*Log in
 *Log out
 *My account

| Top | Books | Topics | PMF | Q & A | Making | Essential | Perfumers |  PRESS |
  

Cruise Collection / クルーズコレクション




2015年3月、新たにCruise Collectionがスタートしました。これは、ニッチなフレグランスファンにはあまり好まれないマリンノートを使用して、新たな形を作り出したいという思いから始まったもので、それぞれが世界各国の旅をテーマとしています。随分前に、ロゴを作成していたのですが、ロゴを変更するわけではないと言っていたのは、このことだったんですね。新たなシリーズのためのロゴだった、というわけです。このシリーズは全8種を予定しており、3月のリリース時後にすでに2種が追加となりました。現在は4種のコフレが発売されていますが、8種揃った時点で残りの4種も発売されるはずです。(28/09/2015)


■Lumiere Fauve (2015年)

2007年に作られたL'Ombre FauveのアニマルバージョンとしてPitti Fragranzeで公開されたプロトタイプの香り。今後商品化されるかどうかは不明です。

 

 

アフリカンストーン、イランイラン、ブラックモロッカンハニー、クローヴ、アンジェリカルート、タバコ、ココア、レザー、ムスク

彼はこの香りの中に近年使用されるようになってきた新たなアニマルノート、それも天然香料のアフリカンストーンを入れました。ネズミの糞というか巣穴にあるペースト状のものから得られる香料なのですが、彼はそれを展示会に持参しており、香られたくれたのです。香るだけもがびっくりして鼻を遠ざけている中、嫌がることなくずーっと香っていた僕を不思議そうに眺めていたのが印象的でした。でも、香りは動物園の檻というか、悪臭です。

もともとのオリジナルがアンバーノートを主体としつつもアニマリックではなかったのに対し、これは投入しすぎというわかりやすいアニマルノートになっており、ムエットで香った際には、そのトップノートに驚かされました。とにかく、ムエットではかなり強くアフリカンストーンが出ていたのです。でも、実際に肌に乗せるとスモーキーなハニーがアニマルノートを包み込み、とても柔らかなパウダリーなハニーレザーにアニマルノートがアクセントとして香っているりのです。特にハニーにココアが重なってアンバーのような深みを出しているのがユニークなところ。これならばきちんと香水として使えるではないか、と改めて遊び心だけの試作品ではなかったのだと楽しくなりました。(06/10/2015)


■Leathermore (2015年)

Lumiere Fauveと同様にPitti Fragranzeで公開されたプロトタイプの香り。今後商品化されるかどうかは不明です。

 

 

カルダモン、クミン、ピンクペッパー、ジンジャー、グリーンサップアコード、ジャスミン、レザー、フランキンセンス、ガイヤックウッド、ムスク

コンセプトはヴェジタルレザー。つまり、グリーンノートで明るくフレッシュにしたレザーです。カルダモンやピンクペッパーが瑞々しく明るいフレッシュなグリーンノート、少しメロンのような瓜系のグリーンなどと共に明るく弾けてスタートします。ノンシトラスですのでコロンのようなフレッシュ感はなく、アニマリックでもレザーでもなく、とにかく明るいグリーンノートが主体となっており、微かにレザーのニュアンスがムスクに包まれて隠れているのかな?という感じですね。夏場でも使えるさっぱり加減ですから、これはこの後クルーズコレクションとして仲間に加わってもおかしくない香りだと思います。(06/10/2015)


■Metal Hurlant (2015年)

テーマとなった旅行はアメリカ。何でもある、どんなことも考えられるアメリカの中で、彼が切り取ったアメリカらしさを感じられる場面はRoute 66をハーレーで疾走するというツーリングの旅。もちろんフルスロットルです。

 

 

