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Sampleレヴュー

■Nanban (2015年)

南蛮貿易をテーマとした香りがRodrigo Flores Rouxによる調香で発売に。以前から次は日本がテーマだと話しており、昨年の来日時にもリサーチしていたようですが、17世紀にポルトガルやスペインとの貿易であったということでスペインとのつながりを南蛮貿易を通じて表現したようです。サブタイトルは、「1618年1月 - 太平洋をいく日本のガリオン船」

 

 

ブラックペッパー、サフラン、ブラックティーアコード、オスマンサス、コーヒーアブソリュート、レザー、ミルラ、フランキンセンス、スティラックス、コパイババルサム、ケード

香りはスパイシーなオリエンタルレザリーです。トップでこそスパイスが瞬間香りますが、通常良くあるようなシトラスノートがほとんどなく、トップから絵画のような暗雲立ち込めるニュアンスが広がります。日本というよりも中国ですが、ブラックティーとオスマンサスを使用し、スペインと言えばレザーだということで繋げているんですね。でも、オスマンサスらしさは感じられず、基本としては少しスモーキーな甘苦系のオリエンタルノートとしてまとめられています。ミドルからラストノートが微かにアニマリックに感じられるのですが、ラブダナムも使用しているのかもしれません。スペインが産地ですから。ラストノートではレザーっぽい雰囲気が薄れ、ダークなレジンノートが残るのですが、その中に微かにオスマンサスっぽいニュアンスを感じ取ることが出来ます。しっかりとしたリサーチの上で調香に組み込んでいるようで、江戸時代の南蛮貿易ではスペインからレザーが、メキシコからコーヒーやスパイスが運ばれていたのだとか。ご興味のある方は、支倉常長が率いた慶長遣欧使節団についてを紐解きながら楽しんでみて下さい。(18/09/2015)


■Boutonniere no. 7 (2012年)

1899年5月、パリのフランス歌劇のロビーにて。オペラの幕間にロビーに集った7人の若者たち。そこでは女性たちがボタンホールに挿したクチナシの香りが漂い、男性たちのつけているベルガモットやラベンダーのコロンが香る・・・というテーマ、タイトルはボタンホールという意味で、調香はRodrigo Flores-Rouxが担当です。

 

 

ラベンダー、ベルガモット、イタリアンマンダリン、2種のガーデニア、ジェネアブソリュート(エニシダ)、ベチバー、オークモス

ポイントはこだわった結果のガーデニアがどれほど美しく香るか、という1点に絞られると思うのですが、このガーデニアは生花そのものではなく、少し渋いクラシカルなガーデニアです。肌に乗せた瞬間ガーデニアを形作る際に必要なグリーンノート(Ocimenと言います)が溢れ、微かにクミンのようなスパイシーな部分を従えて香るのですが、生花のもっているクリーミーな部分が少し弱く、飽くまでもガーデニア風のフローラルブーケとしてまとめられています。でも、オペラハウスという場所にはとても似合う雰囲気の香りで、空気感を捉えて表現した、ということなんでしょうね。ラベンダーが強すぎるとメンズっぽく感じられるのですが、それほど主張していませんのでご安心を。じっくりと香ると、かなり強く瑞々しいキュウリっぽいグリーンノートを入れていることがわかるのですが、クリーミーな香りはグリーンを打ち消してしまうんですよね。ガーデニア風の部分が薄れると、入れ違いに少しミモザっぽいエニシダの香りが感じられるようになり、その香りが肌に残ります。(05/07/2013)


■Aleksandr (2011年)

1837年1月、ロシアはサンクトペテルスブルグの冬の午後の香り。ネロリとヴァイオレットの香りで身支度を整えた紳士が、重い毛皮のコートを羽織り、革の大きなトランクを抱えてそりに乗る。雪深いもみの森を行く、その先に待っているのは決闘だった・・・という内容で、タイトルはAleksandr Pushkinというロシアの近代文学では有名な小説家を意味しています。古いキャビネットの中は香水で満たされていたという記述もあるそうですから、彼自身が香水好きだったのかもしれませんよね。この調香はInfanta en Florに続いて2つ目のレザーを担当したYann Vasnierです。


 

ネロリ、ヴァイオレットリーフ、ファーバルサム、ルシアンレザー

香りはトップがフレッシュなアンバーレザリーというところなのですが、ヴァイオレットリーフのキュウリっぽい部分とファーバルサムの甘苦い部分は溶けてトップで香って消えてしまい、さほど深みのないまま消えていくアンバーレザリーといったところです。Infanta en Florの方が穏やかでしたので、ペアフレグランスとして考えるとこちらがメンズなのかな、とは思えるのですが、タイプの違うユニセックスとも思えます。(それほど力強いメンズのレザーではありません)その他の香りとしてはリーフではなくヴァイオレット調の香りがあったり、シンプルなウッディノートが重なっていたりするくらいで、全体的にとてもシンプルですので、とても使いやすいレザーですよ。最後までとても上品なエリート系レザーで終わるところが、Yann Vasnierらしいと言えそうです。(05/07/2013)


■Infanta En Flor (2011年)

1660年6月、スペイン王妃のマリアテレサがルイ14世と平和との引き換えに婚姻関係結ぶと決まった日。下記のFleur de Luisと全く同じシチュエーションなのですが、こちらを担当しているのはYann Vasnierですので、アプローチもまた別となっています。面白い試みですよね。

 

 

