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Sampleレヴュー


■Archimede (2021年)

タイトルは有名なアルキメデス。何となくギリシア人のイメージを持たれているかと思いますが、なんとシチリアのシラクーサ生まれなのだそう。シチリア人だったんですね。

 

 

トップ:ピスタチオ、フランキンセンス、レモン、ピンクペッパー、アンジェリカルート
ミドル:エレミ、オールスパイス、ダヴァナ、ジャスミン、キョウチクトウ
ベース:シダーウッド、ベチバー、トンカビーン、バニラ

ムエットで香った瞬間に調香はMaurizio?とお聞きしてしまいました。ご名答、ということでとても彼らしい実に穏やかなフローラルウッディです。トップには香ばしいピスタチオがスパイスのように配されており、一瞬スパークするのですが、シチリアはピスタチオの産地で、至る所でピスタチオ料理が楽しめます。ピスタチオのピッツァやパスタもありますから。その香ばしいトップをスパイスと共に抜けると、ベチバーの香ばしさにスライドしていきます。ベチバーを軸としたウッディノートに、バニラの効いた柔らかなフローラルが重なっている辺りがとてもMaurizioさんらしいスタイルで、男性であれば温和な印象に、女性であればクールに、真逆の印象を与えそうな香りとなって落ち着きます。(16/08/2022)


これらはArt Collectionという限定ボトル。キャップが豪華仕様に。

 


■Ingenium (2019年)


2019年はダヴィンチの没後500周年です。才能というタイトルから展開されたのは、そのダヴィンチ。多才で様々な顔を持っていたことは言わずもがな、ですが今回はLuca Maffeiによる調香で、なんと29%という高濃度のパルファムとなりました。毎回イメージに合わせた大理石のキャップが使用されるのですが、今回はシチリア島で採取されるベージュ色のPerlato of Sicilyというものが選ばれました。これは、ダヴィンチが描いた羊皮紙の色に合わせたものなのだそう。

 

 

トップ:ベルガモット、サフラン、ナツメグ、カルダモン、シナモン、オールスパイス
ミドル:ローズ、タバコ、ガーデニア、エレミ、フランキンセンス
ベース:ガイヤックウッド、ベチバー、サンダルウッド、アンバー、ファーバルサム

 

 

香りはとてもスパイシーに始まります。ナツメグとカルダモンがたっぷりのウッディムスクに包まれて始まる感じで、スパイシーなのにまろやかなのです。そのトップに一瞬だけ見え隠れしているのはガーデニアのグリーンノートとタバコで、他のフローラルノートはあまり良くわかりません。それよりも、とにかくたっぷりのサンダルウッド系の香りがムスクと共に様々なものを包み込み、全体としての印象がベージュに感じられるのです。そう、サンダルウッドって肌に馴染む香りなので、他のブランドもムスクだけではなく、素肌感を出すのにサンダルウッドを使用したりするんですよ。そこを重厚感がありながらも、美しまとめた、という印象でした。(20/05/2019)



■Itineris (2016年)

仲間という意味のラテン語をタイトルとした香りで、自由に旅するマルコポーロをテーマとした香り。彼はヴェネツィア人ですからね。シルクロードを通り中国まで旅したことでオスマンサスが使われていたり、シルクロードをイメージしたのはシルキーノートを組み込んでいます。

トップ:マンダリン、オスマンサス、ダヴァナ、ピンクペッパー、シルキーノート
ミドル:ジャスミン、ローズ、ピオニー、ヘリオトロープ
ベース:ムスク、バニラ、サンダルウッド、アンバーウッディノート

何々? と一瞬戸惑ってしまうほどユニークなスタートです。フレッシュでフルーティーなのにアロマティックでスパイシーなんですよ。ダヴァナが効いた少し珍しいアロマティックノートがオスマンサスに重なっているのですが、このオスマンサスはAFM社のオリジナルアコードであり、日本の物とは違います。もっとウッディノートが強くは渋かったので、このトップノートにあるのはまさにそれ。ミドルにフロールノートがあるものの、どうもダヴァナが残っていてフローラルらしさがかき消されています。ミドル以降はそれら全体を少し甘くてクリーミーなムスクが包み込んでいくのですが、戦の後の静けさのように静かなムスクが印象的です。(02/05/2016)


