*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

La Tsarine / ラ・ツァリーヌ


<香 調> スパイシーフローラルアニマリック
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 50ml
<濃 度> EDP

トップ
ブラックカラント、ハニー、ペティグレン、クラリセージ
ミドル
チュベローズ、ナルシス、ドライフルーツ、クミン、ジャスミンabs、オレンジブロッサムabs
ラスト
ムスク、シベット、パピルス、ガイヤックウッド、シダーウッド、サンダルウッド、カストリウム、オークモス、ファーバルサム



 

ロシア皇后、ロシア女帝という意味のタイトルで、テーマはもちろんエカチェリーナ2世です。ロシアの歴史の中で、女帝と呼ばれるのは彼女ただ一人なのですが、生粋のドイツ人。

 

 

 

18世紀。ピョートル3世に嫁いだ彼女は、もともと玉の輿を狙っていた聡明な策略家で、ピョートル3世が皇帝になった後わずか半年でクーデターを起こし、皇太子妃から女帝の座に就いたのです。フランスのルイ14世、15世はどちらも愛人を囲っていたことで有名ですが、彼女は真逆で愛人たちを直結した部屋に住まわせ、公認の愛人を10名、その他数百とも言われる愛人と夜を供にしていたという逸話から、「玉座の上の娼婦」と呼ばれたほど。そして彼らを家臣(寵臣)としていたのです。これは歴史にも名高いことですし、今でもエルミタージュ美術館などで彼女の様子を垣間見ることが出来ます。

 

 

並外れた政治手腕でロシアを強大な国家へと導いたエカチェリーナ2世は、昼は外交、夜は征服者であったとされるのですが、それほど愛欲に飢えた肉食系キャリア女性。数々の賞賛される政策もありながら、夜の生活の方がクローズアップされがちです。この香りはそんな彼女の二面性を表現したもの。

香りは、とにかく妖艶。クミンの効いたハニーフローラルがトップからトロリとこぼれ出し、フローラルが象徴する女性の肌と、クミンが醸し出す男性の肌が、絡み合いながらアニマリックなベースへと導かれていくのです。ゆっくりと確かめるように香ると、チュベローズが感じられたり、ジャスミンがあったりするのですが、全てがクミン調のアニマルムスクに包まれている感じで、カストリウムやシベットが深みを出しています。特にカストリウムは時間が経つごとに存在感を増し、最後は少し野獣系へと変化します。

彼女はエロティックな家具を収集していたとされ、有名なものがこちらです。

 

 

一番上のイラストの右側に描かれているものは、上記の画像のものですが、都市伝説となっており、実在していたのかどうかはロシア当局によって伏せられています。壁の装飾も、椅子も、女性器な男性器がモチーフとされ、ドアノブまで男性器の形だったのだと伝えられています。ある意味、こうしたタブーとも言えるテーマに取り組んだのは、Etat Libre d'Orange以来なのではないでしょうか。近年のEtat Libre d'Orangeは当初のそうした要素が無くなってきましたから、これこそが自由な発想で楽しませてくれる、ニッチなパフューマリーの真骨頂と言えるでしょう。歴史と共に、書籍と共に想像を膨らませながら楽しめる香りです。

 

 

国力を増大させ、ロシアを動かした手腕と、亡くなった67歳まで溺れた年下男性との愛欲。この両極端なパワーがバランスを取っていたのかもしれません。

*昔はエカテリーナと習いましたが、近年では発音が近いエカチェリーナとすることが多いようですので、エカチェリーナとしました。

(10/06/2019)

 

 

<Senyoko Topへ戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