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■レユニオン島はブルボン島である。

 

 

火山の周りに平地がある、というつい先日も小さな噴火をしていた活火山の島、レユニオン島。香料を学ぶ者にはブルボン島という方が分かりやすかったりもするフランス領の飛び地。

 

 

観光ではなく「視察」を掲げた我らには、ゆっくりと観光する時間が割り当てられているわけではなく、「良いビーチはどこ?」と聞かれても困るだけだったり。同様に撮影ポイントというのも、そのために止まることなく走るため、どうしても車窓からシャッターチャンスを伺うしかない。

 

 

でも、やっぱりそれだけではナンでしょう・・・ということで、今回は初日の視察後に、観光ポイントを1度だけ訪れることが出来ました。これ以降、ハードなスケジュールに文句は言わないと、サインしたようなもの。でも、絶景でしたよ、火山が作り出した光景は。

 

 

風を遮る樹木もなく、ただ灌木だけが茂る高地までの道が大変で、ヘアピンカーブをいくつも経てたどり着くことに。その道中で酔ってしまう人もいたほど、カーブに揺れて揺られてたどり着いたのでした。そこまでの道のりには、少し季節より早いというジャカランダが満開になっていたり、ミモザやタマリンドがたくさん植わっていました。低地にはサトウキビが。牛の餌にもなるけれど、でも大半は有名なラム酒の原料に。精油だけではなくてラム酒の蒸留所に行きたいと熱望する酒飲みたちが意外と多い。もちろん僕もその1人だけれど!!

 

 

この島のミモザは香りません・・・という説明を受けた後に香ったミモザはきちんとミモザの香りがしていましたよ。今回は、現地ガイドと通訳と2名が付いたのですが、通訳があまり役に立たず、ガイドの英語を聞いていた方が早くて正確という散々な目に合う。結構なブーイングでした、通訳さん。

 

 

知らない国、知らない土地の植物というのは、香りを仕事としている者にとってはとても興味深いもので、高地で咲いていたエニシダの花に思わずうっとり。そして、驚愕です。香ってみて慌てて吉原先生(シニアパフューマー)を呼びました。だって、エニシダとは思えない香りを、強香を放っていたから。それはなんとバターナッツカボチャ!! 嘘みたいなナッツっぽいカボチャの香りが風に漂っていました。

 

 

今回は、ゼラニウムの蒸留をしているLa Petit France という村の施設と、ゼラニウムを含めた多種の蒸留を行っているMaison de Geraniumという施設と、 数種の蒸留を行っているLa CAHEBという施設に伺うことになっていました。まずはMaison de Geraniumから。こちらは様々な種類のゼラニウムを栽培しており、それらの蒸留を行っていました。畑は小さなデモンストレーション用の画像のものだけで、その他は少し離れたところにあるようです。説明用にたくさん細かく植えられていたという感じですね。

 

 

園内にある蒸留器は2つ。そのうちの1つでまさに今、蒸留中でした。

 

 

ゼラニウムという植物自体、シダーウッドの香りのするものだったりミントやパイナップルと多種多様であることは知られていますが、まさか真っ青な精油が取れるとは予想外。これは、シトロネラゼラニウムというタイプで、美しいブルーグリーンでした。香りは少しふくよかで複雑なゼラニウムで、少しフルーティーな雑味がありました。こちらでは、300kgから300ccの精油が得られる・・・って少ないでしょ。もっと技術があればもっと取れるだろうに。サイプレス、ユーカリ、ピンクペッパー、シトロネラ、ローズマリー、スギ、カンファーなどの蒸留も行っているそうです。レユニオンにもスギがあったことにびっくりでしたが、少し日本のものとは樹皮の様子と葉が違うそうです。(でもパッと見ではわからない)

 

 

蒸留の際に出てくる芳香水もとっても良い香りでしたよ。チュニジアでは腹痛時に服用すると教わりましたが、飲みたくなる香りではありません・・・。でも、こんなに綺麗に分留するとわかりやすいですよね。

 

 

その次に訪れたのはLa CAHEBという会社。本当は、ベチバーの蒸留が見られるはずだったのに、何故か当日になって「聞いていない、私は知らない、担当ではない」という海外にありがちな責任なすりつけという事態に。先進国ではあまりないのですが、インドでもチュニジアでも体験済みなこの自体、彼らにとって約束とはいったいなんなんだ。

 

 

多種多様な芳香植物が所せましと植わっていて、植物好きな僕はそれだけでも結構楽しめたのですが、やはり蒸留なしではインパクトにかけるというもの。行ってみれば、植物園で見られるものばかりですからね。

 

 

でも、これが一応ブルボンゼラニウムだよ、ということで。近年ではこの苗を中国が大量に輸入栽培し、ブルボンゼラニウムという名前で精油を流通させているという事実も知ることに。バニラも同様に、ブルボンバニラという名前で中国産が出回っているそう。
「私は悪くはない」というマダムに育てている植物の説明をしてもらい、一同は消化不良のまま次へ。

 

 

まるでターザンのように樹木に上っているのは、Le Jardin des Parfums et des Epicesという施設のパトリックさん。ここが実にもったいなかった。時間切れだったんです。次の予定に間に合わせるべく、随分な駆け足でジャングルの中の植物を説明して回ってもらったのですが、時間に余裕があれば3時間〜5時間ほどかけてゆっくりと解説を聞きたかった。固有種もあり、希少種もあり。ジャングルの中、基本的には放置気味で自然のままのスタイルを保持している施設です。レユニオン島に行く機会があれば、ジャングルスタイルの植物園としておススメです。

