■OEilleres (2017年)

調香はParfum d'EmpireのMarc-Antoine Corticchiato氏で、彼らしいTabac TabouやBel Amiのようなテイストの香りとなりました。展示会の中身は、彼が撮影した31枚の画像なのですが、詳細はこちらをご参照下さい。朽ちていく花と年老いた身体をシンクロさせたのです。そしてその肉体の香りを作ったと。2年かけて作られた香りはアンチフローラルとなりました。フローラルノートを使用せず、カモミールや花粉、ハニーノートなどで花を表現したのです。

ユーカリ、タイム、ラベンダー
ローマンカモミール、エニシダ、ヘイアブソリュート
フランキンセンス、クミン、マッシュルームアコード、ヘリオトロープ、スティラックス
クミン、カストリウム、アニマルムスク

香りは、カモミールとヘイアブソリュートの効いたドライフラワーのようなアロマティックフローラルにクミンが重なり、とても個性的でセクシーに始まります。全体的に精油感が強いのですが、パワフルすぎることなく感じられるのは、とてもバランスが良いからなのでしょう。ユーカリやタイム、ラベンダーは何度か試しているとトップで明るく弾けていたことがわかりましたが、瞬間で消えてカモミールとヘイアブソリュートへと移ろうのです。香りは次第にクミンムスクへと変化していきますが、カストリウムやアニマルムスクはクミンを支える土台でありアクセントであり、全てはクミンが醸し出すセクシーな素肌感を楽しむためのもの。最後は少しハニー調のイモーテル風な香りとなり落ち着くのですが、クセになりそうな個性で、とてもセクシーな香りですよ。全体的なニュアンスとしてはカモミールのドライフラワーからシロップがゆっくりと滴り、労働者のカサカサと乾燥した肌にしみ込んでいく感じです。

50ml、519個の限定品は175ユーロ、特別仕様のレザーボックスは750ユーロで発売となり、完売。通常品は販売されているようですが、残念ながら日本には対応しておらず、ヨーロッパ諸国のみとなっています。(24/05/2019)