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Sampleレヴュー

■Danse Lascive (2019/2023年)

もともと2019年に発売されていた香りのアップグレード版。それは、フォーミュラが変わったわけではなく、使用している香料がアップグレードされたというもの。90年代半ばから後半の営業が終わった後のクラブやパーティーというのがモチーフで、タバコやレザー、いちゃつくカップルたちの香水。そうしたものを表現した香り。18%のEdPで195ユーロです。

トップ:ローズオットー、ダークローズアコード、ゼラニウム、グリークサフラン、バーチ
ミドル:ブラックレザージャケット、トルコローズabs、アニマルノート、スエード、タバコabs
ベース:フランキンセンス、シダーウッド、ハイラックス、シベット、ベチバー、オークモスabs、ラブダナムabs

アニマリックなレザーにリッチなローズを散りばめた、テーマとなったイメージにとても使い香り。ローズがきちんと感じられるバランスの中で、ワイルドでアニマリックなレザーが存在感を感じさせるのです。男性的なアニマリックレザーとフェミニンなローズ。でも、ローズはとてもワイルドなため、全体的にとてもやんちゃなカップルをイメージさせるのです。逆にローズがワイルドなため、男性でも違和感なく使えてクールな香りで、アニマリックなトーンは感じられるものの危険なほどの強さではありません。使いすぎないところも彼の調香の良さですね。(09/08/2024)


■Irida Extrait (2023年) *限定

2024年のThe Art + Olfaction Awardsでファイナリストに選ばれた香り。Iridaを33%にしたパルファムバージョンで、275ユーロです。

トップ:チュニジアンネロリ、ヴァイオレットリーフabs
ミドル:アイリスバター(イロン15%)、アイリスabs(イロン68%)、アイリスabs(イロン80%)、キャロットシード、ヴァイオレット、ジャスミン、クローヴ、シナモン
ベース:サンダルウッド、アミリスウッド、ハイチベチバー、ガイヤックウッド、アンブレットシード、シスタスabs、ラブダナム

これは当然リッチだよね、という香料が贅沢過ぎてクラクラする香り。アイリスはもちろんのこと、ヴァイオレットリーフabsの強いクセが天然香料のパワーで押さえつけられ、土っぽいキャロットシードに重なって広がります。スパイスもウッディノートもアイリスを盛り立てて広がり、アイリスらしいパウダリーウッディを存分に楽しめます。薄れていく様子もアイリスがメインのままで、邪魔な香りもなく、何よりも近年の強すぎるアンバーグリスやアンバーウッディノートがないのが心地良く、最終的にはラブダナムなどのアンバーノートが香るようになり、オリエンタルとなって終わります。(09/08/2024)


■Karikia (2023年)

カリキアとはタバコを栽培していた土地のことのようで、昔はギリシア北部ではタバコの栽培がとても盛んだったのだそう。彼の住むThessalonikiの近くにあるKateriniという町では今でもタバコ栽培が盛んです。

トップ:アルデヒド、ブラッドオレンジ、アカシア、オークウッド、サフラン
ミドル:タバコ、ブルータンジー、ボロニアabs、フランキンセンス、ブラックペッパー、ナツメグ、ヒノキ、ホワイトサイプレス、シャムウッド、マホガニー、シダーウッド
ベース:タバコabs、ヘーゼルナッツシロップパンケーキ、バニラabs、トンカビーンabs、ヘイabs、ビーワックスabs、カストリウム、オーストラリアンサンダルウッド、アンバーグリス

タールが強いタバコの香りにフルーツとバニラのグルマン系が重なる香り。それもナッツ系のグルマンで、好きな方にはたまらない香りだけど、好みは分かれそうです。グルマンノートがアメリカのヤンキーキャンドルや合成のフレグランスオイル、キャンドルを思わせるため、ひょっとしたら水タバコのフレーバーをイメージしているのかもしれません。ミドルノート以降は混沌とした香りが落ち着きますので、そこからは渋めなグルマンとして楽しめます。(08/08/2024)


