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Sampleレヴュー

 




■Truffe Blanche (2017年)

ホワイトトリュフ、それはもう誰が見ても高価な香りのはず…。

メイヤーレモン、ブラッドオレンジ、ベルガモット、ラベンダー、バーチ、スパイス
ホワイトトリュフ、ダマスクローズ、ジャスミン、アイリス
アンバーグリス、サンダルウッド、シベット、ムスク、オポポナックス、ガイヤックウッド、ハニー、パチョリ、ベンゾイン、トンカビーン、タヒチアンバニラ、マダガスカルバニラ

ところが。ホワイトトリュフを期待して香ると、それはそれはオリエンタルな香りで始まります。ほとんどがベースノートなのではないかというほど真っ暗なオリエンタルの中から、ジャスミンが香り始めるのです。かろうじてジャスミンは判別が出来るのですが、それ以外はスモーキーな樹脂系オリエンタルのベースで、他のオリエンタルベースの香りと判別が出来ないほどに通っています。トリュフが感じられない時点でこれは少し残念なのかな。トリュフの香りというよりも、トリュフの生えている森の奥という印象で、くすんだ土っぽい香りが漂っています。(15/10/2019)


■Carnival d'Havana (2015年)

500年続いている、キューバのカーニバルをテーマとした香り。それはもう、ラム酒タバコにオーエキゾチックな花々の饗宴でしょう。

トップ:マンゴー、ラム、フランキンセンス
ミドル:チュベローズ、タバコ、ガイヤックウッド、ガーデニアabs
ベース:サンダルウッド、タバコ、ケード、シダーウッド、カストリウム、ハイラックス、ムスク、スティラックス

花々…特にチュベローズを楽しみにしていたら、全面タバコでした。マンゴーもチュベローズもガーデニアもわかりません。調香に記載するならば、もう少しきちんと香らせて欲しかったですよ。これは、カーニバルではなくタバコ農園の収穫所の香りの印象で、たくさんのタバコの葉が発酵して甘い香りを放っている、その濃厚な香りが充満した室内という印象です。タバコのアブソリュートは吸い殻に水を入れた時のタール香に近いため、リアルな灰皿の匂い過ぎて苦手に感じてしまう方もいるはず。これは、どちらかというとそういったタイプの香りです。やはり喫煙者の方は少なからずこうした匂いが染みついているんだろうなぁ。(10/10/2019)


■Encens Chypre (2014年)

フランキンセンスのシプレと直球なタイトルですが、すでに廃番となったしまっているようです。

トップ:エレミ、ベルガモット、ライム、ピーチ、アルテミジア、サンバックジャスミンabs、クラリセージ
ミドル:スタージャスミンabs、アイリスコンクリート、イランイランabs、ピーチ、カーネーションabs、トンカビーンabs、ダマスクローズabs、ゼラニウム、エレミ
ベース:フランキンセンス、ローズウッド、オークモス、マレーシアンウード、ベンゾイン、シベット、ムスク、アンバーグリス、カストリウム、タバコ、トルーバルサム

フランキンセンスが主体なのだと期待をすると、それ以外が強くて少し残念に感じられるトップで始まります。シプレというよりもトップはオリエンタルで、オリエンタルの中でもタバコの効いた香りで始まります。ミドル以降になって、フランキンセンスが主軸だと主張するようになり、どんどん存在感が増していきます。トップからフランキンセンスを香らすのであればエレミを配置するのが常なのですが、エレミをアロマティックなハーブやフローラルabsが覆ってしまっていたようですね。フランキンセンスのミドルを楽しんでいると、香りは次第に海藻のようなモスが現れます。時間と共にゆっくりとフランキンセンスシプレに変化していく、アニマリックではない、ウードでもないタイトル通りの香り。この香りの場合、オークモスではなく合成香料のヴェラモスの方がエレガントになっていたはずです。(10/10/2019)


■Ocean of Flowers (2014年)

