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Sampleレヴュー

■Voluptuous Oud (2024年)

官能的なウードというタイトルのように、フルーティーウッディにまとめた香り。彼女はワイルドなテイストが好みで、アニマリックだったり力強い香りが最初の頃は多かったのですが、ウードもそうした側面があるわけで、ある意味彼女にとっては真骨頂な香り。でも、かなり使いやすく丸められたようです。

 

 

トップ:ベルガモット、グリーンマンダリン
ミドル:ヘリオトロピン、プラム
ベース:カンボジアンウード、レザー、ベチバー、トルーバルサム、カラメル

香りはアメリカのヤンキーキャンドルのようなキャンディ系のフルーツがケミカル全開に弾けてのスタートです。でも、その中から精油感のあるシトラスが感じられ、トップが少し混沌としていたのかと感じられた後、スイートウッディに変わって落ち着きます。ウードっぽいアンバーウッディノートは確かに感じられるものの、ウードらしい力強さはなく、危険なほどのアニマリックさもなく、随分と甘さのしっかりとしたグルマンに近いオリエンタルウードが肌に残ります。もう少し絵画的なタイトルやストーリーがあれば全体のイメージも変わってくると思うのですが、彼女はいつも直球でシンプル。シグネイチャーな香りとも言えるレザーを微かに入れて、キャンディウードに仕上げました、という香り。(05/11/2024)

 

 

■Luxe Calme Volupte (2021年)

BaudelaireのInvitation au Voyageという詩にインスパイアされた香り。さぁ、旅に出よう。そこには秩序と美しさ、豪華さ、平穏、官能の喜びに満ちている。夕陽は町全体をヒヤシンスとゴールドで覆い、世界は暖かな光の中で眠りにつく。

ビターオレンジ、グリーンタンジェリン、ガルバナム、ヒヤシンス、トロピカルフルーツ、イランイラン、アイリス、ベンゾイン、サンダルウッド、ベチバー、オポポナックス

何だかとてもトロピカルフルーツがビニールのように感じられるトップノートでスタートです。基本的にはトロピカルなフルーティーフローラルですが、ガルバナムやヒヤシンスのグリーンがキリリと引き締め、少しクラシカルなタッチで広がっていきます。彼女のフレグランスの中では比較的危険度の低い、アニマリックではないタイプで、レザーもなく安心して使えそう。延々と肌に残るタイプでもなく、比較的あっさりと消えていきます。(29/05/2024)


■Tyger Tyger (2020年)

イギリスの詩人William Blakeの詩The Tygerの最初の一行がタイトルとなりました。彼女は相反する2面性を取り上げることが多く、それが相反し過ぎてカオスになることが多いのですが、この香りは崇高で抗いがたいほど魅力的である点と、恐ろしさという2面を表現したそう。25%という恐ろしく高濃度で12時間は持続するのでつけ過ぎないようにと注意書きがあるほど。

ナルコティックフラワー、ハニー、ピーチジャム、パチョリ、サンダルウッド、オークモス、ウード、レザー、ヘリオトロピン

ハニーやピーチにパチョリやレザーを合わせるというだけで個性的であることは予想できますが、そのパランスはまさに同等。どちらが強めなのかというと、どちらも強いというぶつかり合う調香です。でも、トップこそ衝撃的であったものの、衝突して弾けて散った後にゆっくりと広がっていくように、少しシプレ調のハニーウッディへと変化していきますので、決して使いにくいタイプではありません。また、タイトルにあるようにタイガーの危険さもありません。ただ、少しシプレ調のハニームスクは薄く長く残ります。(28/05/2024)


■The Mariner's Rhyme (2024年)

Rime of the Ancient Mariner (老水夫の歌) というSamuel Taylor Coleridgeの詩、アイアンメイデンの叙事詩やKing CrimsonのアルバムIslandsに収録されているSailor's Taleなどにインスパイアされた香り。

 

 

トップ:ベルガモット、グレープフルーツ、オゾンノート、ラベンダー、エレミ
ミドル:オレンジブロッサム、アイリス
ベース:アンバーグリス、オークモス、ムスク、パチョリ、フランキンセンス

