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世界中に氾濫するニセモノ香水〜The Fake Perfumes〜

日本でもオークション等を通じて購入したものが偽者ではないかという噂があったり、ディスカウント製品が偽物なのではないかという噂が根強くありますよね。以前はボトルのコピーにお金をつぎ込むほど儲からないと思われていたのですが、世界的な香水ブームに乗って市場は開花してしまったようです。あんなブランドが、こんなブランドが、偽物だなんて。

まず、日本国内のディスカウント市場の製品について。これはただ単純に元値が安い場合がほとんどですから偽物ではない場合がほとんどです。ただ稀に並行輸入品の中にそういう製品が混じって入ってくることもあるようですよ。それは日本側の平行輸入業者が知らずに輸入してしまっているのだと思います。(偽物を販売しようとして輸入したわけではなく、知識がないというだけ)業者をも騙すのが近年のクオリティだと考えてください。

そして、次は海外の様子です。これはもう氾濫です。昨年の秋にイタリアのアッシジ(トスカーナ地方)で摘発された業者のニュースなのですが、159種60万本の偽造香水が押収されて話題となりました。60万本ですよ、60万本!!Dolce & Gabbana、Dior、Versace、Krizia、Fendi、Chanel、Calvin Klein等に加わってなんとSanta Maris Novellaも発見されたようなのです。上の画像だと資生堂のフェミニテドボワとかゴルチェのボトルも見られますよね。おぉ、怖い!!Santa Maris Novellaの製品はボトルのラベルがリニューアルされたのをご存知の方も多いと思いますが、僕があのタイプを見かけたのは年明けくらいからなのです。摘発されたのがトスカーナの業者だったこと、フィレンツェのお土産品としてSanta Maris Novellaの製品が大人気であることから目をつけられたのではないかと思います。そこでラベルを変更して偽造し辛くしたのではないでしょうか。(一時的なものでしかないのかもしれませんが・・・)ここで摘発された業者はマフィアがらみで、マネーロンダリング(資金洗浄)に使用されていたのではないか、とイタリアで説明を受けました。(右のようにバザーとかでよく売られているのは、以前からあるなんちゃって香水のようにクオリティの低いものです)

イタリアでのニュースは下記をご参照下さい。イタリア語なのですが・・・。
http://www.bastia.it/News/news_item.asp?NewsID=9540
http://file.bastia.it/giornali/La%20voce%20nuova/bastia-221207.pdf
http://www.uibm.gov.it/public/falso_spa.pdf
http://news.excite.it/cronaca/385788

こういう話は何もイタリアに限ったことではありません。皆さん、見たことがないから信じないんですよね。ここでいくつか画像を入れて紹介しましょう。

と、その前に思い出してください。2000年頃のことですが、日本でAYPから「Angel Heart」が発売された当時のことを覚えてらっしゃる方も多いと思います。発売当初、Escadaのトロピカルパンチが大ヒットしてまして、そのコピー商品とも言われるそっくりな香りの商品を日本の業者(AYP)が作って販売したところ、代替品を求める中高生に大ヒットしました。ところが、あっという間に同じタイトルの似たような製品が市場に溢れたのです。並行輸入で入ってきたその製品は、製造会社名が違うだけではなく香りも違っていて、ボトルが同じなだけにどれがどの香りなのだかわからなくなって騒ぎとなりました。何故、あのような商品が大量に出回ったのか。(後日、AYPはAngel Heartの商品名を登録して香水としては使えなくしたようです。)あれこそが偽造なのです。


突っ込みどころ満載で
3ヶ所の間違い探しのようです(笑)

1枚目はJLoGlowなのですが、これは明らかにパッケージからして「変」ですよね。「グロウが好きならこの製品も好きだと思うワ」だなんてバカにしてますが、安くて似た香りなら手を出してしまう人もいるでしょう。2枚目は15thって、bethがないし、Gardenって!!・・・と、これも笑ってしまうパターンです。が、3枚目はわかりますか?Lacosteの製品はあまり日本でヒットしていないので僕も皆さんも分かり辛いと思いますが、海外ではかなり氾濫しているようなのです。正規品はボトルにブランドロゴが入っているのだとか。こんな変わったキャップのものが偽造されることに驚きですが、近年の市場はこんなものでは終わりません。4枚目は日本でもヒットしたVera Wangです。こんなボトルも「Lovely Princess」だなんてタイトルで出てしまっています。正規品はLovelyの位置にVera Wangと書かれていますし、Princessの書体も違います。でもこれがLovely Princessというタイトルの新作だと言われたら僕も信じてしまうと思います。(その場では正規品と比較をしないから)でも、僕が1番驚いたのはティエリーミュグレーのエイリアンなのです。