■Michelangelo (2015年)

タイトルはそのままズバリ、ミケランジェロです。フルネームははMichelangelo Buonarrotiで、なんと90歳近くまで生きたそう。当時としては凄いことだったと思います。彼の作品の特徴である圧倒的な美しさ、力強さを、完全なのものとして香りで表現。

トップ:グレープフルーツ、カシス、フィグ
ミドル:マグノリア、フィグツリー、フランキンセンス、ヒヤシンス、ガルバナム
ベース:シプリオール、シダーウッド、パチョリ、ベチバー、ラブダナム

香りはフィグを軸としたグリーンフルーティーなものなのですが、ヒヤシンスやガルバナムはフィグの良いアクセントとなっていて強すぎず、明るくフレッシュなフィグとしてまとめられています。フィグは知恵の実ですから、彼をテーマとした香りに使用されていてもおかしくはないですよね。土っぽいシプリオールとラブダナムはあまり主張をせず、ラストはクリーミーなココナッツがウッディノートに重なる形で肌に残ります。フィグにはサンダルウッドを合わせることが多いのですが、シダーウッドは珍しい。でも、ココナッツがあるからか感覚としてはサンダルウッドに感じられます。。(02/05/2016)


■Tau (2015年)

テーマは愛で、アッシジという古都にある教会に祭られている聖フランチェスコが説いた愛と平和を表現したもの。彼は森や土手に座って考えるのが好きだった・・・ということでかなりアロマティックな香りの調香に。

トップ:ベルガモット、パイン、ジュニパーベリー、クラリセージ
ミドル:ゼラニウム、レンティスク、ブラックペッパー、レザー、チリ
ベース:パチョリ、シスタス、オークモス、バーチ、シダーウッド

レザー以外は精油で組めるのでは? と思うほどアロマティックな香りがと広がります。精油ばかりでありながら綺麗なまとまりなのはさすがな調香ですよ。バーチはほとんどわからず、レンティスクのレモンっぽいアロマティックな部分がトップからミドルで香り、実にイタリアらしいアロマティックな香りとなっています。どれ1つとして主張するものがないのに香りは平坦なものではなく、平和に通じる柔らかさと爽やかさを感じられる、豊かなアロマティックノートとなっています。オールシーズン使えるユニセックスな香りですから、このブランドの最初の1本に良いかもしれません。(02/05/2016)


■Zephiro (2015年)

言わずと知れた春のそよ風の神、ゼフィーロがテーマです。ヴィーナスの誕生の絵画の中にも登場する有名な神で、彼の息吹が春に変えていきます。

トップ:ベルガモット、ピンクペッパー、ネロリ、ガルバナム
ミドル:チュベローズ、イランイラン、ガーデニア
ベース:パチョリ、バニラ、アンバー

ピラミッドがしっかりとした香りで、トップではガルバナムがキリリと青さをスパークさせ、一瞬ヒヤシンスっぽいニュアンスで始まります。香りは次第に甘さと広がりを見せ、ガーデニアへと切り替わっていくのですが、ガーデニアの中にチュベローズが隠れている感じで、軸はガーデニアの方にあります。(でも、しっかりとチュベローズの存在も感じ取れます)特にミドル以降はどんどんガーデニアらしさが強まり、春から初夏に移ろいを見せた感じとなり消えていくのですが、トップとラストでは色彩が全く違う別物です。ガーデニアやチュベローズのクリーミーで甘いフローラルがお好きな方には、少し変化球なトップが楽しめる1本だと思います。(01/05/2016)


■Unguentum (2015年)

軟膏を意味するラテン語ですが、テーマとなっているのは古代ローマで、トーガを着てローマ軍を指揮する司令官。蜂蜜はローマで生まれたということで使ったようです。

トップ:マンダリン、アルテミジア、ティー、カラムス、シナモン
ミドル:ハニー、ワイン、サフラン、タバコ
ベース:オポポナックス、バニラ、ムスク、アンバー、シダーウッド