ムスク、レザー、メタリックノート、スモーキーノート

彼が作り出したのは、アエロダイナミックレザーという香りで、空気感を感じるレザーというアコード。疾走しているわけですから、スピード感や空気感を感じられるものであると同時に、レザージャケットやガソリン、タイヤが焼けるようなニュアンスも表現して組み込んでいるようです。香り自体、トップでは少しアロマティックなカンファー、ピネン系の香りが弾けましたが、香りは次第にムスクとメタリックなレザーに変化して消えていきます。この香りは合成香料なくしては表現出来ない香りで、今までの彼のテイストからはやはり考えられない雰囲気です。全く暗さ、彼の好きなアイリス、ウッディ系の香りが感じられず、ある意味明るく軽やかなのです。ムスクと共に肌に馴染んでいきますし、スモーキーだというほどタールの効いたレザーではありませんので、女性でも使える香りとなっています。(05/10/2015)


■Mojito Chypre (2015年)

スペインのイビサ島からマイアミへの旅行。共に共通しているのはビーチパーティーです。だから、モヒート(カクテル)にしたんですね。この香りは2014年9月のPitti Fragranzeで試作品が公開され、その時の来場者の意見をもとに少し手直ししてリリースとなりました。

 

 

トップ:ライム、ミント、ストロベリー、ラム
ミドル:パチョリ、ベチバー、ラブダナム
ベース:バニラ、オークモス

パッと弾けるストロベリーに驚いた瞬間、普通はトップで何よりも早く弾けるミントが遅れて香り出します。ユニークですよね。ミントにストロベリーなのですから。彼はAldehyde C-16という一番メジャーなストロベリー系の香料を使用しているのですが、それ以外にもフルーティーノートを入れているようです。とても楽しくなる組み合わせで、グリーンノートとフルーティーノートは相性の良いものとそうでないものがあって、バランスが崩れるととても不味い香りとなるのですが、こちらは抜群のバランスで成り立っていて、グリーンではなくアロマティックにしているのもポイントだと思います。シプレだと言うほど強いシプレノートとなって終わるわけではありませんので、フルーティーアロマティックなサマーカクテル、というところでしょうか。(02/10/2015)


■Jangala (2015年)

テーマはインドネシアのジャングルで、タイトルはサンスクリット語のジャングルで、彼が表現したのは湿気たジャングルの空気感。Bertrand Duchaufourは中南米のパナマ、雨季のジャングルをL'Artisan ParfuneurのFleur de Laineで表現しましたが、こちらはスパイスとユーカリを使用しています。

 

 

トップ:ユーカリ、カルダモン、ローズウッド
ミドル:タイのハーブ、バタフライジンジャー
ベース:サンダルウッド、ココナッツ、ベチバー、オゾンノート

鼻に抜ける爽快感をユーカリで表現するのは個性的ですが、最近少し見かけるようになってきました。でも、その部分よりも特徴的に香るのはカルダモンです。カルダモンがほの甘いベースノートに包まれ、フレッシュでアロマティックなスパイシーフローラルとなって香るのです。フローラルノートはそれほど強くはなく、フローラルというカテゴリにはならないのかもしれませんが、ウッディノートが強いわけでもなく全体としてはフレッシュな部分が大きく出ています。ラストノートはオゾン系の軽やかな部分が薄れ、ほの甘いスイートノートが残ります。そこでもあまりサンダルウッドやベチバーは感じられませんので、おそらく控えめな単品香料を使用しているのだと思います。スパイシーなトップから優しげなベースまで、勢いよく駆け抜けるあたりとても爽快です。(01/10/2015)


■Long Courrier (2015年)

世界の反対側から持ち帰った甘く塩辛い海風・・・甘い?などと思ってしまいましたが、彼が作り出したのは塩バニラなのです。タイトルは長距離フライトのことで、パリの反対側(対蹠地)というとニージーランド近郊の海のようですが、こちらがニュージーランドをイメージしていたのかどうか・・・。

 

 

トップ:マリンノート、シーソルト
ミドル:バニラ、オレンジ、カカオ
ベース:エレミ、シダーウッド、バニラ、ムスク

とてもユニークな香りとなっていて、まず、マリンノートが通常のものではなく、彼が目指したのは塩辛いテイストだということ。マリンノートはいろいろなタイプがあるのですが、今までに香ったことがないようなテイストなのです。(だからマリンノートと呼びにくい)
どちらかというと、マリンというよりもフレッシュという方がしっくりとくる香りで、フレッシュで明るいのにバニラが香るのです。でも、マリンバニラではないのです。カカオはミドルよりもトップで苦みが弾け、後半はバニラに包まれて甘さのアクセントになっており、香るけれど強くはない、という感じです。バニラもこってりとした甘さではなく、空気感を感じるような爽やかな甘さとなっており、時間と共にウッディムスクへと変化して薄れていきます。少しメンズっぽいかな・・・というニュアンスが最後にありますが、基本的にはユニセックスで楽しめる香りだと思いますよ。(30/09/2015)