正直なところ、このエリクシールにぴったりな名前を思いつかず、このタイトルとなったという香りは、アンバーグリスをたっぷりと使用したからオーシャンなのだそう。

トップ:ローズオットー、ガーデニアabs、サンバックジャスミン
ミドル:ローズドゥメイ、ジャスミン、チュベローズabs、チュベローズ
ベース:パチョリ、サンダルウッド、アンバーグリス

限定品だったのが惜しまれるほど、とても美しいフローラルアブソリュートが香ります。サンバックジャスミンabsとローズabsが軸で、比重はサンバックの方にあります。それらを支えるベースは強すぎず、美しいフローラルノートを邪魔することなく静かに支えているのですが、このバランスは他になかったほど繊細です。フローラルノートもアブソリュートでありながらとても美しい香り方をしているのですが、サンバックジャスミンabsはジャスミンabsよりも臭みが少なくワイルドさもないので、そこを生かした調香となっています。ウエディングにぴったりな香りなのではないでしょうか。(08/10/2019)


■Nankun Kodo (2015年)

なんと、テーマとなったのは松栄堂の南薫というお香。家でお香を焚くことを家族がいい顔をしないから、好きなのに使えない。だから、これは自分のために作ったパーソナルな香りだそう。出来る限り実物の香りになるよう模倣した香りで、合成ムスクのアンブレットリドを3%使用。だから97%がナチュラルです。

シナモン、クローヴ、サンダルウッド、アンブレットリド、ムスク、フェヌグリーク、スターアニス、ブラッククミン、ヒノキ、ブルーサイプレス、ヘリオトロープ、フランキンセンス、ヴィンテージパチョリ、アンバーグリス、ベンゾイン、ウード

あぁ、これはとても忠実に再現されたのではないかと思うほど、生き生きとしたウッディノートで始まります。スパイスとおがくず香がじつに日本風で、香水というよりもディフューザーで室内に香りを広げたら、温泉旅館にいる雰囲気に感じられるのではないかと思うほど。ヒノキの精油感がありつつ、ボルネオールが強すぎないバランスで、精油の良さを存分に楽しむことが出来ます。ウードやアンバーグリス、ベンゾインなどはあまり感じられませんが、フランキンセンスやヒノキの香り方がとても美しく、ホッとする人も多いのではないでしょうか。(08/10/2019)


■Cafe Ambre Noir (2013年)

コーヒーはこの香りが発売された頃から静かなブームとなりました。アクセントにしたり、メインにしたり、各社がコーヒーの香りを発売した時期だったのです。

トップ:ラム、コーヒー
ミドル:ティーローズabs、ヒヤシンス、カンボジアンウード、スパイス、タバコ、コーヒー
ベース:トンカビーンabs、ホワイトアンバーグリス、ビーワックス、ココア、ヴィンテージパチョリ、ベンガルウード、ムスク、ラブダナム、バニラ、ベンゾイン、スティラックス、カストリウム、ケード、ガイヤックウッド、モルト、コーヒー

コーヒーにもいろいろなタイプがありますが、これはとても香ばしいナッツのようなコーヒーで始まります。ナッツ系コーヒーの香ばしさが一段落すると、香りはオリエンタルなアンバーノートへと変化していくのですが、そうなるとタイトルそのものですよね。ウードやアニマルノートはほとんどわからず、スモーキーノートも鳴りを潜め、コーヒーの残り香に乗って香ばしいアンバーとなって消えていきます。エスプレッソの余韻を楽しむように。(07/10/2019)


■Al Lail (2016年)

アラブの言葉で夜の意味のタイトルは、子どもの頃に母親と手をつないで歩いて帰った家路。突然夜風に乗って香ってきたサンバックジャスミンと月下美人の香りが記憶に刻まれているそう。

トップ:ライム、メイヤーレモン、スイートオレンジ、アブサン、ピーチ、ローズオットー
ミドル:スタージャスミン、ローズabs、オレンジブロッサム、ピーチ、ビーワックス
ベース:ベンゾイン、オポポナックス、サンダルウッド、パチョリ、アニマリス、アンバーグリス、ムスク、シベット、フランキンセンス