香りは確かにハニーの効いたアロマティックオリエンタルです。とにかく力強いイメージを表現したかったそうで、香りは次第にタバコの効いたメンズライクへと変化していきます。いえ、それでもユニセックスなバランスにはあるのですが、イメージ的に男性的な部分を感じるのです。シナモンは強すぎず、スパイシーというほど強くは出てきません。無骨な感じではなく強い意志を感じるようなオリエンタルノートで、ムエットの残り香は実にイタリアらしいというか、イタリアのフレグランスらしさを感じるものとなっています。ハニーオリエンタルなメンズというのはあまり多くはありませんよね。(01/05/2016)


■Enygma (2015年)

テーマとなったのは誰もが知る天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。ヴィンチ村のレオナルドという意味なのですが、ヴィンチ村はイタリアにあります。

トップ:ベルガモット、ナツメグ、サフラン
ミドル:タバコ、ダマスクローズ、ガーデニア
ベース:ベチバー、ガイヤックウッド、アンバー、サンダルウッド

肌に乗せた瞬間から、あれ? サンプルを間違えたのかと思うようなファーバルサムが広がりました。サンプルにラベルがないので入れ替わってしまったのかと思ったほど調香と違うのです。あるとしたらナツメグとタバコ、そしてアンバーノートの中にファーバルサムがあるのかな、という程度で、全てがまるごとファーバルサムの香りとなっているのです。しかも、ファーニードルやパインニードルなどのピネンを感じるファーバルサムなのでとてもリアルなのです。これはこれ単独でお好きな方も多いと思うのですが、あまりに調香と違いすぎて驚いてしまったというのが正直なところ。少しレーズンを思わせる甘く少し苦みのあるオリエンタルノートです。(01/05/2016)


■Rossa Boheme (2015年)

テーマはGiacomo Puccini。「私は小さな白い部屋に住んでいる。窓から空を見上げると、風は冷たくとも太陽は私のものだ。それは私にとって、4月最初のキス!! 花瓶に生けたバラの・・・葉によって葉が持ち上がったのを見た。なんて優しい香りの花なんだろう。」
そう、イメージしたのはLa Bohemeです。

トップ:レモン、アンジェリア、ピンクペッパー、コリアンダー
ミドル:タバコ、ブラックペッパー、シナモン
ベース:パチョリ、ベチバー、ムスク、アンバー、シダーウッド

軸はローズではありません。タイトルは赤の意味ですから。トップではとても印象的なフレッシュスパイスが微かに土っぽいアンジェリカと共に香り、案外明るい特にリナロール系の香料が多い印象だなぁ、と思っていたら後半からどんどん繊細なウッディノートへと変化していき、少しメンズっぽいテイストのフレッシュウッディとなって落ち着きました。シナモンは強くはなく、パチョリやベチバーも強くはなく、基本的には濃度があっても軽やかなフレッシュノートの上にヴェールのように重ねられているのでしょう。花の香りを期待すると違いますが、La Bohemeのように屋根裏部屋から見上げた空というイメージにはとても近いかもしれません。(30/04/2016)


■Empireo (2015年)

テーマはダンテ。彼が神曲を書きあげていた時、どのような空間で書いていたのだろう・・・とその時を彷彿させるものに仕立てたようです。

トップベルガモット、:ラベンダー、フランキンセンス、ミルラ
ミドル:ヘリオトロープ、ホワイトローズ、サンバックジャスミン
ベース:バニラ、アンバー、トンカビーン、ベンゾイン、サンダルウッド、シダーウッド

ラベンダーをラベンダーと思わせないほどの調香なのですが、離れて香ると確かにアンバーラベンダーが軸となっているのです。アンバーノートはベンゾインを中心に組み立てられており、甘いバニリックなベンゾインがオリエンタルに残ります。ベンゾインにフランキンセンスを足すというのは薫香で良くある組み合わせなのですが、まさにそのようなニュアンスですから、その2つにミルラとラベンダーの蕾を少し加えた薫香したら似た雰囲気になるのかもしれません。そうした天国にも地獄にも通じるそれらをつなげる煙のイメージで作られたとしたらぴったりだと思います。(30/04/2016)

 

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