■Krinos (2023年)

スズランの勉強のために作られた香り。でも、シングルフローラルではなく複雑化していて、Krinosとはギリシア語でホワイトリリーのことで、アメリカのLucky Scentの限定品。

トップ:ルバーブ、ラズベリー、ティムールペッパー
ミドル:リリー、スズラン、オレンジブロッサム、サンバックジャスミン、カシス
ベース:ホワイトムスク、アンバー、サンダルウッド、マリンノート

スズランのシングルノートかというと確かにそうではなくて、スズランをベースにして作った少しアロマティックな温かみのあるフローラルムスクです。トップにはラズベリーとクセのあるルバーブがアクセントとして配され、フローラルノートにはオレンジブロッサムが感じられるのですが、ルバーブはいらなかったかな。スズランにはグリーンノートも必要なのですが、どうせならばスッキリとしたグリーンフローラルにした方がアメリカには受け入れられやすそう。マリンノートは強くないのですが、このラインの中では合成香料が際立ち、そうなると数あるスズラン系は比較されてしまうのです。スズランではなくもっとリリーっぽくした方が良かったのかもしれません。(08/08/2024)


■Figue De Vertu (2022年)

Yloud-Yloudと共にオフィシャルサイトの立ち上げを祝って作られたノベルティのうちの1つ。ギリシアの夏と言えばフィグ。Eau De Vertuにフィグを足した夏の香り。12%のEdTで115ユーロです。

トップ:ベルガモット、ライム、ザボン、クラリセージ、ジンジャー
ミドル:フィグ、ココナッツ、チャンパカフラワー、ミモザabs、チュベローズabs、スズラン、ヘリオトロープ、ジャスミン
ベース:オークモスabs、ミネラルアコード、アンバーグリスアコード、ソルティキャラメル、ヒノキ、ムスク、サンダルウッド、パチョリ

ラインの中では一番合成香料の多い香り。だから、天然香料ばかりの重さはなく、フィグがフローラルノートによって軽やかとなり、チャンパカフラワーの酸味を伴いながら広がっていきます。イメージとしては夏のビーチ、リゾートアイランド風ですが、おそらくギリシアの島々も夏はフィグがたくさん実っていることでしょう。フィグが抜けた後は、ココナッツの利いたラクトニックなフローラルウッディが残りますが、フローラルabs感は強くはなく、グルマンになることもなく消えていきます。EdTですから、さっぱりと使って欲しいサマーフレグランスです。ただやはりどうしても天然香料に頼ると似てしまう点があり、Fougeristeとラストノートはとても似ています。(07/08/2024)


■Fougeriste (2022年)

典型的なフゼアを軸に、彼なりの解釈を入れた彼にとってのフゼア。ゼラニウム不使用です。25%のパルファムが175ユーロです。

トップ:レモン、ベルガモット、チュニジアンネロリ、デューベリー
ミドル:ラベンダー、ヴァイオレットリーフ、バジル、オレンジブロッサム、シーフェンネル、ローズウッド、ジャスミンabs
ベース:アトラスシダーウッド、ヴァージニアンシダーウッド、オーストラリアンサンダルウッド、モスアコード、トンカビーンabs、インドニックアコード、パチョリ、ムスク

フローラルabsを多用する彼の調香の中では、それらをあまりメインにしていないアロマティックウッディ。ラベンダーが強いとゼラニウムのないフゼアだね、という感想になってしまうところですが、意外にもバジルが強く感じられるのです。だから、アニス調のアロマティックノートが夏っぽい爽やかさを以て広がり、男性的なフゼアをユニセックスに傾けています。25%にしていますので、後半はフゼアから離れ、ウッディノートとabsの残り香が重なった香りが持続します。(07/08/2024)


■Vetiveria Animalis (2022年)

