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Lily of the Valley / スズラン



学 名
Convallaria majalis
別 名
君影草、聖母の涙、Muguet(仏)、Mughetto(伊)
抽 出
アブソリュート(研究用)



5月1日はスズランの日です。この日に花束を贈ると「幸せが訪れる」ということで、花屋には1年で一番スズランが売られる日です。街角で、花屋でなくとも花を売ることが認められているとのことで、あっちこっちでスズランが売られているようです。特に、ヨーロッパ。スズランは鈴蘭と明記しますが蘭の種類ではなくて百合科の植物です。ですからどことなく百合っぽい香りも持ち合わせています。(百合で言うとテッポウ百合系の香りが近いです)また、スミレ同様に森の下草であって、なかなか日本では花束として見かけないこともあり、生花の香りを知らない人も多いようです。鉢植えでも清楚な香りが楽しめますよ。

スズランは天然香料の採取されない花です。採取が全く出来ないのではないのですが、水蒸気蒸留ではほとんど得られずに収油率が低いことと合成香料の使用が進んだこともあって使用されないというのが実情のようです。(研究用に実施されたものでは71kgの花から90gアブソリュートが得られたようです)でも、スズランは葉も花も茎も球根も強い毒性を持っており、切花を挿した水を飲んだだけでも死にいたる場合があるほどの植物です。精油分が必ずしも安全ではない、というのも理由なのかもしれません。芳香が一番強いのは市場に出回っているドイツスズランで、野生のものはMuguet des Biosと呼ばれて栽培種よりも強い芳香を放ちます。

スズランの香りは調香のスクールでも基本中の基本として教えられることが多く、調合香料としての再現が比較的容易なために、香料としてのスズランは調合が用いられます。ただ、その調合についてはブランドごと、香料会社ごとに違うわけですが。成分的にはローズやジャスミンに比べて分かり安いために合成してもおおかた似た感じになるようです。4月の調香体験セミナーAタイプではこのスズランを21種の単品香料を使用して4つのタイプのスズランの合成香料を作りました。4つも香料は全てバラバラですから香りも少しずつ見事に違うのですが、全体として醸し出す雰囲気はどれも立派なスズランなのです。参加者の皆さまはご自身で作られたオリジナルスズランの調合香料をそのまま使用してオリジナルの香を制作されました。

スズランと言えば1956年に発売されたディオールのディオリッシモが有名ですが、調香師のエドモン・ルドニツカは2年の月日を費やして制作しています。もちろん栽培して研究されたようですよ。ディオールは幸運のシンボルとして生涯愛した花でもあり、ディオリッシモの発売の翌年1957年に亡くなった際、棺にはスズランで埋め尽くされたという逸話も残っています。葉に隠れるようにしてひっそりと咲く姿は殿方の影に隠れるようにして佇む古き日本の女性を思わせ、君影草と名づけられたそうです。

(25/04/2009)

検索率がとても高いため、公開としました。スズランの精油は世界的に流通していません。もし、「スズランの天然香料」などという商品を扱っているショップや企業があれば、それは間違いなく偽物です。世界に名だたる、それこそ農場をいくつも抱える香料会社が「ない」としているわけですから、現代の技術をもってしても商品化できるクオリティにないわけですよ。おそらく生花とはかけ離れたグリーンノートなのでしょう。

(15/01/2014)

 

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