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■The Scent of Excellence

 

 

2025年の展示会は、今までで一番早い2月下旬の開催となりました。ミラノはまだコートが必要な寒さでしたが、直前までポーランドにいた僕としては、全然寒くないじゃん・・・という春を感じたミラノだったわけですが、帰国したら日本が寒くて驚きました。ミラノより寒いよ〜。

 

 

朝は10時オープンなのですが、30分前でもこの大行列。ここから更に列は伸び、僕らが入場出来たのは、10:30近くになってからでした。これから並ぶ人たちや、先端はどうなっているのか見に行く人たちでゴタゴタしていたものの、関係者たちの列ですから知り合いも多くいて、入場前から久しぶりに会う友人たちと話をしていたらあっという間だったというのも事実。

 

 

入場を待ちながら笑ってしまったのは、これ。関係者たちが並ぶとわかっていて設置された広告です。このQRコードで妻は私を裏切った(不倫の痴話喧嘩)が見られるとあるのですが、実際にはフレグランスの広告が流れます。

 

 

今年のテーマカラーはブルーで、いつものようにエントランスには撮影ポイントが設置されてありました。もちろん皆さん撮影して楽しんでいましたよ。

 

 

何はなくとも・・・と真っ先に向かったのはNeela Vermeire Creations のブースでした。それは、彼女のブースの裏にコートや荷物を置かせてもらうから。そう、彼女のブースは僕らにとっての荷物置き。クロークに預けると大変なので、友人のブースに荷物を置かせてもらうというのは、関係者あるあるのようなもの。彼女が不参加だった昨年は、Pantheon Parfumのブースに荷物を置かせてもらっていたのでした。

Neelaの新作はEshal(楽園の花)というチュベローズを軸としたアロマティックフローラルでした。2日目の帰りは、彼女のこの香りを付けて会場を後にしたので、一足お先に堪能した香りでもあります。

 

 

Neelaの次はFilippo Sorcinelliのブースへ。この流れも毎回のあるあるのようなもの。初日はまず友人たちのブースを回るのですが、Filippoのブースには友人たちがたくさんいるので、一気に挨拶出来るのです。というか、Filippoのスタッフは増えているものの、コアメンバーは変わらずハグして回って新作を教えて貰う。

今回は、Atmosphere d'Emotionの新作4種でした。雨と霧の次は、聖書の中から4つの光が香りに。既存の香りも濃度はExtrait de Parfumに変更となり、全10種となりました。ボトルが豪華な分厚いガラスバージョンとなり、キャップも溶岩をイメージしたようなずっしりと重いものとなりました。サイズ感も重量感も半端ないのですが、50mlなんですよ。

 

 

都市や国、音楽や絵画、伝説や偉人・・・テーマというのはあちこちに散らばっているものだと思いますが、聖書の中から引き出していくのはFilippoらしさであり、聖書を読み込んで解釈を熟知している彼の右に出るものはなかなかいない。新作のサンプル4種は旧作3種+3種で10種のディスカバリーセットとなって配布。フルボトルは160ユーロと少し値上げされました。

 

 

毎年、手元にあるヴィンテージのパルファムを差し上げているというか、ブランド側にお返ししているのがHoubigantです。大分の田舎にあるよりも、世界で一番価値を知り、大切にしてくれるのは間違いなく現オーナー様でしょう。ということでElisabetta (Perris)とハグ。SMNのCEOとなったことで展示会を離れていたGian Luca (Perris)もCEOを辞めたことで戻ってきていて、久しぶりの再会に。

 

 

ね、今回はこれで。日本では1950年代の新聞広告にも載っていたりしたQuelques Fleurs。中身の液体は漏れないように別の容器に保管して持参していました。

 

 

彼らの新作はレッドボトルのオリエンタルな3種。後日3種ともレヴュー予定です。Perris Monte CalroとしてはブラックボトルコレクションのBalsamyrhというミルラをテーマとした香りが控えています。しっかりミルラの香る1本で、年内には発売となるはず。

