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Sampleレヴュー

■Gold (2019年)

引き続きAntoine Lieによる調香で、なんと36%というパルファムです。

 

 

トップ:グリーンマンダリン、ベルガモット、ピンクペッパー、ローズマリー、クローヴ
ミドル:ジャスミン、シスタス、ゼラニウム、シナモン
ベース:スティラックス、ベンゾイン、ミルラ、パチョリ、グリーンバニラ、トンカビーン、カストリウム、ベチバー

高濃度がブームとなって調香の仕方が変わってきた気がします。それは香りに影響しづらい軽い香料をたっぷり使う処方が増えたからです。そうすると高濃度でもEdPのような香りたちになるんですよね。最初から少し希釈されているようなスタイルとなりますから。でも、それは溶剤ではなく飽くまでも香料なのです。そうした処方で作られたこの香りは、シトラスノートが弾けることなくゆっくりと肌を流れていきます。シトラスノートよりも少し先に弾けるのはピンクペッパーで、フローラルノートはジャスミンしかなく、そのジャスミンはゆったりとしたアロマティックなスパイスとゼラニウムに包まれてアクセントとして香ります。全体としてはフローラルでもオリエンタルでもなく、モダンクラシカルなスパイシーアロマティックで、ジャスミンとシナモン、ミルラの効いたハニーオリエンタルとなって肌に残ります。全く流行を意識していない調香が、このブランドらしさを感じさせてくれます。アルコールが少ないと弾けるようなトップノートがなくなり、最初から緩やかに香るパフュームオイルのようなスタートとなるのですが、アッターのようなものよりもずっと香料自体は控えめで、印象としては20%以下に感じられます。高濃度だからリッチでしょう? という流行なわけですが、その濃度にしないと楽しめない、つまりEdP濃度にしたらコロンにしか感じられないような処方というのはどうなのだろう。今までは18%で十分美味しかったカルピスが、36%にしないと美味しくなくなったような様子を思い浮かべてしまいました。確かにリッチなカルピスも商品化されていますが、倍の濃度ではないでしょう。(19/12/2019)


■White (2015年)

BlackがあればWhiteがあるということで、表裏一体の香りを同じくAntoine Lieが手掛けました。ホワイトとゴールドの夢、漂う幸福感とサブタイトルがありますが、彼はBlackと共に1年かけて香りを完成させてそうです。依頼されたのは、厳しい現実から逃避出来るような、使った瞬間から幸福感に包まれる香りだったそう。

 

 

ローズドゥメイ、トンカビーンアブソリュート、アイリスアブソリュート、サンダルウッド、ベルガモット、ムスク、ベチバー、パチョリ

38%というかなりの高濃度で作られた香りで、トップではライチとローズのコンビネーションが可愛らしく香ります。あれ? ライチだと思ったのに洋ナシだった? あれ? バナナっぽい? なんていろいろなフルーツの要素を感じさせるフルーティーさで、少しクリーミーなフルーツがローズの周りを彩っています。時間を経てもなかなかラストノートに辿りつかず、ウッディノートはどこへ? という感じで、クリーミーなフローラルノートが続くのですが、トンカビーンもアイリスもアブソリュート感はなく全てがフローラルノートに溶け込んでいます。ホワイトというテーマ上、様々な香りがバラバラに香っていてはダメでしょうし、ベースノートがグングン出てきたらホワイトではなくなってしまいますよね。ホワイトと言えばジャスミンやガーデニア、チュベローズだろうと思っていたのですが、こちらはローズのみを使ってクリーミーにまとめたフルーティーフローラルムスクと言ったところ。(29/01/2016)


■Black (2013年)

Antoine Lieが手掛けた香りで、調香は明かされていません。全てを明かすことはせず、知られていない未知の美しさという宝物をブラックとして表現したようです。濃度は25%。

 

 

何が使われているのか分からないものを想像しながら紐解いていくのがとても好きなのですが、こちらは一言で言うとアンバーウッディ系のウードです。ペッパーがトップで香り、微かなローズのニュアンスを感じながらウードに包まれて沈んでいくのですが、香りとしてはパチョリがあったり、樹脂系の香りがあったり、少しスモーキーなレザーな部分が感じられたりと合成香料なくしては完成しない、というか合成香料だからこそ作り出せるセクシーなアンバーウッディノートですね。ローズが持続をしないというか、強くは入っていないため、後半はドライにも感じられますが、様々なアンバーウッディノートが幾重にも重なっているような気がします。(29/01/2016)


