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Annone / アンノーネ


<香 調> フルーティーウッディ
<仕 様> ユニセックス
<容 量> 15ml
<濃 度> Extrait de Parfum

トップ
ベルガモット、サフラン、マンゴー
ミドル
ローズ、アイリス
ラスト
ムスク、アンバー、ナガルモタ、ウード



1514年、ポルトガルを治めていたマニュエル1世は、スペインに負けないようスパイス貿易のためのルート確保の協力をローマ教皇レオ10世(ジョヴァンニ・デ・メディチ)に求めました。3月12日、マニュエル1世は真っ白な象に乗って、ローマに到着したのです。アルビノの象はとても珍しく、類まれな美しさで、当時まだ誰も見たことのなかった真っ白な象を教皇に献上したのです。教皇はその象をAnnoneと名付け、ベルヴェデーレ宮殿内のサンピエトロ大聖堂と使徒宮殿の中庭に作られた場所で大切に飼育し、バチカンのマスコット的存在としてパレードにも参加させていました。でも、それからわずか3年後、病にかかり狭心症で亡くなってしまう。それを嘆いた教皇が、Annoneの墓の上に実物大の絵を描かせたのです。「自然が何を奪い去ろうとも、ラファエロは作品の中にそれを蘇られる」と墓碑に刻まれました。今から、502年前の出来事です。

 

 

そう、この香りのテーマはホワイトエレガンス。Annoneはパレードで初めて教皇レオ10世に会った際、三度跪き、履物に口を寄せて敬意を表したのだそう。賢い動物ですよね、本当に。

数多くの芸術家たちのパトロンとなり、庇護していたメディチ家の中でも最盛を極めたロレンツォの次男として生まれたレオ10世は、当たり前のように芸術を愛し、特にラファエロを愛したことで有名です。そのおかげでバチカンにはラファエロの間が生まれたのですから。残念ながらAnnoneは100年ほど飾られた後消失してしまったようで、現存はしていません。

 


オーナーファミリーのレオーネ君がこの香りを、展示会でいち早く公開してくれました。持ってきてくれたサンプルをこの時いただいたのですが、タイトルも決まっておらず、ラベルもない状態でしたので、正式な発売を待ってのレヴューとなりました。50、100mlのExtrait de Parfumが2018年11月15日より発売です。

香りは、ムエットで香った際はアンバーウッディノートが軽やかに香るオリエンタルだったのですが、肌ではマンゴーが意外にも感じられ、フルーティーなアンバーウッディとなって広がります。アイリスのパウダリーさは強すぎず、白いイメージが全面に出てくるわけではありません。白のイメージよりもインドに比重を置いたのでしょう。サフランはあるけれどレザーはなく、サフランカラーがインドの国旗にも使われていることを印象付けています。香り自体は軽やかなのですが、高濃度のため抜群に持続し、薄っすらとしたアンバーウッディノートが続きます。

 

 

香りそのものを楽しむのももちろんですが、、歴史をひも解き人物像に迫っていく内容でしたので、レヴューを書くという行為そのものがとても楽しく、良い香水というのはこうして知らなかった世界の中に連れて行ってくれるものなのだと再認識したのです。

(14/11/2018)

 

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