グリーンなフローラルアブソリュートを贅沢に使用した香りです。何だか、ヴィンテージのパルファムを香っているような豊かな香りで、往年の香りはこれくらいワイルドで贅沢な香りだったのだろうと想像が広がります。グリーンシプレなベースにフローラルアブソリュートを重ねたような香りで、1つ1つのフローラルノートは明確に香りませんが、ヒヤシンス系のシプレというニュアンスで、さらに1930年代にありそうなヴィンテージ感を湛えているのです。これはEdP濃度のエタノールバージョンで発売したらニッチなフレグランスファンには嬉しい香りなのではないでしょうか。(07/10/2019)


■Ambrecuir (2015年)

アンバーレザーは何をテーマとしたのか。それは大英図書館だそう。父親が連れて行ってくれた大英博物館でミイラを見た後に訪れた図書館では、その本の多さに圧倒されただけでなく、古紙や革のカバーから香る「図書館の香り」に魅了されたのです。

トップ:アンバー、バターCO2、サフラン
ミドル:アイリスコンクリート、ココア、ハニー、スエード、トンカビーン、ジャワベチバー、タバコ
ベース:ベンゾイン、ラブダナム、バニラ、トンカビーン、オポポナックス、フランキンセンス、ビーワックス、アンバーグリス、シベット、ムスク、ハイラックス、サンダルウッド

あぁ、これは他と違う。そう感じたのはアンバーとアイリスが豊かに肩を並べて香りだしたから。バターの豊潤さはないもののオイリーな部分はあり、微かな香ばしいカカオをアクセントにレザーノートの中に溶けていきます。タールの強いレザーではなく、スウェーデラルを使用した合成香料のレザーノート。だから、他の香りよりも洗練されたキレイさが感じられるのです。クラシカルなテイストもあり、フェミニンなクールさもあり、多くのレザーファンを楽しませてくれる香りだと思います。(04/10/2019)


■Dewaniya (2017年)

アラブの家庭では、男性と女性の部屋や入口が分かれていて、特殊な作りになっていますが、その中で男性用のレセプションルームがタイトルとなりました。友人たちが遊びに来たら、そこで楽しい時を過ごすわけです。

トップ:アブサン、タジェット、マリーゴールド、ローズabs、サフラン、フランキンセンス
ミドル:カンボジアンウード、ローズ、タバコ、ハニー、ココア、ジャスミンabs、コーヒーabs、ブラックティーabs、オスマンサスabs
ベース:3種のインディアンウード、ヘイ、トンカビーンabs、シプリオール、サンダルウッド、フランキンセンス、ミルラ、ベンゾイン、ラブダナム、ホワイトアンバーグリス、ムスク、シベット、イモーテル、カストリウム、ハイラックス、シダーウッド、レザー、ケード、アンブロセニド

アンブロセニドは0.01%だそうですが、もともととても希釈して使用するパワフルなアンバーグリスノートです。今までの他の香りと違い、アロマティックなトップで始まるのですが、すぐに似たようなオリエンタルベースへと変化していきます。バランス的にもう少しトップからミドルに比重を置くとアロマティックな部分を楽しめるのですが、駆け足でいなくなってしまうところが少し寂しい。ベースのウードはワイルドでもアニマリックでもなく、フローラルノートがアクセントとなることもなく、全体としてオリエンタル。彼のラインを象徴するような香りなのかもしれません。(04/10/2019)


■Tabac Grande (2016年)

子どもの頃の忘れがたい思い出の1つが、親しい家族の友人が別荘に来てくれた時のこと。その人は大きな馬に乗り、いつもパイプタバコをくわえていたのだそう。その甘いタバコの香りが忘れられない、と。

トップ:ホーソン、サフラン、コニャック、コーヒー、タバコ
ミドル:サフラン、オスマンサス、ダマスクローズ、ヘリオトロープ、トンカビーンabs、タバコ、ハニー、ココア、ジャスミンabs
ベース:タバコ、ヘイ、トンカビーンabs、アンバー、アンバーグリス、ムスク、シベット、イモーテル、カストリウム、ハイラックス、ベンガルウード、バニラ、2種のシダーウッド、ケード