冷たい嵐の海を行く船。それを冷たいオゾンノートやアルデヒドを使用してまとめたマリンシプレ。でも、マリンというよりは飛沫の冷たさを感じるオゾンアルデヒドでSerge LutensのL'Eau Serge Lutensを少しアロマティックにし、ソーピーなムスクではなく微かなシプレに置き換えたような香り。トップは少しアロマティックなトーンがありましたが、すぐに消えてオゾン系アルデヒドが全てを包み込んだままラストノートへと落ち着きます。ラベンダーが強すぎず、フゼアになっているわけではないため、ユニセックスなまとまりですが、やはりどちらかと言うと男性的なのは、フローラルノートが強くないからでしょう。冷たい嵐の海を表現するのにフローラルは不要ですよね。ラストはシプレと言うほどのシプレ感ではないのですが、オークモスではなく合成香料の柔らかなモスが使用されていて、パチョリと共に深海らしいオリエンタルさが冷たいオゾンに重なっていきます。

アニマルノートが大好きな彼女としては、その趣向の部分をテーマに合わせてグッと抑え込んだ香りで、アニマリックではないのでご安心を。(02/04/2024)


■Lost In Heaven (2019年)

彼女が目指したのは、大人が楽園で迷子になる香りでした。それは穢れのない天使のような柔らかで穏やかなフローラルノートと、人間的な穢れた側面で構成され、クミンやアニマリックな部分がリアルさを添えるというもの。

 

 

グレープフルーツ、タンジェリン、オレンジブロッサム、ジャスミン、イランイラン、ミモザ、マグノリア、クミン、シナモン、コリアンダー、アンバーグリス、ムスク、カストリウム、ビーワックス、アイリス、ラブダナム、オポポナックス、ヘリオトロープ、ベチバー、サンダルウッド、パチョリ、トンカビーン

余程美しいフローラルで始まるのかと思いきや、天使のようなエッセンスよりもスパイスが先に弾けました。スパイシーなオリエンタルで、フローラルノートは全体を柔らかくしている土台です。クミンもしっかり効いていて、男性的な素肌感を感じるミドルへと変化していきます。彼女はこの香りの中に、グルマンというほどではなく、高級なパティスリーのものでもないけれど、ママが作るオレンジブロッサムとスパイスのケーキの香りを入れたそう。チュニジアなどではケーキの中にオレンジブロッサムウォーターを入れますが、そうして作られるケーキにスパイスを入れたら少しクリスマスっぽいニュアンスですよね。でも、これはクミンが強いのです。ワイルドすぎないクミン系フローラルは、個性的ではありますが、とても肌馴染みの良いラストを迎えます。(09/10/2019)


■The Black Knight (2019年)

イタリアのルネサンス期に活躍した16世紀最大の軍人、黒帯のジョヴァンニ(Giovanni Dalle Bande Nere)をテーマとした香り。メディチ家の一員として生まれ、幼い頃から戦いに明け暮れていた彼は、ローマ教皇レオ10世の死を悼み、忠誠を誓い、黒いラインを入れた白旗を掲げて戦ったことから黒帯のジョヴァンニと呼ばれた人。28歳という若さで亡くなったヒーローであり、映画化もされています。

 

 

アルテミジア、キャラウェイ、ハニー、ローズ、ナルシス、アイリス、ビーワックス、シダーウッド、パチョリ、ベチバー、オークモス、レザー

中世の戦いを想像した場合、そこに登場するのは野営です。彼女は焚火のスモークさ、灌木、馬、皮などの匂いをメインに合わせ、それらをベチバーでまとめたのです。香りはベチバーレザーなのですが、スモーキーさは強くはなく、どちらかというと滑らかに感じるほど。彼女がそこにローズを入れたのは、ジョヴァンニの影にいる恋人の存在なのだとか。そういう組み合わせ方も楽しいですよね。ベチバーが力強くスモーキーに、ウッディに香る中、レザーがどこか優しく柔らかく香り、全体的にクラシカルな雰囲気となって肌に馴染んでいく。そこまでは案外ユニセックスだなぁ、と感じていたのですが、ラストノートはベチバーがレザーと共に肌に残り、メンズらしく香ります。僕だったらローズではなくオスマンサスを合わせるだろうなぁ。(09/10/2019)


■Sex and the Sea Neroli (2019年)