 

 

たまたまシーズンだったのはクローヴでした。摘み取る前のつぼみは乾燥したときのままの姿。すでに少しオイゲノールの香りがしていましたよ。もちろん葉っぱもちぎるとオイゲノールの香りが。この他にも各種スパイス、フルーツがあったのですが、こういうスタイルはスリランカのスパイス園と似ています。ここでユニークだったのは、男性陣が皆コーヒーの花の香りを「強香」だと評したのに対し、女性陣は「皆無」と香りを感じていなかったこと。性別によってこんなにくっきり分かれるなんて、びっくりです。年代でもないのですから。

 

 

La CAHEBでベチバーの蒸留を見られず、Le Jardin des Parfums et des Epicesを駆け足で通り過ぎてしまったことに少し不満を感じていた我ら。最終日にRUN'Essenceという施設の見学を取り付けて下さいました。結果としてここが一番。ここでは、セージ、クルクマジンジャー、ラベンダー、ゼラニウム、パチョリ、ベチバー、ユーカリと蒸留を行っているそうですが、季節的にこちらもゼラニウムの蒸留中でした。お聞きしたところでは、ベチバーは精油の粘土も高く、蒸留釜に香りが移ってしまい、蒸留中の香りも邪魔になることから他のものとは行わないそう。別の蒸留所でひっそりと行われるのでしょう。

 

 

驚いたのは、こちらの蒸留所で得られた精油もブルーだったこと。こんな色のゼラニウム、見たことないですよ。でも、これがナチュラルカラーなんです。

 

 

こちらでは、蒸留釜の近くでゼラニウムを栽培していました。一面に広がる広大な・・・というほどではないのですが、案外小さな畑が多いです、どの国も。野菜のように広大な敷地で育てているところは少ないんですよね。フランスのラベンダーくらい? 皆さんそれぞれに所有している土地が散らばっているということなのでしょう。

 

 

また、こちらにはイランイランもありました。隣のマダガスカルで散々楽しんだイランイランですが、花期には少し早い時期だったようで(レユニオン島では春でした)、花はまだ小さく伸び始めた頃。でも、その代わり別のものを見つけられました。

 

 

これ、なんだかわかりますか? イランイランの実なんですよ。こんな形で実るんですね。お聞きしたところ、この実は発芽するのに6ヶ月かかるものの、発芽率は40%くらいだとか。10個植えたら4個は発芽するってことじやないですか。それは楽しみだ。(持ち帰ってきました)
ホテルにもイランイランはありましたし、バニラ農園でも見かけました。山奥にはありませんでしたので、海に近い低地に多くあるのでしょう。暖かいですからね、その方が。

 

 

なかなかうまく撮影するポイントがなかったのですが、レユニオン島とマダガスカル島の違いは文化にあります。フランス文化が入っているとこうまで違うのか、と。

 

 

こちらがマダガスカル。赤土で作ったレンガを使用した家々が印象的です。でも、レユニオンは別荘風の綺麗な家々が。失業者に支払われる手当も本国と同じそうで、14万人(17%)が働いていないという恐ろしい実情に。老後はゆっくり手当で過ごす?

 

 

山側はジャングル。南国らしい風景が続きます。

 

 

でも、基本的には断崖絶壁の島です。切り立った崖に挟まれた谷間をバスが進むわけです。

 

 

バンコクを経ったエールオーストラルはインドのチェンナイに立ち寄り、給油の後にレユニオン島へと向かいましたが、もともとこのレユニオン島はインドからの移民も多くカレーが続きました。インド系、中国系、アフリカ系、フランス系のミックスがクレオール人になっているようです。果たしてどれがクレオール料理だったのか、さっぱりわからないのですが、ランチにいただいたのは、マメ(レンズマメの日とソラマメの日と)のカレーと、魚の煮込みと鶏肉の煮込み。辛味はほとんどなく、別途トマトチリかグリーンチリをトッピングして辛くするという食べ方です。この辺はメキシコっぽいですよね。全体的にはフランス領だけどフランス料理ではなく、雑多な印象でした。美味しいかというともろ手を挙げるほどでもなく、ただただ「普通」。五つ星レストランのディナーでさえ「普通」でした。食はあまり期待しない方がいいでしょう。だってバニラが特産の島なのに、レストランのアイスクリームでさえバニラビーン不使用の安いものが出てきたのですから。せめて、バニラ料理が食べたかった。でも、食の旅ではないので文句は言わない。ワインがあればそれだけでご満悦なのが我ら一行。

 

 

でも、そう言えば1つだけ思い出した。バニラのお酒を飲んでいた。ラム酒にバニラを漬け込んだもので、アルコール度数は50近い。ゼラニウムを漬けたラム酒と共にいただく。

 

 

移動の途中、ぼんやりと空を見ていたら、雲間から光が刺して美しい光景が広がりました。あれ、これ天使の階段って言うんじゃなかったっけ? と言ったら、梯子だとの意見があり、階段だか梯子だか調べながら見つめたりして。(結果、どっちも正解)

 

 

世界各国、どんなところにで見たって、夕陽は必ず美しいというけれど、やはりレユニオン島に沈む夕日も格別でした。

(12/10/2016)

 

 

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