ヴィンテージが好きな彼は、ベチバーを軸にヴィンテージ感を出した香りにまとめたそう。25%のパルファムが205ユーロです。

トップ:ベルガモット、ゼラニウム、ベチベリルアセテート、プラム、シナモン、アルデヒド
ミドル:ハイチベチバー、ナルシス、カーネーション、ローズabs、アイリスバター、スズラン、ジャスミンabs、アンブレットシード、シベット
ベース:ジャワベチバー、タイウード、オークモスabs、アンブラローム、ホワイトアンバーグリス、パチョリ、カストリウム、ハイラックスabs、インディアンサンダルウッド、トルーバルサム、ベンゾイン、バニラabs

ハイチ産のベチバーはジャワに比べてベチベリルアセテートの含有量が多く感じられますが、これはそこを強化した上でフローラルabsでリッチ感を増し、ベチバーだけどベチバーだけではないフロリエンタルとしています。シナモンやアルデヒドは強くはないけれどクラシックなトーンを感じさせるアクセントとなっていて、ウードやアニマルノートもそれと感じられるほど強くはありませんので、アニマルノートを使いたがるインディパフューマーたちとは違い、優し気な調香が性格を表しているように思われます。ベチバーをテーマとした香水は多い中で、少し毛色の違うベチバーオリエンタルとなっています。(06/08/2024)


■Yloud-Yloud (2022年) *限定

オフィシャルサイトの開設を祝って作られた2つ目のノベルティだった香り。25%のパルファムが295ユーロです。

スズランアコード、イランイランabs、トルコローズabs、エジプシャンジャスミンabs、アイリスバター、クローヴ、ベンゾイン、バニラabs、オスマンサスabs、パチョリabs、ムスク、ナガルモタ、オーストラリアンサンダルウッド、イーストインディアンサンダルウッド、ブッダウッド、ガジュンバルサム、トンカビーン、シベット、マレーシアンウード、カンボジアンウード

フローラルアブソリュートがとてもリッチに広がるフローラルウッディです。シトラスがないため、ロースタートですが、パルファム濃度のためトップのフレッシュさがなくてもあまり違和感がありません。ただ、シトラスはあった方が全体がリフトアップして広がりが立体的になっていたことと思います。シベットやウードは感度られるほど強くはなく、ジャスミンとイランイランにローズを隠し、穏やかなウッディノートで支えたというもの。天然香料のみではありませんが、ワイルドさは軽減されており、グイグイと迫りくるパワーはありません。Jean PatouのJoy(のベース)を更にリッチにしたバージョンのような、心がリッチになるパルファムです。(06/08/2024)


■Angeliki (2021年) *限定

最愛の祖母へのオマージュ。彼女が愛したのはヴィンテージなスイートシプレだったそうで、その香りを記憶をもとにアレンジ。なんと104歳という大往生だったそうで、毎年命日(5/21)に104本がリリースされるという限定品。25%のパルファムが250ユーロです。

トップ:アプリコット、ポメロ、ベルガモット、ブラックペッパー、アルデヒド
ミドル:ウィステリア、フリージア、ライラック、ジャスミンabs、トルコローズabs、スズラン、ローズウッド、オークウッド、カーネーション
ベース:オークモスabs、ムスク、カストリウム、シベット、オーストラリアンブッダウッド、ブラックフランキンセンス、マレーシアンウード、ビーワックスabs、アンブレットシード、トンカビーン、ベンゾイン、トルーバルサム、オポポナックス、パチョリ、パチョリabs、ラブダナムabs、インディアンサンダルウッド、オーストラリアンサンダルウッド