Sex and the Seaのフランカーで、ネロリバージョン。でも、ネロリを足しただけで終わるはずもなく、結果としてネロリを加えたことで、新たな調香となったそう。サンプルにはないのですが、ボトルラベルに描かれたイラストはネロリとヒトデを併せてデザインしたものだそう。

 

 

ベルガモット、ペティグレン、ハニー、ネロリ、ミモザ、ココナッツ、イモーテル、ローズ、アイリス、サンダルウッド、ベチバー、ラブダナム、ベンゾイン、アンバーグリス、シベット、バニラ

オリジナルにあったパイナップルをネロリに変えた、というニュアンスですが、ココナッツが香りのキーノートになっている点は同じです。でも、グルマン系のココナッツではなく、微かにアニマリックなテイストを感じるようなココナッツで、ネロリの爽快感、フレッシュなテイストはあまり強くはありません。それよりも、全面に出しているのはセクシーさで、ラブダナムやベンゾインのアンバーベースが香っていたり、アイリスやハニーが素肌感を出していたりと時間によってくるくるとココナッツを取り巻くエッセンスが変わり、時間ごとに表情を変えていきます。ココナッツ系ではあるけれど、ココナッツだけではない部分を楽しみたい香り。(05/04/2019)


■Etruscan Water (2019年)

Etruscanとはイタリアの先住民エトルリア人のこと。フランチェスカがトスカーナの海辺を訪れた際、その地に住んでいたエトルリア人に思いをはせたことがあったのだそう。その小さな入り江から30分歩くと今度は森があり、それらは地中海特有の香りを感じさせるものだった、と。そこがエトルリア人たちの街だったわけですね。この香りはFreefallという新たなラインの最初の香りなのだそう。

ベルガモット、グリーンタンジェリン、グレープフルーツ、ペティグレン、バジル、キャラウェイ、イモーテル、ジャスミン、アイリス、ムスク、アンバーグリス、ラブダナム、ベチバー、オークモス

クラシカルなオーデコロンをイメージするとノックアウトされるほどパワフルに始まります。それは精油らしいパワーに満ちていて、シトラスノートにハーブが重なり、更にモスが支えているのです。少しシプレ調のアロマティックシプレで、アイリスとムスクがベースを柔らかくまとめています。オーデコロンのニュアンスを、高濃度にしてベースをたっぷり補填したというニュアンスで、軽やかな香りではありません。ベースにはラブダナムもありますから、最後はアロマティックなオリエンタルシプレとなって消えていきます。クラシカルな良さ、精油感の良さで楽しませてくれます。(05/04/2019)


■Lover's Tale (2018年)

ラヴストーリーと名付けられた香りは、何とカストリウムが全面に出てくるワイルドな香りに。

 

 

ベルガモット、ハニー、ミモザ、アルデヒド、ジャスミン、ローズ、ヘリオトロープ、ピーチ、アイリス、レザー、ムスク、カストリウム、ラブダナム、サンダルウッド、ベチバー、オークモス

ムエットでは、カストリウムばかりが目立ってしまい、かなりワイルドや野獣系に感じたのですが、肌ではジャスミンを軸としたハニーフローラルがきちんと香り、フェミニンな野獣となります。これは、恋する二人の象徴として男性的な香りと女性的な香りを抱き合わせたということなんでしょうけど、どうにもカストリウムが強くて使うのを躊躇われるほど。これはアニマリックな香りがお好きな方でないと難しいかもしれません。彼女の作り出したレザーアコードはタールを使用していませんので、スモーキーなレザーがベースにあるわけではなく、ハニー調のウッディフローラルムスクがカストリウムに重なる形で薄れていきます。この残り香は翌朝もしっかりと残ってましたので、とても持続します。野獣で始まりますが、時間と共に柔らかでフェミニンな残り香へと変化していくという感じです。調香としてはGuerlainのMitsoukoに通じる香料が配置されていますが、思い起こさせるようなシプレではありません。(06/10/2018)


■Under My Skin (2017年)

調香を学び始めた頃、強いアニマリックな香りにとても魅力を感じ、自分のために調香をしてみたら、他の製品が必要なくなってしまうほど気に入ったのだそう。とてもバランスの難しい野獣たちを、飼いならすようにテストを重ねて作られた皮膚の下の野獣。

 

