、こんなにフレッシュだったとは意外。しかも、フェミニンなフローラルではなく飽くまでもユニセックスなニュアンスが生きているのが素敵です。ミドル以降は少しクローヴのニュアンスがフローラルと共に残り、生花でこういう花あるよなぁ・・・と感じるものとなって消えていきました。(11/07/2014)


■PG 8.1 - Bois Naufrage (2010年)

フランスの写真家Lucien Clergueの作品、Nakid in Driftwood (1917)にインスパイアされて作られた香り。Lucien Clergueは自然の造形物に女性の裸体を重ねたモノクロの作品が多いようですね。遭難の森と名づけられた香りで、イメージは迷路の森みたいな感じでしょうか。

カロブツリー(エジプシャンフィグ)、岩塩、アンバーグリス

岩塩アコードの中にはベチバー、アイリスアブソリュート、ミント、ネロリ、ヘディオンがあるようです。香りはトップからパーッと香るのがフィグです。ココナッツの効いたフィグ。フィグリーフではなくて果肉の方の香りです。フィグが弾けるように香った後、付けた場所よりも高い位置でミントを感じました。パッと散るように揮発してしまったのでしょう。岩塩っぽいマリン系の部分やアルデヒドは感じられず、ウッディノートもありません。フィグとアンバーは相性が良いので混在一体となって香っているのだと思いますが、ぺったりと甘いココナッツではなく、EdTらしい軽めなフィグになっていますので使い安い香りですよ。ちょっとフィグが強すぎてLucien Clergue作品のような素肌感のあるものではなく、「フィグ」として感じられてしまうのが残念ですが、フィグとして香れば明るいフィグの香りで良いのではないかと思います。(24/03/2011)


■L'Ombre Fauve (2007年)

アニマルノートのアンバーをテーマとしたタイトルで、2007年の限定品。アンバーグリスではなく、アンバーと動物という意味なのか動物の影という意味なのかがわかりません。

パチョリ、アンバー、ムスク、ウッディ、バニラ

アンバーグリスの香りでもなく、アンバーそのものでもありません。トップにはびっくりするほどシトラスが入っていて、一見フレッシュに感じるほどです。しかし、すぐにシトラスの下にあったアンバーが出てきて甘くしっとりとしたシトラスアンバーになります。ツンと突き出た攻撃的な濃厚さはなく、これもふんわりとした柔らかさをもっています。やはりスパイスが少ないのかなぁ。パチョリが思ったほど出ていないのも柔らかさを感じる要因かもしれません。ミドル以降はしっかりとアンバーを楽しめる香りになっていますよ。基本、使いやすいアンバー香がメインです。(アニマルノートは全くないです)

 

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