 

 

HoubigantPerris Monte Calroも毎年精力的にリリースを続けていますが、ブルーなコレクションも発売となっています。これは、Genovaにほど近いPortofinoというリゾート地に店舗を構えたことで作られた香りたち。電車だけでは行きにくく、海から船で入るか、近くの駅からタクシーでしか行けないPortofinoに3度も訪れたことのある僕にとっては、いろいろと思い出の残る街でもあります。4つの香りは基本的にマリンベースですが、1つだけこれはボディミルクとかクリームが合うタイプだよね、と話していたら本当に商品化されていて出して見せてくれました。後日4種共にレヴュー予定です。Portofinoを訪れる際には、一番その日の気分の合う香りを購入して使うと旅がワンランク上がること間違いなし。

 

 

毎年新作をリリースしているCristian Cavagnaからは、Regina Vergineというハニーなチュベローズが公開に。

 

 

Pernoireからは、何とノワールではなくホワイトボトルの新作が2種。

 

 

全てのボトルにはイラストがあるのですが、裏を返すと唇が。そう、Aneloはポップコーンを使用したグルマン系。彼らのブースは回を重ねるごとに大きくなり、商品も顧客(ファン)も増え、着実に伸びています。

 

 

 

Parfums Dusitaからは、トンカビーンとミルクを合わせたTonka Latteというグルマン系が公開に。

 

 

Gini Parfumからは今年の干支であるヘビをモチーフとしたMistici Sentieriが公開に。少しスモーキーなフランキンセンスレザーとなっていました。とてもクールで好印象。3日目はこの香りを肌に乗せて会場を後にしました。いろいろ付けて帰れるのは楽しい〜。

 

 

過去2回、店舗でのパーティーという形をとっていたHemcaelでしたが、今年は展示会に初参加。もちろんオーナーのCael Pipinもいて、久しぶりのご挨拶。今までパーティーでお会いしていただけでしたが、彼はきちんと僕を覚えていてくれただけでなく、3日目にはいろいろな話をしてきましたよ。仲良くなるって嬉しいし、ありがたいこと。彼は今年4種のリリースだと聞いていたのですが、上記のブラック&レッドを入れて6種でした。

 

 

当初聞いていた4種はおそらくこちら。今までのボトルとは違い、洗練されたスタイリッシュなトーンで。こういうハードなボトルにソフトで繊細な香りが入っていることが、見かけはごつくて強面な彼の、優しい内面を見ているようでもあったりして。

 

 

Santi BurgasからはWhite Collectionの30mlがお披露目に。これはこれで可愛らしい〜。

 

 

Pantheon ParfumからはROMAのOとなる新作が公開に。この香りで初めて調香が変わり、初めてのChristian Carbonnel。なんだChrisだったのか!! レッドボトルはチェリーとシャンパンという今の流行ど真ん中の香りでした。

 

 

それとは別に、人知れずこっそりと置かれていた2024のボトル。2022はLeoneくんの第一子(ダンテくん)誕生を祝った香りでしたが、2024はそう、第二子の誕生を祝った香りでした。ダンテくんに続き、ジョットくんだそう。面白い名前を付けるよなぁ。日本で言えばキラキラネーム風なのかもしれないけれど。

 

 

昨年はスルーしてしまっていたNissabaでしたが、スルーした年の新作がチュベローズであったと知り、今年は引き返して訪れたのでした。更に今年の最新作はHaute Montagneというアルプスをテーマとしたとても雨マティックな香りでしたよ。

 

 

毎回、友人やオーナーさんたちと撮影をしているけれど、それは盛り上がっている感を創出するツールであり、こうした画像をSNSで発信することが彼らの広報にもつながるという点から。年に一度のお祭りみたいなものですしね。

 

 