これはまたとてもリッチな往年のシプレです。たくさん使われていますが、全体のトーンはオリエンタルなウッディシプレで、アクセントとしてフローラルノートが重なっています。この香りがフローラルシプレに感じられないのは、フローラルノートの多くが天然香料だからだと思いますが、どっしりとしたウッディシプレなベースにはアブソリュートのワイルドなトーンがとてもマッチしており、ヴィンテージ感を高めています。クローヴではなくカーネーションにしてオイゲノールが使われていますが、その分ダイレクトなクローヴではなく、柔らかく香っています。何系なのか・・・と考えると、資生堂の錦をシプレにしたような感じでしょうか。(05/08/2024)


■Salon dt (2021年)

タイトルはSalon de Theのこと。お茶やハーブティーをミックスした香りに。15%のEdPが150ユーロです。

トップ:ベルガモット、レモングラス、ピンクグレープフルーツ、ブラックカラント、ラズベリー、ヴァイオレットリーフabs
ミドル:ラズベリーリーフabs、ホーウッド、ブルーカモミール、ミモザabs、ジャスミンabs、ブラックティーabs、グリーンティー、マテabs、オスマンサスabs、アイリスバター、クラリセージ、ナツメグ
ベース:ムスク、オレンジブロッサムabs、スズラン、ビーワックスabs、サンダルウッド、ブロンドタバコアコード

日本人のイメージするお茶ではなく、ハーブティーの粉末にマテ茶とフルーツを入れたような、お茶というより煮汁系の香り。香料の中ではジャスミンabsが
強く香り、ヴァイオレットリーフabsのワイルドなトーン、カモミールなどが苦味の強い薬のように香ります。天然香料率がかなり高いため、とてもリッチなエッセンスで構成されていて、ミドル以降はオスマンサスabsも感じ取ることが出来ます。中国茶にはオスマンサスティーがありますからね。昔々のハーブ類を用いた手当て薬の軟膏はこうした香りだったのではないかと思えた香り。(02/08/2024)


■Tabac Libre (2020年)

タバコのあらゆる側面を香りにしたもの。オリジナルとしては5つ目の香りだったそうで、最初は友人のために作ったもの。15%のEdPが130ユーロです。

トップ:ラム、コーヒー、カルダモン、ホワイトコニャック、タバコリーフ、グリークサフラン
ミドル:ラズベリー、プラム、ヘイabs、オスマンサスabs、アイリスバター、タバコabs、イモーテル、ヴァイオレット、カーネーション、ヘリオトロープ、キャロットシード
ベース:パチョリ、オークモスabs、トンカビーン、ナガルモタ、カストリウム、デッドウッド、シダーウッド、オポポナックス、マッシュルームabs、サンダルウッド

トップからして紛れもなくタバコ。タバコアブソリュートの甘く苦いタールの部分にリキュール類が微かに加わり、その部分を押し広げているよう。微かな微かなオスマンサスや、レーズンのようなヘイabsの香りはタバコのabsと相性が良く、良いアクセントとなって広がります。タバコの香りがお好きな方であれば、間違いなく好きなタイプの香りですが、どちらかというとやはり男性的で、力強いタイプです。だから15%に留めたのでしょう。パルファムだと10時間ほど渋く香りそうです。(02/08/2024)


■Yassemi (2020年)

ギリシア語でジャスミンはΓιασεµι。それを英語表記するとYassemiとなります。ギリシアでは初夏に至る所で香るそうで、自分のシグネイチャーの香りとして作ったら、案外使いたいという人が多かったことから商品化したのだそう。25%のパルファムが140ユーロです。

トップ:ラム、ガルバナム、ブラックカラント、ブラッドオレンジ、スイートオレンジ、アルデヒド
ミドル:トベラ、ジャスミンabs、イランイラン、ゼラニウム、ヘリオトロープ、スズラン、マンゴーリーフabs、ピンクペッパー、アンジェリカルート、ブルーカモミール、ローズウッド
ベース:サンダルウッド、ガジュンバルサム、パチョリ、カシュメラン、ムスク、アンブレットシード、アンバーグリスアコード、ラブダナム