肌に乗せるのが躊躇われる濃厚な色ですが、肌に乗せると薄っすらと消えていきます。でも香りは色同様にとっしりとしており、レーズンのようなドライフルーツが甘く苦くタバコに絡んで始まります。そこからレーズンが抜け、スイートビターなタバコへと変化していくのですが、タバコアブソリュートの香りそのものではなく、とてもまろやかに熟成されたリキュール感があり、予想していたよりもずっとクールな香りです。もっとアニマリックでワイルドな香りを想像していましたから。フローラルアブソリュートとヘイアブソリュートがレーズンっぽいニュアンスを感じさせるのではないかと思うのですが、滑らかなその香りはマルセイのバターサンドを思い起こさせるものでした。(03/10/2019)


■Oud Douce Amere (2018年)

合計4種のナチュラルなウードを使用して作った、スイートビターなウード祭り。

トップ:アブサン、クラリセージ、ヒヤシンス、ローズabs、サフラン、フランキンセンス
ミドル:インディアンウード、ダマスクローズ、ヒヤシンス、タバコ、ハニー、クラリセージ、ジャスミンabs、ブラックティーabs、ヴァイオレットリーフabs、スズラン
ベース:3種のインディアンウード、カンボジアンウード、タバコ、ハニー、トンカビーンabs、ファーバルサムabs、フランキンセンス、ミルラ、シャムベンゾイン、ラブダナム、ホワイトアンバーグリス、ムスク、シベット、イモーテル、カストリウム、ハイラックス、ヴィンテージパチョリ、スズラン、シダーウッド、レザー、ケード、アンバーマックス、アンバーコア

どうしても、天然香料率が高いとフローラルノートが貧弱となり、似たようなベースになってしまいがちなのですが、こちらもウードを使用しながらスモーキーなオリエンタルレザーにアニマルノートを足したベースにウードが重なったという香りとなっています。フローラルノートは1つもわからず、アロマティックな香りもグリーンノートも時折香るヒヤシンス以外わからず、ただただオリエンタルなウッディがどっしりと香るのです。ウードの香りは産地によって本当にバリエーションが豊富なのですが、この中に使われているウードはそれほどアニマリックなタイプではないようです。比較的あっさり目のウードだからこそ、アニマルノートを足して補てんしたのでしょう。ある意味安定感のある系統ですから、お好きな人にはたまらない香りのはず。結構豪華な香料が使われていますので、耳を澄ますようにゆっくりと深呼吸して香りをお楽しみください。(03/10/2019)


■Ame Sombre (2014年)

中東のフレグランスハウスの大ヒット商品で、大好きだったのに廃番になってしまったその香りを惜しんでオマージュとして作ったもの。もちろんコピーではなく彼らしさを加えた香りです。

トップ:ペルシアンローズオットー、フランキンセンス、サフラン
ミドル:アンバー、フランキンセンス、ローズabs、スタージャスミン、ハニー
ベース:ビーワックス、ヴィンテージパチョリ、ベンゾイン、ベチバー、ジュニパー、ハイラックス、ホワイトアンバーグリス、シダーウッド、ブラッククミン、ヒンディウード

あれ? 間違えたかな? と見直してしまったほど、トップからカストリウムのようなアニマリックなレザーが飛び出しました。ローズやジャスミンはまっくたその姿を感じさせず、ただただ、カストリウム調のレザーがワイルドに香り続けます。パチョリは30年ものの深みのあるものを使用しているそうで、ベースはオリエンタルとなっています。オリエンタルなレザーがお好きな方向けの香りで、どちらかというとメンズっぽい力強さを感じますが、ミドル以降に穏やかさが増し、フローラルの欠片が感じられるようになります。(02/10/2019)


■Jardin de Borneo Gardenia (2015年)