今年の画像はどこか良い。というのは、チームの中にPhotographerを入れたから。Borys Dolgopolskyくんと最初に出会ったのはHemcaelのPartyでした。撮影担当として仕事をしていた彼と、パーティー後に名刺交換をしたのですが、彼はその後パーティーで撮影した画像の中に僕が映っていたものがあったと、送ってくれたことでご縁がつながりました。

今回、全ての撮影は彼任せ。5か国語を話すボリスくんはウクライナ出身。人懐っこくて明るいキャラは世渡り上手な末っ子という感じで、仕事を手放すとこれほど楽なのかと開眼したので、おそらく来年もボリスくんは一緒だと思います。

 

(17/03/2025)

 

 

2日目はパスがあるから入場がスムーズで、するりと入る。開場と同時に入場する律儀というか仕事熱心な人たちは多くはなく、出展者たちも遅刻している人が多いほどなのですが、入場者が少ない分朝一は仕事がしやすいのです。

まずはManos Gerakinisに。今年はオンラインの限定品として3つ目の香りがPure Honeysuckleとして登場。その他はSillage Xが発売に。Sillage Royalのフランカーではなく別の調香師による全く別の香りです。調香師を変更したことで、何だか香りが繊細になってきたというか、女性調香師らしいトーンになりましたよ。

 

 

CoreternoはグルマンのNight IdolとHypnorangeが公開に。Night Idolはフルーティーフローラルグルマン、HypnorangeはタイトルのようにHypnoなOrangeということでオレンジバニラ。共にグルマン調であることが今年らしいテイストです。

 

 

Aphorismesというフランスブランドが昨年スタートしたのですが、それはDominique Ropionによるもの。おそらくオーナーは中東の方で、Dominique Ropionさんのブランドを立ち上げたということなのだと思いますが、きちんとご本人がいらしてました。

何度か展示会でお見かけしていたし、僕はミーハーではないのでスルーしていたのですが、何せご高齢ですからそろそろお願いしとくかと今年は写真をご一緒に撮影させていただきました。Borysくんがいるわけだし。そこで直々に香りの説明とムエットをいただきました。6種の香りはそれぞれテーマとなっている香りがあるのですが、チュベローズとローズは明らかにアブソリュートが使用されていたし、フランキンセンスも抜群のクオリティでした。あぁ、これは中東オーナーであってもあっという間に世界展開しそうなクオリティだな、というのが第一印象。でも、サンプルの配布はなかったのでレヴュー予定はありません。

 

 

このボトルは50mlなのですが、Filippo SorcinelliのAtmosphere d'Emotionの新しいボトルと同じなんですよ。既成のボトルでこれだけ違って見えるんですね。

 

 

Masque MilanoのセカンドラインMilano FragranzeからはNathalie Feisthauerによる調香でミラーボールをテーマとしたネオンライトが公開に。もちろんキラキラしたフレッシュな香りでした。

 

 

毎年1つずつ新作をリリースしているJacques Fathからは、Musc Coutureというフローラルムスクが公開となりました。発売はもう少し先になるようですが、フローラルノートが結構多いので好きな方多そう。

 

 

昨年、Jacques Fathにはproficeでもレヴューをしたヴィンテージセットを差し上げて来たのですが、今年は初めて彼らが保有する貴重なヴィンテージたちが公開となりました。だからこのパールボトルが復刻されていたのかとか、皆さんの理解が早かったはず。

 

 

Parfumeurs du Mondeからは昨年公開されたTerre de SoleilとLes Fleurs de la Pluieが正式に発売となり、今年はOsmanthus noirが公開に。何と今回はParfum d'EmpireのMarc-Antoine Corticchiatoによるもの。彼はOlfactive StudioのSmoky SoulでもOsmanthus absをリッチに使用していましたが、こちらも抜群にリッチな香りでした。Parfumeurs du Mondeの最初の1本はこれにしたいな。

 

 