トベラの香料は近年少し得られて流通するようになりましたが、花ではなく葉と実から得られており、薬効を期待した使用が多いようです。花はジャスミンやネロリを思わせる香りですが、良い芳香というほどではなく嫌悪される部分もあるのですが、もともと日本では厄除けとして玄関に飾るもの。それをジャスミンと重ねているのです。グリーンアロマティックな香りがジャスミンに重なり、これはジャスミンなのか? と思うようなスタートでしたが、時間と共にしっかりとジャスミンabsの香りに切り替わりました。ジャスミン以外はウッディオリエンタルなベースというくらいで、特徴のある香りがないのですが、それだけ軸が明確でバランスが良いということですよね。ジャスミンabsがリッチに香るパルファムと言えばJean PatouのJoyがありますが、もっとワイルドでアロマティックで、こちらの方が男性的なジャスミンです。(01/08/2024)


■Grace D'Orient (2019年)

往年のヴィンテージの香りから学んだ、いわばオマージュとして作られた香り。25%のパルファムが160ユーロです。

ベルガモット、イランイラン、スズラン、ヴァイオレット、トルコローズabs、ジャスミンab、アイリスバター、クローヴ、ベンゾイン、バニラabs、パチョリ、ラブダナムabs、ムスク

そうだよね、往年のパルファムってクローヴが強め。この香りもクローヴが強めにトップで弾け、そこから微かにジャスミンやローズのアブソリュート感を感じるフロリエンタルへと転じていきます。それらが柔らかく感じられるのはアイリスやヴァイオレットがあるからですが、ヴィンテージに多いアブソリュートのワイルド感は少なく、ヴィンテージと言っても60、70年代風といったところ。とても落ち着いたクローヴ調でベンゾインの利いたオリエンタルとなって終わります。ヴィンテージの中でも強いて挙げるならばCotyのL'Origanあたりでしょうか。(31/07/2024)


■Apres Cologne (2019年)

彼にとってコロンは父や祖父の思いだす、地中海の香りだそう。彼はギリシア人なので、往年のコロン(7種のシトラスを使用)にシーフェンネルを足してオリジナルとしました。25%のパルファムが140ユーロです。

トップ:レモン、ベルガモット、ブラッドオレンジ、ピンクグレープフルーツ、ライム、スイートオレンジ、レッドマンダリン
ミドル:モロッカンネロリ、アイリスバター、ペティグレン、シーフェンネル
ベース:ムスク、ティーツリー、ベチバー、サンダルウッド、シスタスabs、ホワイトアンバーティンクチャー

精油感たっぷりのリッチなシトラスが弾けて始まるコロン。シーフェンネルは学名をCrithmum maritimumという植物で、近年になって広く精油が流通するようになりました。キャロット調のシトラスアロマティックな香りで、フェンネルに通じるアニス調の香りはあまり強くはなく、主成分はリモネンのため、シトラスノートの方が強いのです。だから、存在感はないけれどコロンにはピッタリ。シトラスノートの余韻にウッディノートが静かに重なっていくミドルからラスト。シスタスabsのダークなトーンは強くはなく、シトラスウッディムスクとなって消えていきます。ハーブ類がとても少ないシトラスウッディムスクですので、誰もが気兼ねなく使えそうですが、コロンのように使うと30mlはあっという間ですよね。(31/07/2024)


■Cuir Fleurissant (2019年)

25%のパルファムで160ユーロ。往年のレザーというのはこうした香りだったのではないか、という彼の解釈。

トップ:ベルガモット、ヴァイオレットリーフabs、オレンジブロッサムabs、チュニジアンネロリ、バーチタール、アルデヒド
ミドル:ミモザabs、ローズabs、アイリスバター、イランイラン、ローズウッド、ゼラニウム、ヴァイオレット、スモーク
ベース:ムスク、ベンゾイン、バニラabs、オポポナックス、パチョリ、レザー、アンブレットシード、カストリウム、スティラックス、アミリスウッド、ナガルモタ