画像の1番右だけが本物で、ポスターの画像です。エイリアンのような凝った形で特別仕様のボトルがこんなにいつも簡単に偽造されてしまうのならどんなボトルも平気でしょう。特に右のポスターのものは昨年の秋に発売された新作ですよ。これがたった5ドルで発売されてしまっています・・・。ボトルのカラーが違うことや、パッケージの違い、中央に入れられたタイトルの違いは業者の逃げ道工作です。(言い逃れ用に)色を変えるのも、タイトルを変えるのも彼らには自由自在なわけですから、わざと少し変えているだけで、実は本物そっくりなものも作れる技術を持っていることが明らかです。(ガラス工場が横流ししているとは思えない)イタリアではこういうことが氾濫しているために空のパッケージや中身のない製品は輸出出来ない仕組みになっています。(かつて空ボトルを輸入して中身を詰め替えてイタリア産蜂蜜として発売しようとした日本の業者がいたそうです)

ではこちらはいかがでしょうか。DiorのMiss Dior Cherieです。右側が正規品で、左が偽造品なのですが、液体の色もかなり濃くて違いが歴然にも思えます。でも正規品のパッケージにはボトルが描かれていないのです。僕だったら

こんな限定パッケージもあったのか

と、見過ごしてしまうでしょう。これは悪質ですよ。笑って済まされません。香りもかなり薄いようで1時間も持たないもののようです。

これは香ってみないとわからないですよ。ましてや、フルボトルを持っていない人やそもそもの香りを知らない人は全く判断できないじゃないですか。偽造品というのは質が悪いことが1番問題で、皮膚炎症を起こしてしまうことが少なくないそうです。違法業者は販売以降関知せずですから気にせずにナンでも入れてしまうでしょう。さらに例を挙げると、ジューシークチュールなんかも偽造品があるそうです。画像の右のものが正規品で、左が偽造品。正規品には実際に使えるネックレスが付いているのだとか。パッと見絶対わかりませんよ。これしかなかったら信じてしまうかも。

さらにさらにChanelCoco Mademoiselleの偽造香水との比較なんかもあります。(リンク先にて)僕はあまりChanelに詳しくないのですが、これは一見してわからないくらいの違いですよね。愛用者しかわからないかも。イギリスでのニュースはこちらイギリスの記事では、36歳の男性が偽造香水で摘発された記事なのですが、押収された製品は25,000本でブランドのラベルが122,000枚あったそうです。ChanelHugo Bossなんかがあったようなのですが、ボトルとしてはIssey MiyakeD&Gとかも映っています。こちらはなんとオーストラリアでのニュースです。オーストラリアでも30,000本が見つかったそうです。現代の印刷技術だとほぼ市場にあるどんなブランドのどんな製品でもコピーすることが可能なのだと記載が。最初はeBayPaypalを通じて販売されて、それから市場に流れていくということですからやはり1番怖いのは香水に詳しくない人が買ってきた「海外土産」と「オークション」なのです。

世界的に偽造が蔓延っている現代です。オークションにはくれぐれも気をつけましょうね。僕が時々耳にするブランドは上記に記載されているものの他にもクリードがあります。DiorとかChanelは特に多いのかも。ニッキアフレグランスは流通を制限しててることもあって偽造されるターゲットにはなりづらいのですが、クリードの偽造があるならばBond No9辺り怪しいですし、ラルチザンやアニックあたりも大企業(傘下)の製品なのでそのうち出回ってきてもおかしくないのかもしれません。やはり正規代理店や代理店と直接取引しているサイト、百貨店等から購入するのことが1番安心なようです。

■追記
2010年5月、国内でもニュースがありました。

「偽シャネルの香水を販売目的で所持 富士署など容疑の女を逮捕」

偽のシャネルの香水を販売する目的で所持していたとして、静岡県警生活環境課と富士署は26日、商標法違反の疑いで金沢市若草町、雑貨販売業西ひろみ容疑者(61)を逮捕し、自宅から香水約30本を押収した。偽のシャネルの香水を同法で摘発するのは県内初。逮捕容疑は同日午前9時45分ごろ、自宅でシャネルに似た商標が付いた香水5本を所持していたとされる。捜査関係者によると、西容疑者は「香水を売って生計を立てていた」と容疑を認めている。同署によると、西容疑者は昨年8月ごろから、シャネルなどのブランド品の香水をインターネットのオークションで約500本を販売してきたといい、この中にも偽物が含まれているとみて調べる。同署は昨年8月に、西容疑者からネットオークションで香水を購入した富士市内の男性(38)から「箱や香りがおかしい」と相談を受け、捜査していた。 (27/05/2010---中日新聞より)