■Paris Seychelles (2015年)

パリの若い女性がセイシェル諸島でヴァカンスを過ごす、というのがストーリー。セイシェル諸島はアフリカのマダガスカル島の上にあるのですが、マダガスカルやコモロ諸島同様にパリから直行便が出ています。女性はパリの左岸、つまりサンジェルマンデプレなどで生活をしている女性のイメージなののだとか。その彼女がセイシェル島でヴァカンスを終えてパリに戻る機内の中で、彼女の肌に残っている香りの雰囲気を表現したのだとか。

 

 

サリチレート、プルメリア、タヒチアンティアラ、リリー、ココナッツミルク、ガルバナム、ブラックペッパー、ジンジャー、ベティグレンアコード、サンドノート

女性の肌をカサブランカとサリチレートで表現し、トロピカルな南国らしさをタヒチアンティアラやプルメリアで彩ったわけですが、香りとしてのまとまり方はジンジャーリリーに似ています。こちらにももちろんアクアノート、マリンノートを彷彿とさせるメロン系のフレッシュな香りがたっぷりと使用されているのですが、不思議とマリン的なニュアンスはなく、瑞々しく甘い南国フローラルが香るのです。ジンジャーリリーと言うとFrederic MalleのLys Mediterraneeが一番似ていますが、こちらはそこまで生花そのものではなく、もっとトップからミドルでは甘さが、ミドル以降はアクアティックなガーデニアが肌に残ります。アクアティックなガーデニアだとMark Jacobsの最初のレディースの香りが思い出されるのですが、それよりももっと明るく爽快で、瑞々しい部分を感じられるのです。だからガーデニアよりジンジャーリリーに感じられるのかもしれません。全体を通して、とても瑞々しいフローラルが持続しますので、Lys Mediterraneeをお好きな方は是非こちらもお試しを。(29/09/2015)



■Entre ciel et mer (2015年)

空と海の間に・・・というタイトルで、地中海の風を受けながら、青空を飛ぶイメージ。言うならばこれがクルーズコレクションの始まりなのかもしれません。彼が一番トライしたかったことこそ、この香りであり、これが今までにないマリンフレグランスの形であり、新解釈だとしています。

 

 

トップ:マリンノート、ラベンダー、ペア、ホワイトタイムアコード
ミドル:シーウィード、ホワイトモス、アンバーグリス
ベース:シダーモス、ニューカレドニアンサンダルウッド

どのようなマリンノートになっているのかがポイントなのですが、なるほど、という仕上がりです。香りとしては今までのマリンノートにはないテイストで、マリンノートを使わずしてマリンを表現した、という印象です。香りの軸になっているのは軽い合成香料たちで、どれ1つとして明確な香り方をしておらず、全体として1つのエアリーなライトフレグランスとなっているのです。海の香りをリアルに表現するには海藻の香りが必要となってくるわけですが、天然香料の中ではモスを使用することがあります。彼も海藻の雰囲気をリアルにするためにモスを使用しているわけですが、モスらしさは強くはなく、微かな微かなアクセントとなっているのです。飽くまでもイメージしたのは澄み切った青空と海なのでしょう。トップは少しだけフルーティーに、でも全体を通して澄み切ったホワイトフローラル(スズラン系の合成香料)を軸に少しずつ様々なものをアクセントとして配置した、という香りになっていて、サンダルウッドも強くは出てきません。彼はいつも展示会では合成香料名で説明してくれるのですが、調香にはないランドリー系の(さっぱりとした)ホワイトムスクを5種使用しているそうですよ。(28/09/2015)

 

<Parfumerie Generale Topに戻る>

profice〜香水のポータルサイト〜