杉と言えば花粉しか思い浮かばないほど、害のイメージも強い樹木ですが、様々な形で生活を豊かにしてくれている樹木です。

スギ科もヒノキ科も同じマツ科からの進化と言われ、真っ直ぐ育つことから直(す)木(き)と呼ばれるようになったのだとか。こちらもヒノキやヒバ同様に枝葉から得られる精油と、木材部から得られるものと2種あります。香りもそれぞれ違うのですが、木材分から得られる精油はとても高価で、あまり広く流通していません。葉は粉末にしてインセンスの原料に、木材分は日本酒の香り付けとして大切な樽に利用されているようです。また、ヒノキやヒバの葉は平たいのに致し、スギはトゲトゲしているのが特徴。

枝葉の精油との比較が出来ていないのですが、木材部の精油はとてもユニークな香りです。何よりもトップノートがないのです。ヒノキやヒバは鼻に抜ける爽快な香りがウッディノートをけん引して香るのですが、こちらはとにかくゆっくりじわじわと香りが広がります。香水の中に組み込んだとしてもトップでは全くその存在がわからないでしょう。おが屑っぽい部分がアイリスやレザーに合いそうで、仄かな甘さが上品に香ります。

精油分はあるのに、工業的には精油を採取していなかった樹木です。今では大分で枝葉からの抽出を行っており、一部流通はしているのですが、木材分はなかなかありません。屋久杉や吉野杉の精油があるようですが、やはり樹木の精油にしては高めです。でも、とってもユニークですよ。

(07/08/2015)