 

グレープフルーツ、ラベンダー、ブラックペッパー、スパイス、ローズ、カーネーション、アイリス、ムスク、カストリウム、アンバーグリス、レザーアコード、コスタス、トンカビーン、トルーバルサム、ペルーバルサム、サンダルウッド、バニラ、ツリーモス

展示会で香った際は、アニマリックよりバルサム系の強いオリエンタルだなぁ、と感じたのですが、肌の上ではナツメグのようなスパイスがトップで弾け、そこからパウダリーなオリエンタルムスクへと変化していきます。それほどバルサム調がどっしりと香るものではなく、レザーというほどレザーでもなく、基本的にはオリエンタルムスクとなって肌に溶けていきます。25%だというパルファムは香りの変化もゆっくりで、あまり拡散せず肌の上でじっと香り続けてくれますよ。最後はハニームスクが肌に残り、アニマリックな部分は出てきませんでしたから、どうぞご安心を。(30/11/2017)

 

 

■Angel's Dust (2016年)

木製のクローゼット、ファイスパウダーと口紅の香り・・・つまり、テーマとしては「私の部屋」だと。そこはあなたを誘惑する香りで満ちている。

 

 

ブラックペッパー、ミモザ、ローズ、アイリス、ムスク、サンダルウッド、トルーバルサム、ベンゾイン、バニラ

トップのブラックペッパーはプッシュした瞬間で消え、すぐに樹脂系の甘さに包まれたスイートパウダリーな香へと変化していきます。軸はローズアブソリュートのツンとした酸味を感じるタルカムパウダーですね。男性目線の女性の香り、特に母親になるとこうしたスイートパウダリーなタルカムパウダーが象徴になってくると思うのですが、ローズを生かしたつくりになっていることでとてもモダンな印象に感じます。ミドル以降はどんどんバルサムやベンゾインの甘さが強くなり、パウダリーというよりもオリエンタルとなって落ち着きます。ミモザはおそらくアブソリュートを使用していて、控えめながらゴージャス感を感じられるパルファムとなっています。あからさまな高級感ではないあたりが日本人好みかもしれません。(23/06/2016)


■Sex and the sea (2016年)

いつの時代も、若者はセックスと海が好き。ということで、彼女にとっての思い出のヴァカンスの風景なのでしょう。

 

 

ミモザ、ブラックペッパー、クローヴ、パイナップル、ココナッツ、イモーテル、ローズ、アイリス、サンダルウッド、ミルラ、ラブダナム、ベンゾイン、アンバーグリス、シベット、バニラ

海をタイトルにしながらマリンノート不使用というとてもユニークな調香です。ココナッツが印象的なラクトニックなオリエンタルという香りで、サンオイルのココナッツが夏を、少しアニマリックなテイストを加味することでセックスのイメージを表現したのでしょう。パイナップルのフルーティーな部分はかすかなアクセントで、全てがココナッツの香に包まれて香ります。じっくり香るとアイリスがあったり、ラブダナムの欠片があったりするのですが、ココナッツ系のサマーフレグランスですね。(23/06/2016)


■The dark side (2016年)

他の誰でもない、自分の中のダークサイドを香りで表現してみた、というもの。名刺代わりの「私の香り」ということでしょうね。ブランドのスタートにはぴったりなテーマかもしれません。

 

 

ハニー、スパイス、アイリス、ヴァイオレット、サンダルウッド、シダーウッド、ベチバー、アンバー、スティラックス、フランキンセンス、パチョリ、バニラ

あぁ、もうこれは・・・好きな人が多いはず!! トップではスパイスが弾け、そこからおが屑のパウダリーさ、ヴァイオレット、スモーキーなウッディノートと共にフランキンセンスが香るのです。スモーキーウッディなフランキンセンスで、結構精油感が強く感じられます。スモーキーさが控えめながらあることで、ウッディノートとフランキンセンスがリアルな香りとなり、少しパウダリーな甘さと共に肌の上が広がり続けます。ダークサイドというタイトルではありますが、とても静かに香り続ける印象で、調香自体に女性らしさも感じられます。僕はスパイスの中に山椒っぽいテイストを感じるのですが、それがフランキンセンスととても合っていて、3種の中では一番好印象でした。(23/06/2016)

 

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