オレンジブロッサムウォーター、スパニッシュレザー、シスタス、イモーテル

謁見の間にて、オレンジブロッサムウォーターが振り撒かれ、すっきりとした香りの中、ルイ14世と顔を合わせたマリアテレサの頬がピンクに染まる・・・という瞬間を香りとして切り取ったようです。少しパウダリーさをもったオレンジブロッサムが柔らかなレザーの中に消えていくというフレッシュだけど少しセクシーなレザーの香りです。スエードではなくレザーっぽい香りで、おそらくサフラン系の香料を使用して作られているのでしょう。全くワイルドさを感じないユニセックスなまとまりで、とにかくふんわりとした柔らかなレザーを楽しむためだけに作られたような香りです。女性はフェミニンに、男性ではセクシーな香りになりそうですよ。(04/07/2013)


■Anima Dulcis (2011年)

1965年11月のメキシコシティにて。聖マリア王立修道院では修道女たちが唐辛子とスパイスを入れた不思議なチョコレートを用意していた。その秘密のレシピを香りで公開します、というテーマで、タイトルは魂のスイーツのような意味になります。調香はRodrigo Flores-RouxとYann Vasnierが担当です。

 


ココアアブソリュート、メキシカンバニラ、シナモン、チリペッパー

うわっ、と思わず声が漏れるほどインパクトのあるトップです。スイーツの甘さを期待しているとノックアウトされてしまうスパイシーな香りに、スモーキーなアンバーノートが重なっている感じです。ココアアブソリュートもバニラアブソリュートも高価な天然香料をそのまま使用している雰囲気で、かなりくすんだスパイシーさというか、少しガイヤックウッドのような漢方っぽいニュアンスも感じられます。香りは次第に柔らかな甘さへと変化していきますので、アブソリュートだけではなくVanillinも併用して香りを守り立てているのでしょうね。美味しいだけの普通の甘さに飽きた方は、是非こういった個性的なバニラをお試しあれ♪(04/07/2013)


■Flor Y Canto (2011年)

時は1400年8月、古代メキシコのテノチティトラン王朝時代の今のメキシコシティに存在した古代都市。香り高きアステカのお祭りの香りというのがテーマで、アルタヤ寺院に捧げられた花々の香りと祭りの太鼓(ドラム)の繰り出すリズムに酔いしれる。調香はRodrigo Flores-Rouxが担当です。

 

 

メキシカンチュベローズ、マグノリア、プルメリア、マリーゴールド

1番楽しみにしていた香りです。画像のイメージも素敵ですし、チュベローズの原産地というメキシコらしいまとまりになっていると予想していました。メキシコを訪れたことはありませんが、祭りの香りがこんなに華やかで官能的だったらどれほど素晴らしいことかと想像が広がるチュベローズとなっています。まさにチュベローズはアブソリュートの香り。(でもアブソリュートだけではありませんよ)きちんとアブソリュートを使用しつつ、クリーミーな甘さにキンカンのようなビターシトラスをトップに、その他はプルメリアの香りを足したというチュベローズを軸としたフローラルブーケとなっています。香りの変化が穏やかであまり変化も強くはなく、ラストノートも特にウッディやアンバーで終わるようなものではありませんので、骨格はアメリカらしいシンプルさを感じます。(03/07/2013)


■Fleur de Louis (2011年)

時は1660年6月、ルイ14世とスペインの若き花嫁が初めて出会った日の香り。それはフランスとスペインの国境、バスク地方の中州の島、フェザント島での出来事。和平条約を締結するために作られた架設小屋は松と杉で作られており、フランス側から用意されたアイリスやローズ、ジャスミンの中をルイ14世が未来の花嫁を見ようと歩みだす。調香はRodrigo Flores-Rouxが担当です。

 

 

オレンジブロッサム、アイリス、ジャスミン、シダーウッド

とても綺麗なオレンジブロッサムとジャスミンのハーモニーです。ミドル以降に少しアイリスが香るかな、という程度で余計なものは一切ないという至ってシンプルな香りで、オレンジブロッサムとジャスミンをアブソリュートを使用せず、1かか作り上げたオリジナルアコードを使用しているのでしょう。バスク地方ではありませんが、バレンシアはオレンジの産地ですので、スペインのイメージにはとても合っていますし、6月という季節もオレンジの花期に合うということで香りのキーノートとして使用されたのではないでしょうか。さっぱりと軽やかに使用できるシトラスフローラルです。(03/07/2013)


■L’Etrog (2011年)

1175年10月、イタリアカラブリアン地方で行われたユダヤ教の祭り「Sukkot」。タイトルとなっているEtrogは巨大なレモンのセドラで、皮が厚く、スライスして皮も食べたりします。その収穫祭はヤシの葉とヤナギの枝で出来た小屋の中で行われたのだとか。香りはRodrigo Flores-RouxとYann Vasnierの共作です。

 

 

トップ:カラブリアンセドラ
ミドル:マートル、デーツ
ベース:ベチバー

香りはセドラの精油がばっちりと効いたシトラスコロンで、まさにフレッシュと知らすそのもの。ただ、じっくりと香っているとマートルのアロマティックな部分が広がり、柔らかで薄っすらとしたベチバーへと変化して消えていきます。調香にはありませんがモスもありますよ。これはオークモスではなくて、別の合成モスなのでしょう。Veramossのような。ベースのベチバーは精油ではなくVetiveryl acetateのような感じで、柔らかく品の良い残り香を形成しています。上記のイメージ画ほどクラシカルで重厚な香りではありませんが、流行とは少し離れたシトラスコロンの高級版というところでしょうか。(02/07/2013)

 

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