5月26日、香水の偽ブランド品を所持していたとして女が逮捕された事件で、31日、共犯の男が逮捕された。逮捕されたのは石川県金沢市の雑貨輸入業、中村明弘容疑者(54)。警察によると中村容疑者は5月26日に逮捕された女と共謀し、香水の偽ブランド品5本を他人に譲り渡す目的で所持していた商標法違反の疑い。警察では中村容疑者が外国へ行って偽ブランド品を仕入れ、女がインターネットを使って売りさばいていたとみて裏付けを進めている。(31/05/2010---静岡第一テレビより)


■追記

今後のニセモノ市場についての海外ブログからのまとめです。
海外では現在、市場に発売される前の香りがすでにニセモノとして発売されているそうです。メンズしか発売していないはずのあの香水のレディース版が発売されている、とか、色違いバージョンが出ているとかそういう類なのですが、これまた巧妙な手口ですよね。本家よりも先にシリーズ化というか「限定品風」を装うニセモノたちなのです。まだインドや中国は良い調香師がいないため、クオリティ自体は低いのですが、高品質になる日も近いでしょう。

こういうフェイクを氾濫させる背景にはブランド側の抱えている問題もあります。イッセイミヤケやゴルチェを製造している資生堂もそうだし、KenzoやGivenchyを手がけているLVMHだってそうです。新作や限定品を発売しすぎなのです。どれがオーソドックスなのかわからない、というブランドらしさとかオリジナリティのなさも問題だと思いますが、フェイクが発売されても「新しい限定品でしょ?」と思われてしまうわけですよ。しかも、ニセモノなんだか確かめようにもどれと比較したら良いのかわからない・・・というのがこういうファッションブランドの現状です。調香師は新作を生み出す時間も短縮され、香料も似たようなものばかりを使いまわし、結果として模倣し安い簡単な香りに落ち着いてしまっているのもまた問題なんでしょうね。

逆にニッキアフレグランスだと、販路が狭いために本物を手にすることが難しくて判断し辛いのが盲点です。海外ではIFRAの規制を振り切って、往年の古き良き香りたちをコピーしたという現行品よりもクオリティの高いコピーが流通しているなんて話もあります。この先10年は、ニッキアフレグランスもどんどんニセモノが出回るでしょうし、80年代、90年代に流行して廃番となってしまった香りたちも高品質にコピーされたニセモノたちが市場に流れてくる可能性があるそうです。

どうぞ、皆さまオークションや激安店にはくれぐれもご注意を。出品者も販売店も本物だと思って売っているのが怖いのです。(30/12/2010)


<ニュース記事より転記>
偽物・海賊版、85%が中国発=昨年の水際摘発 - EU
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は7/14、EU各国が水際の取り締まりで2010年に摘発した偽ブランド品や海賊版DVDなど、知的財産権を侵害する疑いのある物品の85%は中国から発送されたものだったと発表した。欧州委は「中国の割合は09年の64%から一段と増加した」と警戒を強めている。欧州委は摘発品を腕時計やバッグ、香水、たばこ、携帯電話、CD、文具など36項目に分類。このうち中国は32項目でワースト1位の発送地となった。

・・・とあります。中国だけがコピー香水を製造しているわけではなく、貧困に苦しむ東ヨーロッパ諸国も製造しているようです。現実としてこういったニュースが日々取り上げられている点をご注意下さい。(15/07/2011)

<ニュース記事より転記>
インドのニュースです。ニューデリーで摘発された業者から押収したのはなんと118,000個もの香水とデオドラントスプレーだそうです。その他にも59,424個ものボディスプレーと香水が見つかったとのこと。それらはEU諸国品と偽るため、Made in U.K.と中国で印刷されたそうです。 (09/08/2011)

<ニュース記事より転記>
タイはバンコクからのニュースです。

- 化粧品、香水など3万点 バンコク郊外で偽ブランド品摘発 -
【タイ】タイ法務省特捜局(DSI)は17日、バンコク北郊パトゥムタニ県の民家と店舗で、香水、革製品、韓国の化粧品などの偽ブランド品約3万点を押収し、タイ人男を逮捕したと発表した。男はインターネットを通じ、偽ブランド品を販売していたとみられている。(19/12/2012)

<追記>
海外サイトのこちらでも話題となっています。Yahooオークションでもそうですが、最近はTom Fordのフェイクが増えているのが目につきます。海外でも同様に。

<追記>
Jo MaloneのFakeについてこちらのサイトにまとめられています。Jo Maloneもオークションや正規店以外はちょっと危険ということですね。Tom Fordも同様です。というか、Tom Fordは酷いくらい出回っていますのでご注意を。(21/04/2017)

 

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