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Sampleレヴュー (Heritage Collection)

オスマントルコの時代からの遺産となる、トルコらしさに焦点を当てた香りたち。(14/09/2022)

 

 

■Hatir (2022年)

トルコと言えば、紅茶(チャイ)も有名ですが、ボトルの底に沈殿するという特徴のあるコーヒーも有名です。展示会ではそのトルココーヒーを飲みながら香りを楽しむというスタイルでした。タイトルは思い出の意味で、トルコでは一緒にコーヒーを飲んだ人との思い出が40年ある(一杯のコーヒーには40年の思い出が宿る)という言葉があるほど、人の記憶に残るものだとされています。

 

 

トップ:トルココーヒー、ガルバナム、ジンジャー
ミドル:アイリス、ベチバー、ホワイトチョコレート
ベース:カラメル、バニラ、トンカビーン

香りはトップにガルバナムを従えているとは思えないほど、ナッツの強いグルマンでスタートです。トルココーヒーに限らず、コーヒーの残り香や味覚にはチョコレートに通じる部分がありますので、ホワイトチョコレートを合わせたのはとても納得の調香で、ナッツの香ばしい香りがスパークした後、香りは少しビターなナッツチョコレートへと変化していきます。それでも残り香はグルマンというよりも少しオイリーなウッディムスクとなりますので、グルマンではないユニークさを楽しめます。アイリスやベチバー、いやもしかしたら何度か試しているとガルバナムが感じられるかもしれないと、探索するように肌に乗せてしまう香り。(26/04/2023)


■Meftun (2021年)

オスマントルコ時代に良く使われたという愛を意味する言葉。オスマントルコの時代の愛の模様と言えば、ハーレムです。宮殿の廊下で声をかけられながら歩くというハーレムの香り。当時のトルコ語でTefarikと呼ばれていたパチョリを使用した香り。

トップ:シナモン、コリアンダー、ラム、コニャック
ミドル:ジンジャー、アルテミジア、レッドベリー、バーチリーフ、アンジェリカシード
ベース:パチョリ、フランキンセンス、アンブレットリド、サンダルウッド

セクシーな香りというのは、多種多様な表現があると思いますが、これはパチョリの入ったリキュールドルチェのような香り。ラム酒入りのケーキのように甘くとろける香りを、スパイスやパチョリが取り囲み、オリエンタルに広がっていくのです。グルマンではなくパチョリの効いたオリエンタル。この香りの中にカカオがあったなら、VC&AのMoonlight PatchouliやSerge LutensのBorneo 1834風になっていたのかもしれませんが、こちらはその部分をスパイスに置き換えたようなニュアンスです。

最初の1本にはNazerを選びましたが、あれ? これも良くない? と気になったのはこの香りでした。他の調香は全て若手のKoray Sevincですが、この香りだけJorge Leeだったんですね。(15/09/2022)


■Sah (2021年)

古代の歴史的な指導者たちやスタンたちが愛した香り、それはウードでした。最も高価な天然香料の1つであるウードの中でもカンボジア産のものを使用し、雨上がりの大地から発せられる香りを組み込み、彼らに相応しい香りとして作られたもの。

トップ:オゾンノート、ミネラルノート
ミドル:トルコローズ、ナツメグ、クローヴ、サフラン、ゼラニウム
ベース:カンボジアンウード、パチョリ、シダーウッド

まさか、ウードのダークなオリエンタルウッディノートにオゾンノートを合わせてくるとは想定外でした。ウードだよね、というとてもわかりやすいアンバーウッディノートと共にオゾンノートが広がるのです。ナチュラルとケミカルが平行線で香るように、なかなか交わりません。オゾンノートやミネラルノートが離れていった頃から少しずつローズが見えるようになるのですが、これはオゾンノートとミネラルノートがなかった方が美しく、雨上がりであればもっとアーシーでカビっぽい香りの方が合っていたのではないかと思います。(15/09/2022)


■Ala (2021年)

オスマントルコでは、書家たちが写本したその墨の中にアンバーやムスクが使われていたため、そうした写本を開くと物語が香りと共に広がるのだそう。

トップ:シナモン、コニャック、アプリコット、コリアンダー、ウイスキー
ミドル:ハニー、ゼラニウム、ローズマリー、トルコローズ
ベース:トンカビーン、バニラ、ベンゾイン、ラブダナム、アンバー、アニマルムスク

アンバーとムスクというよりもシナモンが少し効いたハニーカラメルなグルマン系の香り。とにかく生キャラメルのような美味しいグルマンとなっており、他のパーツが見えないほど。こうしたハニーカラメルなグルマンにウイスキーやコニャックが重なると、ハチミツが天然発酵して出来た古代のハチミツ酒であるミードが思い出されます。これほどの香りが写本から香ったとしたら、それはハッピーエンドなラヴストーリーに違いない。(14/09/2022)


■Turkuaz (2021年)

トルコと言えば、ターコイズブルー。海のように自由を感じさせる香りとしてブルーとグリーンのエッセンスを重ね、宮殿を吹き抜ける夏の海風を表現したもの。

トップ:マリンノート、オゾンノート、アルテミジア、サフラン
ミドル:シーウィード、カシス、トルコローズ
ベース:アンブロキサン、アンバー、オークモス

調香通りに、マリンノートとオゾンノートが海藻のヨウ素っぽい香りと共に広がるのですが、その根幹を支えているのがパワフルなアンバーグリスで、それがトップで爆発するのです。あまりにアンバーグリスが強すぎてクラクラとしてしまうほどの衝撃ですが、時間と共にモスの効いたシーウィードに落ち着きます。でも、この香りはマリンノートがお好きで、海藻の香りがお好きで、且つアンバーグリスがお好きでないと難しいので、その3つの壁をクリアした方でないとフルボトルは難しいでしょう。試す分にはバリエーションの1つとして楽しいのですが、二度目三度目が躊躇われてしまいます。(14/09/2022)

 

 

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