子どもの頃に訪れた茶畑のあるボルネオ島の思い出を、貴重なフローラルオイルを用いて表現したもの。これはガーデニアが使われましたが、チュベローズバージョンと、ジンジャーリリーバージョンも作られたのだそう。

トップ:ガーデニア、サンバックジャスミン
ミドル:ラベンダーabs、チュベローズabs、ガーデニアabs、サンダルウッド
ベース:ボルネオウード、カトラファイ、トンカビーンabs、カラムス、ハイチベチバー、ガルバナム、シベット、アンバーグリス

ガーデニアのアンフルラージュを行っている農家があるのは事実ですが、商業ベースになるほど大量生産はなく、こうした小さなところでしか使われていない貴重な香り。それは生花とはやは違った香りになるのですが、これはチュベローズやジャスミンのアブソリュート感が豊かに香る、本物のフローラルです。アブソリュート感たっぷりで、情感豊かに始まった香りは、静かに美しいフローラルへと変化していきます。美しいフローラルの余韻をしっかりと楽しめる調香で、アニマリックな香りよりもウッディノートよりもフローラルが残り、最後はココナッツ系のウッディノートが肌に残ります。1mlで85ポンド、3mlで250ポンドですが、Chanelのガーデニアにチュベローズアブソリュートを足したような豪華さが楽しめますよ。ラストノートは少し違いますけどね。(30/09/2019)


■Cuir de Russie (2018年)

ナチュラルなホワイトアンバーグリスのティンクチャーを大量投入したというルシアンレザー。レザーの香りにロシアと名の付くものが多いのは、20世紀初頭のパリ公演が大ヒットしたロシアのバレエ団が履いていたレザーシューズから。

トップ:メイヤーレモン、ブラッドオレンジ、ベルガモット、ラベンダー、バーチ、クラリセージ、ヴァイオレット
ミドル:ヴァイオレットリーフ、ラベンダーabs、ホワイトトリュフ、ダマスクローズ、ジャスミン、クラリセージ、アイリス、スズラン
ベース:ホワイトアンバーグリス、レザー、ヴェジタルアンバー、サンダルウッド、シベット、ムスク、オポポナックス、シダーウッド、パチョリ、シャムベンゾイン、トンカビーン、ミモザabs、ケード、バーチタール、カストリウム

たくさん入りすぎていて、何が香るのかわからないような調香ですが、これは香ってみればすぐわかります。それはタール系レザー一色だから。アロマティックな香りをアクセントに、薄く薄く伸ばしたタールがレザーノートに重なり、意外にもあっさりとしたレザーとなっています。天然香料率が高めではありますが、スズランやムスクが全体を持ち上げ、キレイなレザーへと変化させているのです。残念ながらアンバーグリスらしさはわからなかったのですが、レザーの隙間に溶け込んでいるのがその部分なのですね、きっと。(30/09/2019)


■Thebes grade 1 (2016年)

古代エジプトの滅びた都テーベがタイトルとなっていますが、もともとは廃番となってしまった、大好きだった香水の模倣だったそう。自分のために作っていたものなんですね。どの世界での真似ることは最大の学びです。

トップ:ベルガモット、スズラン、アルデヒド、ペルシアンローズオットー
ミドル:アイリス、ローズabs、ジャスミンabs、ムスク
ベース:ベチバー、アンバー、アンバーグリス、ムスク、アニマルノート

どんな名香を模倣したのかと思ったら、香りはどの名香をも思い起こさせないパウダリーアニマリックでした。フローラルノートを覆い隠すほどのアイリスバターを使用するとは、ローズオットーを入れるよりも豪華で、たっぷりのムスクがそれらを補佐しています。サンダルウッドを抜いた昔のNuit de Noel風とも言うようなテイストで、アニマルノートやアルデヒドは強すぎず、とてもシックにアクセントを添えています。Thebes grade 2という廉価版もあるのですが、そちらは高価なフローラルノートやアニマルノートを控えたものなのだそう。(27/09/2019)