天然香料率がかなり高いのに、うるさくはないスモーキーなフローラルレザーで、レザーっぽく感じられるけれど、他のレザーと違うのはサフランがないことや、合成香料のイソブチルキノリンなどがないこと。スモーキーなタールとレジン、ウッディノートをカストリウムとムスクに重ね、滑らかなスモーキーオリエンタルとしています。フローラルノートが言うほど浮き上がってこないのは、合成香料が少ないからでしょう。アニマルノートが肌に残るので、苦手な方は要注意です。(30/07/2024)


■Eau De Vertu (2018年)

最初に作った香りなのだそう。濃度は25%とパルファムですが、価格は130ユーロと控えめ。

トップ:ガルバナム、ローズペタル、クラリセージ、ジンジャー
ミドル:ミモザabs、チュベローズabs、ジャスミン、スズラン、ヘリオトロープ
ベース:オークモスabs、ミネラルアコード、ヒノキ、ムスク

調香を学んで初めて作った香りは、やはりバランスがとてもワイルドです。天然香料率が高く、パウダリーなミモザにグリーンノートがたっぷりと重なる。でも、調香をしっかり学んだ後では、きっとミモザを生かすには別のグリーンノートの方が相性が良いことに気づいただろうし、このバランスの中にどうしてミネラルノートが必要だったのかがわからない。好きな香りをバランスよくまとめてみました、というトーンの香りで、テーマが見えづらい分、まとまりとしてはぼんやりとしてかじられます。でも、全然悪くはないですよ。特にラストノートはグリーンシプレムスクで往年の良さが感じられます。(30/07/2024)



■Irida (2018年)

アイリスはギリシア神話の中で、虹の女神。このアイリスのシングルフローラルに使われているアイリスabsは68%のイロンを含有しているというリッチなタイプ。イロンは合成香料でもかなり高価です。その分、15%のEdPですが、L'OEilletより10ユーロ高い135ユーロ。

トップ:チュニジアンネロリ、ヴァイオレットリーフabs
ミドル:アイリスバター、アイリスabs、キャロットシード、ヴァイオレット、ジャスミン、クローヴ、カーネーション
ベース:サンダルウッド、ハイチベチバー、ガイヤックウッド、アンブレットシード、ラブダナムabs

恐ろしく高価なエッセンスをリッチに使用した香り。想像の斜め上を行くワイルドさ。でも、これこそが天然香料のパワーで、少しセロリ調のグリーンノートがアイリスバターをリッチに盛り立ててスタートし、そこからキャロットシードの利いた少しフルーティーなウッディアイリスへと変化していきます。もっとヴァイオレット調が強い平坦な香りをイメージしていたのですが、とても立体的で豪華絢爛。でも、香りたちは強くはなくソフトなのは配合の比重がベースノートにあるから。ウッディノートにスライドしていくあたり、好きな人にはたまらない香りでしょう。この香りが後年にExtrait de Parfumとしてリリースされたのも納得です。人気の香りなのでしょう。(29/07/2024)


■L'OEillet (2018年)

15%なのでEdPで、価格も120ユーロという初期の香り。大好きな花だというカーネーションのシングルフローラル。

トップ:ピンクペッパー、スズラン、カーネーション
ミドル:チュベローズabs、ローズ、ヘリオトロープ、イランイラン、クローヴ
ベース:バニラ、ムスク

肌に乗せた瞬間に嗅覚がピリピリするほどのクローヴたっぷりなカーネーション。ノンシトラスな分、スパイスが際立ち他の要素が見えないほど。少しクローヴが多すぎるかな、とも思えるバランスですが、カーネーションの原種に近いタイプはこれくらいスパイシーに香っているはずです。クローヴ以外も天然香料率が高いはずなのに、その部分はパワフルでもワイルドでもなく、全てがクローヴに包まれています。(29/07/2024)

 

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