今年初めての出展で、全体的なバランス、内容、パッケージ、ボトル、クオリティ、そしてオーナーの個性。全てが揃ったらもう売れるしかないでしょう。Maie Piouがデビューです。特にBanana Oudはウードにバナナをアクセントにしてしまったユニークさで、ウードの中のチーズのようなアニマリックなクセをクリーミーなバナナにしたのです。面白い〜。特にバナナの香りはこれから少しずつトレンドになっていくかもしれませんよ。

 

 

新間美也んはコロナ禍以降初めての出展でおかえりなさいという感じ。その間にスタートしていたCollection d'Orの3種がお披露目に。今年の新作はアイリスをテーマとしたHirariですが、 このコレクションの香りが一番彼女らしいというか世界観が彼女自身に近いのではないかと感じました。他のものは香りの先に顧客が見えるのですが、このラインは自分自身に向いているように感じられたのです。

 

 

毎年山のように新作をリリースしていくTiziana Terenziですが、今年10周年。あれ? まだそんなだっけ? という感じですが、2012年に最初の香水を見ているので、香水の10周年ではなくて別のものだったのかと帰国して気づきました。でも、彼らのブースは必ず入って最初にありますので、展示会内でもかなり力を持っている(財力のある)ブランドです。

 

 

Rubiniからは5つ目の香りidilios(ロマンティック)が公開に。ピーチ強めなオスマンサスのフルーティーフローラルで、今までの香りの中では一番可愛らしい1本になりました。ラインのバランスとしては大切ですよね。Andreaは昨年結婚されたので、そのお祝いに何か買うよと伝えたらプレゼントしてくれるという。でも、プレゼントしてもらったらお祝いにならないからと断ると、半額にするよと言う。えー、ディスカウントなんてしなくていいよ、お祝いなんだからと言うと、どうしても半額でと言うので、だったら2本ね、と2つを購入してきました。後日フルボトルレヴューしたいと思います。何だかんだもう10年以上の付き合いとなったAndrea、丁寧な仕事と柔らかな物腰は全く変わらずで、展示会では小さなブースがいつも賑わっています。ちなみに、この新作は6月発売の予定だそう。

 

 

最初の香りは、中には良いものもあるけれど少しお土産品っぽいトーンもあるかなという感じでしたが、このExtrait de Parfumで完全にそこから脱却した感があったCiatu。彼らのホームであるSiracusaで食事をご一緒してからもう1年だなんて。新作はArtemisで、何とゼウスの子であり有名な月の女神アルテミスはシチリア生まれなのだそう。しかも、母であるレトが双子を生んだのはなんと彼らがいるOrtigiaだという説もあると。Ciatuはまだまだ知らないシチリアの姿を香りを通じて見せてくれる。新作はクローヴたっぷりなカーネーションとなりました。

 

 

Rubiniと同じくCiatuのオーナーもAndrea。しかも2人ともスキンヘッド!! そこに登場したのはRosae VirtusのDavideがお客様として登場。海外の展示会の良さは、ブランド同士結構仲が良くて情報交換していたり、交友があったりすること。僕はどちらも仲が良いので、こうした様子は本当に見ていて嬉しいものです。ライバルなんかじゃない。顧客は同じなんだから、何かするのなら一緒にした方が小さなパフューマリーには良いでしょう。

 

 

Rosae Virtusの方は、4種のローズをリリースした後、どういう手を出してきたのかというと、ローズの育成農家として農場の香りに目を向けました。それは農作業には欠かせないレザーグッズや土の匂い。そうしたものを2つの香りとして公開に。これは新しい〜。そして育成農家は株の充実を図るため、花を摘んでしまうことがあります。その花からエッセンスを得てシャワージェルも発売に。

 

 

旧知の仲であったり、新しい友人であったり、出会いは毎年たくさんありますが、ある意味生存確認にもなっているような気がしてきました。毎年元気に会えるのは本当に嬉しいことです。

(18/03/2025)

 

 

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