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Sampleレヴュー

 

 

■Tramonte (2022年)

イタリアのカンパーニャ州をテーマとした香りで、タイトルは日没のこと。シトラスフルーツ、特にレモンが有名なカンパーニャには養蜂も多く、牧歌的な風景が浮かびます。

トップ:ベルガモット、ナツメグ、ユズ
ミドル:シダーウッド、フランキンセンス
ベース:アンバー、サンダルウッド、バニラ

イタリアでカンパーニャと言えばレモンでしょう、シトラスコロンでしょう、と期待したらガツンと飛び出たのはアンバーなフランキンセンスでした。力強く感じられるほどのアンバーに包まれたフランキンセンスで、それが8割といったところ。香りの軸が明確な分、イメージは伝わりやすいし、香りの安定感もいいし、受け入れられやすいタイプ。(13/06/2024)


■Highland (2022年)

スコットランドのハイランド地方。荒々しくも穏やかなそこを歩くとまるで瞑想しているようだ。

トップ:ジュニパー、アールグレイティー
ミドル:チュベローズ、シダーウッド
ベース:オークモス、レザー、ヘイ、ムスク

ハイランド地方の草原地帯が広がるのかと思いきや、力強いウッディノートが広がりました。でも、温かいというよりも荒々しい。それはオークモスやレザーにブラックティーが重なっているから。ブラックティーはどこかサフランに似たレザー感があり、ブラックティー系のレザーは流行の兆しがあるのです。使いにくい個性ではないけれど、このEdPラインの中では男性的な香り。(13/06/2024)


■Epoque (2022年)

スペイン国境に近いフランスの街、Perpignan(ペルピニャン)をテーマとした香り。フランス語とカタルーニャ語の混じるその地域は、時が止まり別の時代にあるようだ。

トップ:オレンジ、ピーチ、ネロリ
ミドル:チュベローズ、フィグ、スズラン
ベース:ベンゾイン、バニラ、アイリス、ホワイトムスク

チュベローズのそれらしさはPatioの方が強く、こちらはフィグのグリーンをアクセントとしたフレッシュなフルーティーフローラルです。たっぷりのオレンジやネロリがチュベローズを包み込み、コロンのような爽やかさで広がるそこを、フィグのグリーンノートが浮かないように抑えているのです。フェミニンというよりもやはりユニセックスで、時間と共に感じられるようになるベースノートの比率が多く、香りのカテゴリとしてはフロリエンタルです。(12/06/2024)


■Shomal (2019年)

カスピ海沿岸のイラン北部の街、Shomal。どこでも人々は温かいお茶を飲み、会話を楽しむ。絨毯に座り、人々のもてなしを受ける穏やかな風景。Shomalとはペルシア語で北を意味する言葉なのだそう。だからイラン北部にある街なんですね。

トップ:ヒヤシンス、マンダリン、グリーンティー
ミドル:アイリス、ジャスミン、パチョリ、サフラン
ベース:アンバー、バニラ、オークモス

イラン北部というスパイス貿易のシルクロードの途中な街のイメージだったのに、マリン、オゾン系のフレッシュノートをアクセントとしたフレッシュフローラルが広がりました。ヒヤシンスのグリーンノートは強くはなく、パチョリやサフランもそれと感じられるほどではなく、シプレになることもない渋めとさっぱりのギリギリな低空飛行でラストを迎えます。確かにアジア人好みなテイストではありますが、少しテーマとはかけ離れているかな。肌に残るラストノートは全くフェミニンではないので、力業でユニセックスに落ち着く感じです。(12/06/2024)


■En Route (2019年)

山と谷を交互に行く、空気の澄んだ山岳地帯を進む旅の途中。

トップ:ベルガモット、ピンクペッパー、アップル
ミドル:ジャスミン、シダーウッド、レザー
ベース:アンバーグリス、パチョリ、オークモス

アップルでもジャスミンでもシダーウッドでもないけれど、ああ、こういう香りあるよね、というベルガモットの爽やかさで始まるブラックティー系オリエンタルムスクな感じです。パチョリやオークモス(実際にはシダーモス)がありますが、シプレに感じられるほど強くはなく、飽くまでもほの甘いフレッシュノートが持続します。それでも昔のファッションフレグランスではなく近年らしいユニセックスなまとまりで、アジア人は好みそうなシンプルさです。(11/06/2024)


■Flower Cafe (2019年)

2017年、ベイルートの思い出。会話が止まらない可愛らしい小さなカフェ。花々が飾られ、コーヒーを飲みながらシーシャを楽しむ人たち。

トップ:ブラックペッパー、クローヴ
ミドル:ローズ、コーヒー、フィグ
ベース:バニラ、アンバー、ムスク

あぁ、コーヒーね。という砂糖たっぷりな甘いコーヒーがスパイスを従えて広がります。ローズやフィグはそれとわかるほど強くはなく、軸になっているのはオリエンタルなスイートベース(バニラではなくハニーノートがメイン)で、おそらくたっぷりのアンバーウッディ系、フレッシュノートが使われているのでしょう。甘さは強くても重さは感じられないのです。もう少しシーシャのニュアンスが感じられると楽しかったかな。いや、でもシーシャのフレーバーはグルマン系が多いので、こういうものなのかもしれませんが。(11/06/2024)


■Matin a Mogador (2019年)

モガドールの朝はメディナの詠唱で始まる。まだ霧に包まれた早朝、夜が明けると承認たちは扉を開け、漁師たちは海から戻ってきて、一日が始まる。

トップ:ヴァイオレット、フランキンセンス、クミン、ベルガモット、オレンジ
ミドル:レザー、シダーウッド、ローズ、ナツメグ、アイリス
ベース:パチョリ、ベチバー、アンバー、バニラ

おそらく描かれているモガドールはモロッコだと思います。たっぷりのスパイスに土っぽいパチョリやレザーが重なっていくスパイシーオリエンタルウッディな香り。トップノートはごちゃごちゃとスパイスが弾けましたが、そのごちゃごちゃした感がメディナにぴったりで、淀んだ空気が澄んでいくように、霧が晴れていくように静かに軽やかなオリエンタルウッディに変化して落ちつきます。とても使いやすい個性さで、遊んでる感があるけど優等生な香り。(10/06/2024)


■Patio (2019年)

2013年、春のスペイン。冬が終わりをつげ、温かくなると一斉に花々が咲きだすのはどの国も同じことだと思いますが、スペインにはパティオと呼ばれる中庭に美しく花を飾る地域があります。

トップ:サンバックジャスミン、チュベローズ
ミドル:ジャスミン、ハニーサックル、ゼラニウム
ベース:アイリス、サンダルウッド

これはもうジャスミンとチュベローズですよ、という香り。軸がしっかりとしているために全くぶれることなくその他の香りがアクセントに留まり、安心して使えるフローラルブーケです。ベースも余計なものはなく、品の良いアイリスとチュベローズと相性の良いサンダルウッドがメインで、微かなグリーンノートと共にチュベローズを明るく仕立てています。芽吹きの春に相応しい香り。(10/06/2024)

 

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