■Equilibre (2018年)

フランス語でバランスという意味のタイトルです。

トップ:メイヤーレモン、ブラッドオレンジ、ベルガモット、ネロリ、ヴァイオレット
ミドル:ペルシアンローズオットー、オレンジブロッサムabs、ジャスミンabs
ベース:ヒンディーウード、ホワイトアンバーグリス、アンブレット、ミモザabs、ベチバー、マイソールサンダルウッド、シベット、ムスク、オポポナックス、ハニー、シャムベンゾイン、アンバーマックス

香りの詳細な説明がないのですが、バランスを取った香りということですよね。アンバーマックスがわざわざ0.01%と明記されているのが嬉しいところなのですが、それはとてもパワフルな香料だから。そして、近年それを入れすぎた香水が溢れているから。ベースのどっしりとした香りが多い中、これは珍しく感じたほど明るいシトラスで始まります。シトラスがフレッシュというよりもグラスから溢れるようにこぼれ、そこからオレンジブロッサムアブソリュートのワイルドでパワフルなフローラルへとつながっていきます。オリエンタルというほどの樹脂香ではなく、豪華でワイルドにしたシトラスフローラルウッディなのですが、時間と共にアニマルノートが強くなってきますので要注意。ちょっとオフィスでは変な空気感を生み出してしまいそうです・・・。でも、これはひょっとしたらGuerlainのAqua AllegoriaのFlora Neroliaを豪華に豪華にしたバージョンと言えなくもないような気がしてきました。(27/09/2019)


■Al Hareem (2015年)

ハーレムの夜。それは官能に満ちた時間。それを香りにしたらどうなるのか。

トップ:バターアブソリュート、ペルシアンローズオットー、サフラン
ミドル:トルコローズabs、マイソールサンダルウッド
ベース:アッサム、ベンガルウード、ハイラックス、ムスク、アンバーグリス、タバコ

うわぁ、これはアニマリックだ。最初に感じたのはカストリウムだったのですが、それはおそらくウードの中にあるレザーっぽいニュアンスとアニマリックなハイラックスが重なってそう感じさせたのでしょう。ハイラックス強し。ローズアブソリュートもローズオットーも確かに香るのですが、遠くで鳴っている鐘の音のように、聞こえているのですが自分はアニマリックという騒音の中にいる感覚です。使いづらいほどのアニマリックさではないものの、少し悪臭風のものは、どうしてこうも肌に馴染んでしまうのだろうと不思議になります。一週間シャワーをしていない下着の匂いをセクシーと感じる方は是非お試しを。ミドル以降はどことなくチーズっぽい臭気になります。(26/09/2019)


■Aurum D’Angkhor (2014年)

1mlで135ポンド、3mlが399ポンドという価格にに見合った、レアなエッセンスのお祭りのような香り。ジャスミンの中でも珍しいJasminum auriculatum absを使用し、ウードの王、ジャスミンの女王を軸にアンコールのゴールドという王国を作ったのです。

トップ:サフラン、スタージャスミンabs、ペルシアンローズオットー
ミドル:ダマスクローズabs、ハニーabs、オレンジブロッサム、ヘナ、タバコ
ベース:カンボジアンウード、ビーワックス、アンバーグリスティンクチャー、サンダルウッド、パチョリ、ヘナ、ラブダナム、シャムベンゾイン、ムスク

フローラルがしっとりとセクシーに香るのかと思っていたら、タバコやハニーが良く香る、渋めなフロリエンタルで始まりました。ウードはそれほどアニマリックでもレザー調でもなく穏やかでオリエンタルノートを形成しているのですが、香れば香るほどリッチなオリエンタルで、ローズオットーやジャスミンがしっかり存在感を出しているのに部品でしかないという脇役感。液体は肌に乗せるとサフランカラーに染まりますので、衣服に付かないようにお使いの際にはどうぞご留意を。裏地が金糸のジャケットを羽織っているような、あからさまではない豪華さで楽しませてくれます。(26/09/2019)

 

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