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Eau Des Merveilles / オー・デ・メルヴェイユ


<香 調> スパイシーウッディ
<仕 様> レディース
<容 量> 50ml
<濃 度> EDT

トップ
アンバー、ビターオレンジ、イタリアンレモン、インディアンペッパー、ピンクペッパー、オーク、ペルーバルサム、ベチバー、シダーウッド、エレミ
ミドル
ラスト



2004年4月1日全国一斉発売。小宇宙の星空の世界をイメージしたボトル。フローラルを全く含まないレディースということで話題となりました。

この香りの不思議なところはトップ、ミドル、ラストという通常の香りの変化をパラドックスにしてしまったというところです。どれがどのように香るのかは個人次第・・・ということでしょうか。また、通常ベースノートに分類されるウッディ、アンバーをアクセントの香りとして使っていてフローラルの要素は一切含まないのも特徴的です。レディースなのに。香料の中で気になったのは「エレミ」です。これ、カンラン科の樹木の樹脂で、穏やかな気分にさせてくれる、さわやかで乾いたスパイシーな香りだです。エッセンシャルオイルは肌の老化予防のスキンケア用としても使われているとのこと。もう1つ、最後までわからないのは「ティアーズオブシャム」です。直訳するとシャムの涙。何のことだかわからないからでしょうか、国内サイトでは香料としてこれを記載してないとこがほとんどですよね。これはおそらくシャムベンゾインを指しているのだと思います。樹脂が樹の涙ということです。

ボトルもすごいですよね。エルメス特有のあるオレンジに玉虫色ですから。更に、このボトル傾けて置くんですよね。不安定すぎ。香り的にはやっぱりトップにシトラスが香りましたが、わりとすぐに消えて、ウッディにバルサムの効いたほの甘いウッディスパイスな香りに変わります。軽すぎず、華やかすぎず、ドライすぎず・・・なんとも言い表しがたい香りなんですけど、これユニセックスで全く平気ですよね。レディースだけではもったいない、ユニセックスで是非男性も使って欲しい香りだなぁ。一般的男性はこれ、いけると思います。たばこ、レザー系の香りやトニック系の香りが苦手な方はこれからスタートしてもいいんじゃないかと思うくらいにストライクゾーンの広い香りかと思います。

(30/10/2006)

(以下、雑誌用に書いた原稿です/無断転載はご遠慮ください)

1961年のカレーシュ、1970年のエキパージュという2つの香水を大ヒットさせながらも、10年間で3、4本というゆっくりとした新作のリリースを続けていたエルメスの名を、香水市場で不動のものとしたのは、アーティストディレクターとなったヴェロニク・ニシャニアンでした。彼女が生み出したのは、誰も香ったことがない不思議な香りだったのです。

ヴェロニクが起用したのは、ジボダンという大手香料会社の調香師たちでした。ニューヨークにいたラルフ・シュヴィエーとパリにいたナタリー・ファイツァーによる挑戦が始まったのです。ヴェロニクの求める香りを形にするために彼らが取り組んだのはアンバーグリスアコードでした。マッコウクジラの結石が海を漂いながら発酵し、香りを発するようになるアンバーグリスは、フローティングゴールド(海を漂う金)とも呼ばれる偶然の産物で、天然のものは10kgでも3000万円ほどになります。少し潮っぽいニュアンスを含むその香りは、合成香料で代用されるのですが、彼らはそのミステリアスな香りを軸としたのです。試作品を香ったヴェロニクは、「こんな香りを作っていたらプロジェクトから外すわよ」とナタリーに告げました。当時の流行はフルーティーフローラルムスクの香水だったため、彼女はそのニュアンスを新作の中に組み込んでいたのでした。「誰もが試したことがない斬新な香りを求める人たちはみな、最終的には良くあるフルーティーフローラルの香水を発売しているじゃないの。」とナタリーが口にしたことで、ヴェロニクは可愛らしいフルーツとフローラルノートを完全に排除するよう告げたのでした。

海のエッセンスであるアンバーグリスと森のエッセンスであるウッディノートで表現された流れ星が、火花のシャワーとなって広がる香水は不思議な水と名づけられました。今まで誰も香ったことのないノンフローラルなオー デ メルヴェイユは、ユニセックスがもてはやされ始めた時代にマッチし、瞬く間に世界中でヒットしたのです。

虫眼鏡をモチーフとした左右非対称のボトルは、様々な香水ボトルを手がけてきたセルジュマンソーによるデザイン。海に落ちる流れ星がボトルの中で輝きを放ち、エルメスのカラーであるオレンジ色となり液体をキラキラさせる。花火のように弾ける星のシャワーをイメージしてデザインされたボトルは、傾いて自立するようになっています。

(20/11/2019)

 

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