■Opardu (2012年)

Annie Buzantianによる調香で、昔過ごしたパリの夜のロマンスを思い起こさせる、セクシーでエレガントな香り・・・というのがテーマ。タイトルは造語のようですが、彼はその言葉が常に自分の側にあったからと説明しています。

 

 

チュベローズアブソリュート、ガーデニア、ローズ、ライラック、カーネーション、ジャスミンアブソリュート、ヘリオトロープ、シダーウッド

愛の思い出と真紅に染まるロマンス・・・というサブタイトルのついた香りは32%で、全体としてはクラシカルなフローラルブーケです。チュベローズとジャスミンのアブソリュートということで期待感の高まる香りだったのですが、香り自体はアブソリュートという名の調合香料だったのか、という感じです。アブソリュート感が全くないことで生まれるのが美しい調和です。ワイルドではない美しさ。チュベローズを軸に相性の良いガーデニア、ローズ、ジャスミンを配置し、パウダリーなアクセントで柔らかくまとめた、というもの。濃度が濃度ではありますが、持続はそこまで長くはなく、微かにココナッツの香るフローラルウッディムスクが肌に残ります。持続自体は25%のAntoniaの方がずっと長いので、軽めなフローラルノートを多用しているのではないかと思います。(28/01/2016)


■Puredistance M (2010年)

Roja Doveによる調香で、007のボンドカーをイメージしたものだそう。彼が自身のブランド以外を手掛けたのは初めてなのではないでしょうか。

 

 

ベルガモット、レモン、ローズ、ジャスミン、シナモン、パチョリ、モス、シスタス、ベチバー、バニラ、レザー、ムスク

濃度25%のメンズというのはある意味とても貴重だと思います。精油感の強い、しかもクラシカルなオリエンタルシプレにスパイスを重ねた香りで、シナモンとパチョリにウッディノートとラブダナムが重なるという香りで、あまり個性を主張しない比較的ノーマルというか優等生タイプのメンズ香となっています。ラベンダーがない分フゼアではありませんので、メンズの中でもオリエンタルな重厚感を求める方に良さそうですね。高濃度らしい柔らかな香りが長く持続し、薄いオーラのように香っています。個人的にはとても好きな香りですし、コンセプトである普遍的な良さを感じられるものだと思うのですが、この商品でなくてはならないという押しの一手は弱いかもしれません・・・。(27/01/2016)


■Puredistance I (2007年)

記念すべき最初の香りはFirmenich社のAnnie Buzantianが調香を担当。ラグジュアリーな女性像、グレースケリーのような佇まいを香りで表現したもの。

 

 

タンジェリンブロッサム、カシス、ネロリ、マグノリア、ローズ、ジャスミン、ミモザ、スイートアンバー、ベチバー、ホワイトムスク

32%という高濃度のパフュームオイルがトップからゆっくりと溶けるようにして香ります。でも、このトップは・・・この香りはマリンっぽいオゾンノートです。決してツンと邪魔するというか、フローラルノートを押しのけるほどのパワーはないのですが、なんだかクラシカルなエレガントさだと思っていたら、一気に現代風になってしまい、少し残念な気が・・・。でも香り自体はたっぷりのシトラスノートに包まれたジャスミンムスクがゆっくりと香っており、時間と共にシトラスジャスミンにアンバーが重なった形へと変化していきます。少しオゾンを入れたあっさり目のGuerlainのL'instant de Guerlainといったところでしょうか。ラストノートはL'instant de Guerlainのようなテイストではなくなり、オゾンが残ってCreedにありそうなテイストとなります。基本的には軽やかなホワイトフローラルムスクですから、真っ白なカクテルドレスというイメージには合致していると思います。ちょっとサマードレスな印象ですが。

それにしても、最初の香りのビジュアルが上記のものであることが残念でなりません。もっとラグジュアリーにするべきですよ。(27/01/2016)

 

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